今週、ビットコインは金融政策の山場へ──FOMCと日銀、相次ぐ利上げ判断が試す市場の耐久力【エックスウィン】

●米国と日本の金融政策判断が、同じ週に重なる。ビットコインにとって重要なのは、利上げの有無に加え、両中央銀行が示す今後の引き締め姿勢だ。
●米長期金利の上昇と急速な円高が同時に進めば、世界的なポジション縮小が暗号資産市場にも波及する可能性がある。

今週、ビットコイン市場は大きな山場を迎える。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月15〜16日、日銀の金融政策決定会合は17〜18日に開催される。日本時間では、17日午前3時にFOMCの政策声明、午前3時30分にFRB議長会見が予定され、その翌18日に日銀が政策判断を示す。

ドルと円は、世界の投資活動を支える主要な資金調達通貨だ。その両方で金融引き締めが進む可能性がある今週は、米国の政策だけを見ていては市場の全体像を捉えにくい。ビットコインにとって問われるのは、金利上昇と為替変動を受けても、買い手が市場に残るかである。

FRBは利上げ観測が優勢、焦点は「その先」

米国では、インフレの高止まりを背景に利上げ観測が強まっている。

9月11日のロイター報道によれば、短期金利先物市場は、今回のFOMCで0.25ポイントの利上げが行われる確率を約85%織り込んでいた。これは市場価格から算出される見通しであり、FRBが利上げを約束したという意味ではない。ここで大切なのは、予想された利上げと、予想を上回る引き締めを分けて考えることだ。

0.25ポイントの利上げにとどまり、その後の判断を経済データ次第とするなら、市場の反応は限定的になる可能性がある。一方、議長会見や経済見通しで追加利上げへの強い姿勢が示されれば、投資家は先々の金利をさらに織り込み直す必要がある。

ビットコインの価格を動かすのは、今回の金利変更だけではない。「この先、どこまで引き締めが続くのか」という期待の変化も重要になる。

日銀の利上げは、円を通じて世界に波及する

日本でも、追加利上げが中心的な予想となっている。9月9日のロイター調査では、日銀が18日に政策金利を1.25%へ引き上げるとの見方が示された。ただし、エコノミスト調査と市場が織り込む確率は別の指標である。

日銀の判断がビットコインに影響する主な経路は、円キャリートレードだ。低金利の円を借り、ドルなどに交換して海外資産へ投資する取引では、日本の金利上昇が調達コストを押し上げる。さらに円高が進むと、円で返済する際の負担も増すため、投資家が保有資産を売却して取引を縮小する可能性がある。

この動きが広がれば、影響は日本株や為替にとどまらない。米国株や暗号資産などにも、資金回収に伴う売りが波及し得る。

ただし、日銀が利上げすれば必ず急落する、とは言えない。政策が予想の範囲内か、円高の速度がどれほど速いか、その時点で市場にどれだけレバレッジが積み上がっているかによって、反応は変わる。

本当の警戒点は「米金利上昇と円高」の同時進行

筆者が今週、最も警戒するのは、FRBと日銀がともに市場予想より引き締めに積極的な姿勢を示すケースだ。FRBの追加利上げ観測が強まれば、ドルの調達コストや米国債利回りが上昇し、リスク資産への資金配分が抑えられる可能性がある。同時に、日銀の姿勢を受けて円が急上昇すれば、円で資金調達していた投資家にもポジション縮小の圧力がかかる。

異なる経路から、世界の投資家が同時にリスクを減らす。その局面では、24時間売買できるビットコインにも売りが集中する恐れがある。

足元では原油高も重なっている。9月11日の市場では、ブレント原油が100ドルを上回り、米10年国債利回りは一時約4.99%へ上昇した。エネルギー価格の上昇が続けば、インフレへの警戒が金融引き締め観測を長引かせる可能性がある。

もっとも、米10年金利の5%は市場が意識しやすい節目であり、超えた瞬間にビットコインが下落する機械的な境界線ではない。金利の上昇速度と、株式・為替・資金フローの反応を併せて見る必要がある。

今週の3つのシナリオ

今週の政策イベント後の展開は、大きく3つに分けて考えられる。

まず、両中央銀行の判断が市場予想の範囲内に収まるケースだ。FRBと日銀がそれぞれ0.25ポイントの利上げを行っても、追加の引き締めに慎重な姿勢を示せば、政策発表直後の変動は次第に落ち着く可能性がある。その後のビットコインの方向を決めるのは、ETFへの資金流入や現物需要が回復するかどうかになる。

次に、両中央銀行が市場予想より強い引き締め姿勢を示すケースである。FRBが追加利上げの必要性を強調し、日銀も利上げペースの加速を示唆すれば、米長期金利の上昇と急速な円高が同時に進む可能性がある。ドルと円の両方で資金調達環境が厳しくなり、世界的なポジション縮小がビットコインの売り圧力を強める。今週、最も警戒したい展開だ。

最後は、金融引き締めへの警戒が和らぐケースだ。どちらかが据え置きを選ぶ、あるいは利上げ後の追加引き締めに慎重な姿勢を示せば、金利や為替が落ち着き、ビットコインにも買い戻しの余地が生まれる。ただし、据え置きの理由が景気の急激な悪化であれば、リスク資産が素直に上昇するとは限らない。

いずれのケースでも、政策判断と、その理由を併せて読むことが重要になる。利上げ幅だけでなく、今後の政策姿勢が市場予想からどれほど変わるかが、ビットコインの反応を左右する。

政策通過後は「誰が買うか」を確認する

今週のビットコインを見るうえで、政策金利と併せて確認したいのは、米10年国債利回り、ドル/円、BTC現物ETFの資金フロー、そして現物市場の買い需要である。

米金利が上昇しても、ETFへの資金流入や現物買いが売りを吸収すれば、市場は持ちこたえる可能性がある。反対に、金利上昇、急速な円高、ETF流出が重なれば、先物市場のロング清算が下落を増幅する恐れがある。

ビットコインは24時間取引される。しかし、その価格を支える資金は、各国の金利と世界の金融環境に影響される。

今週の山場は、利上げというニュースを通過した後も、買い手が残るかどうかだ。 17日早朝のFOMCから18日の日銀判断にかけて、政策発表への瞬間的な反応に加え、その後の金利・為替・資金フローを見極めたい。

ショート動画

今週、ビットコインは山場!米国と日本の利上げ判断に注目
https://youtube.com/shorts/RbJdfMasibI

【次に読む】
» 米議員ら、暗号資産税制改正法案を提出──少額取引の免税措置の検討求める
» 米下院、9月会期を2週間短縮──クラリティ法案は先送りか=報道
» クラリティ法案、修正版を公表──DeFi規制を見直し

NADA NEWS Mail Magazine banner with logo, green header, and devices displaying a newsletter; includes Japanese slogan and a yellow signup CTA bar reading “メルマガ登録はこちらから >>”