・暗号資産市場全体が軟調に推移するなか、イーサリアム(ETH)は9月にビットコイン(BTC)を上回るパフォーマンスを見せ、2500ドル付近で取引されている。
・ETHの現物・先物出来高比率は0.15に達し、3月以来の高水準となった。現物市場への参加が強まっていることを示している。
・クジラによる取引件数は9月5日時点から倍増し、ETHの上場投資信託(ETF)には週間で1億9600万ドルの純流入があった。
クジラの動きが活発化、ETHの現物需要が増加
ETH価格は金曜日に一時2667ドルまで上昇した後、2515ドル付近で取引を終えた。この上昇で、8月に記録した直近高値の2567ドルを上回った。一方、BTCは月間高値の8万2300ドルを6%下回る、7万7300ドル前後で取引された。
オンチェーンデータによると、ETHには依然として異例の強さを持つ現物需要が集まっており、とりわけ大口投資家の需要が目立つ。
The Blockのデータでは、ETHの現物・先物出来高比率がここ数カ月にわたって着実に上昇している。同比率は8月6日の0.11から、9月12日には0.15まで上昇した。
これは3月以来、最も高い水準となる。

現物・先物出来高比率の上昇は、現物市場の取引が先物取引を上回るペースで拡大していることを意味する。
現物取引では原資産そのものを売買する。一方、先物取引は主に、レバレッジを利用した、あるいは投機的なエクスポージャーを得るために用いられる。
この変化は、イーサリアム市場がレバレッジを利かせた投機に依存しにくくなっていることを示唆する。現物市場への参加拡大は、原資産に対する実需が強まっている兆候とも考えられる。
現物市場でETHを直接購入するには、通常、実際に資金を投入する必要がある。レバレッジを利用した先物ポジションとは異なり、こうした現物保有が先物市場の強制清算の対象になることはない。
したがって、現物・先物出来高比率の上昇を伴ってETH価格が値上がりしている状況は、より健全な市場構造を示している。
長期投資家や個人投資家が、ETHを直接購入する形で市場に参加していると考えられるためだ。
こうした需要は、価格が持続的に回復していくための強固な土台になり得る。
今週のETHの値動きは弱かったものの、クジラの活発な動きも、市場全体で買い集めが進んでいるとの見方を裏付けている。
ETH ETFには、週間で1億9600万ドルの純流入があった。
イーサリアム・ネットワークにおける大口取引も大幅に増加している。9月11日には6050件の大口取引が記録され、8月下旬の上昇局面以来の高水準となった。

これは、9月5日に記録された2844件から110%の増加にあたる。
大口取引件数とは、一定期間内に行われた10万ドル超の個別取引を集計した指標だ。この件数の増加は、クジラや機関投資家の活動が活発化していることを示す。
Coinbaseの取引状況からも、クジラが積極的に市場へ参加している影響がうかがえる。
Coinbaseでは9月11日、1日の取引高が26万1880ETHに達した。これは26万8400ETHが取引された8月21日以来、最大の24時間取引高となる。
現物市場への参加拡大やETFへの資金流入、大口取引の増加を総合すると、ETHが2500ドル付近でもみ合うなかでも、市場参加は引き続き活発だと考えられる。
ETHの予測市場、上値目標は2750ドル──9月の重要な下値水準は2250ドル
Polymarketでは現在、ETHが2026年に到達する価格を対象とした契約に、合計145万ドルを超える取引高が集まっている。9月12日時点のデータによると、市場の関心は上値では2750ドル、下値では2250ドルに集中している。
このポジショニングは、トレーダーがETHの次の重要な価格水準をどこに見ているかを測るうえで、有用な指標となる。
上値では、2750ドルに到達するとの市場の確信が最も大きく強まっている。この契約の取引高は8万7500ドルに達し、記事執筆時点の予想確率は29ポイント上昇し、79%となった。

次の重要な上値の試金石は3000ドルだ。この契約には12万1985ドルの取引高が集まり、トレーダーはETHが2026年末までにこの心理的節目へ到達する確率を56%と見積もっている。この確率は6%上昇しており、目先の目標である2750ドルを超える上昇への確信も強まりつつあることがうかがえる。
下値では、46万8054ドル相当の賭けが2250ドル付近に集中しており、短期的な下値の目安として注目されている。トレーダーは現在、ETHが2250ドルに到達するか、それを下回る確率を53%と見積もっている。
この確率が3%上昇したことから、下落リスクは高まっていると考えられる。ただし、この水準をめぐる市場の見方は依然としてほぼ二分されている。
一方、2250ドルを割り込み、さらに大幅に下落するとの見方はかなり弱い。2000ドルを対象とする契約の取引高は28万2060ドルに達しているものの、予想確率は30%にとどまる。
1750ドルを対象とする契約には、単独では最大となる49万6941ドルの取引高が集まっている。しかし、ETHがこの水準まで下落する確率を、トレーダーはわずか16%と見積もっている。
2000ドルと1750ドルの予想確率が低いことから、市場参加者は現時点で、深刻な投げ売りが起きる可能性を限定的に見ていると考えられる。2750ドルを突破すれば強気シナリオが補強され、3000ドルが射程に入る。反対に、2250ドルを割り込めば、市場の関心は2000ドルへ移ることになる。
【次に読む】
» Bitmineが7000万ドル分を購入──イーサリアムは主要トレンドラインを20日連続で維持【価格分析】
» JPモルガン、BTC・ETH ETFの保有拡大──XRP関連商品への投資も再開
» イーサリアム、ステーブルコインでガス代支払いが可能に──2027年に導入予定
