・ビットコイン(BTC)は先週3.8%下落した。米国の現物ビットコイン上場投資信託(ETF)では、4営業日で計4億6270万ドルの資金が純流出した。
・今週は米連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行(英中銀)、日本銀行(日銀)の政策決定が、BTCをはじめとするリスク資産にとって厳しいマクロ環境をもたらす可能性がある。
・ステーブルコインの時価総額は3090億ドルに増加する一方、ビットコインの市場占有率は低下が続いている。この動きは、資金が暗号資産市場内にとどまっていることを示唆している。
主要中銀の政策決定を前に、ビットコインETFからの資金流出とFRBの利上げ観測が重荷に
BTCは、イーサリアム(ETH)や好調な一部のアルトコインに後れを取るなか、主要中央銀行の政策決定が相次ぐ重要な週を迎える。
BTCは先週、週間で3.8%下落し、暗号資産市場全体を下回る最近の値動きが続いた。米国市場はレーバーデーの祝日明けとなる火曜日に取引を再開したため、ビットコインETFの取引日は4営業日にとどまった。

9月8日から11日にかけて、ビットコインETFでは4営業日すべてで資金が流出し、週間の純流出額は計4億6270万ドルとなった。一方、イーサリアムETFは好調で、同じ期間に1億9710万ドルの純流入を記録した。
9月13日時点で、ETHは約2530ドル、BTCは約7万7200ドルで取引されている。9月も半ばに差しかかるなか、月初来ではETHが約1%上昇しているのに対し、BTCは1.8%下落している。
BTCにとって目先の課題は、今週の金融政策日程だ。FRB、英中銀、日銀がいずれも政策金利を決定する予定となっている。
FRB:原油高とインフレで難しさを増す9月の判断
市場では、FRBの政策決定を前に、0.25ポイントの利上げ予想が大勢を占めている。
最新の米雇用・物価統計を受け、9月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まであと3日となった時点で、CMEの「FedWatch」が示す0.25ポイントの利上げ確率は87.5%に達している。

BTCは先週、米非農業部門雇用者数(NFP)や消費者物価指数(CPI)の発表後に大きく動いた。このため、1回の利上げはすでに現在の価格に織り込まれている可能性がある。
原油価格は年末まで100ドル前後で推移すると予想されている。市場は現在、こうした原油高によるインフレ圧力を踏まえ、追加利上げが示唆されるかどうかに注目している可能性がある。
国際エネルギー機関(IEA)は、ホルムズ海峡の混乱が当面続く可能性を指摘する一方、需要動向が原油価格ショックの期間や規模を抑える可能性も強調している。

ブレント原油先物の価格は、2026年の残りの期間も原油価格が高止まりする可能性を示している。
図表では、WTI原油先物の9月11日時点の価格は、10月限が約99.99ドル、11月限が約95.86ドル、12月限が約91.45ドルとなっている。
予測市場Polymarketでは、FRBの年内の政策判断をめぐって見方が分かれている。
9月の利上げが年内唯一の利上げとなる確率は43%。一方、2回の利上げで引き上げ幅が計0.50ポイントとなる確率は41%となっている。
英中銀:意見の隔たりを抱え、様子見の据え置きへ
英中銀は9月17日の金融政策発表で、政策金利を3.75%に据え置くと予想されている。据え置きとなれば6会合連続だ。
ただし、据え置き予想の裏では、金融政策委員会(MPC)の意見が大きく割れている。

Vantage MarketsとYahoo Financeが紹介したアナリストの予想では、据え置きは賛成6、反対3で決まる見通しだ。ヒュー・ピル、キャサリン・マン、メーガン・グリーンの3委員は、0.25ポイントの利上げを支持し、据え置きに反対票を投じるとみられる。
国内のサービス価格の上昇が根強いことは、タカ派の委員にとって引き続き大きな懸念材料となっている。
市場は木曜日の決定だけでなく、11月も見据えている。翌日物金利スワップ(OIS)の動きからは、トレーダーが11月の0.25ポイントの利上げの可能性を見越してポジションを取っていることがうかがえる。
エネルギー価格の上昇圧力が続けば、英国のインフレ率は高止まりし、英中銀の金融緩和の余地が制限される可能性がある。
日銀:追加引き締めが市場の流動性に新たな逆風
日銀も、世界の市場に変動をもたらし得る要因だ。
市場では、日銀が金曜日に政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.25%にするとの見方が広がっている。

実現すれば、日本の借り入れ金利は1995年4月以来の高水準となる。
これは、数十年にわたって続いた日本の超金融緩和からの脱却を、さらに一歩進める動きとなる。最近の為替介入や卸売物価の上昇加速も、日銀に引き締めの継続を促す圧力となっている。
植田和男総裁も、金融政策の正常化をさらに進める可能性を示している。
ロイターの調査では、政策金利は2027年3月までに1.5%に達すると予想されている。エコノミストは、2027年半ばまでに、今回の利上げ局面の最終到達金利が1.75~2.00%となる可能性を見込んでいる。
FRB、英中銀、日銀による3つの政策決定をめぐり、BTCを取り巻くマクロ環境には強弱の材料が入り交じっている。
予想されるFRBの利上げ、英中銀の票割れが示す可能性のあるタカ派姿勢、そして日銀の追加引き締めは、世界の市場の流動性を抑える可能性がある。
一方、年末にかけて原油価格が下落すれば、インフレ圧力が和らぎ、その後の積極的な追加利上げ観測も後退する可能性がある。
したがって、BTCにとって目先のリスクは、今回の金利決定そのものよりも、政策当局が引き締め姿勢の長期化を示唆するかどうかにある。
ステーブルコインの拡大とBTC占有率の低下、リスク選好の継続を示唆
ビットコインの市場占有率の低下は、資金が暗号資産市場から単純に流出しているのではなく、市場内で移動している可能性を示している。
ビットコイン・ドミナンス(BTC.D)とは、暗号資産市場全体の時価総額に占めるビットコインの割合を示す指標だ。
BTC.Dの低下は、暗号資産市場全体に占めるビットコインの比率が小さくなっていることを意味する。
BTC.Dは9月4日以降、約2%低下しており、直近8日間のうち7日で下落した。

ビットコインの市場占有率が低下する一方、先週はETHがBTCを上回る値動きを見せ、ジーキャッシュ(ZEC)やユニスワップ(UNI)など一部のアルトコインも上昇した。BTCが低迷するなかでも、投資家がほかの暗号資産でリスクを取る意欲を保っていることがうかがえる。
ステーブルコインの拡大も、資金が暗号資産市場から単純に流出したわけではないことを示している。
ステーブルコインの時価総額は、月初の3070億ドルから約0.6%増加し、9月13日時点で3090億ドルとなった。

ステーブルコインを保有すれば、投資家は相場の上昇や下落に賭けるポジションを直ちに取ることなく、暗号資産市場で運用できる資金を確保しておける。
その時価総額の増加は、市況が改善した際にビットコイン、イーサリアム、アルトコインへ振り向けられる資金が増えていることを意味する。
この点は、FRBの政策決定後にとりわけ重要となり得る。
FRBが予想どおりの政策変更を行い、引き締めを大幅に強化する方針を示さなければ、ステーブルコインとして待機している資金がリスク資産に戻る可能性がある。
反対に、予想以上にタカ派的な姿勢を示せば、資金はステーブルコインにとどまり、BTCには追加の売り圧力がかかる可能性がある。
BTC価格予測:8月の大商いを伴う上昇を経て、9月の政策決定後は7万6000ドルが重要な支持線に
BTCは現在、8月21日に大きな出来高を伴って形成された陽線の上部付近で取引されている。
この日は約2万BTCが取引され、価格は24時間で7.28%上昇した。
このローソク足の中間に当たる価格は約7万6000ドルで、今週の重要な目安となる。
BTCは足元で7万7000ドル前後にあり、現在の価格と、大きな出来高に裏付けられたこの支持帯との距離はわずかだ。
7万6000ドルを維持できれば、8月の上昇局面で形成された相場の構造を保てる。

また、この水準が足場となり、直近につけた月間高値の8万2300ドルに向けて回復を試す展開も考えられる。
一方、BTCが7万6000ドルを明確に割り込めば、テクニカル面の不安定さが増す。
この水準より下には、それぞれ7.14%、5.23%の上昇を記録した、出来高の大きい2本の連続した陽線がある。
これらのローソク足は、出来高に裏付けられた、より広い支持帯を形成している。ただし、その支持帯を下抜ければ、BTCへの売りが加速するおそれがある。
したがって、7万6000ドルを下回る状態が続けば、調整が一段と深まる可能性が高まる。
もっとも、急落に至るには、過去の上昇局面で確認された買い需要を上回る、大きな売り出来高が必要となるだろう。
今週は7万6000ドルが、BTCの現在のもみ合いが続くか、さらに深い調整に入るかを分ける重要な水準となる。
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