暗号資産(仮想通貨)取引所Binance(バイナンス)は11月3日、約63億ドル(約1兆円、1ドル=159円換算)相当の暗号資産が流出した事件について、偽の採用面接を通じて従業員の端末が侵害されていたと明らかにした。同社は、攻撃が数カ月にわたり段階的に進められたと説明している。
共同CEOのRichard Teng(リチャード・テン)氏は、今回の事件が長期間にわたる組織的な攻撃だったと説明。米連邦捜査局(FBI)は10月31日、北朝鮮系ハッキング集団「TraderTraitor」による犯行と発表した。
バイナンスの最高セキュリティ責任者(CSO)Jimmy Su(ジミー・スー)氏によると、9月にソフトウェアエンジニアが正規の求人サイトを通じて、プロジェクト責任者を装う人物から接触を受けた。偽の人事担当者とのビデオ面接などを経て、CEOを名乗る人物から業務用端末にプログラミング課題をダウンロードするよう指示された。課題には悪意のあるコードが仕込まれていたという。
また、6月には別のエンジニアがAIツールの導入時に、改ざんされたHomebrewのインストーラーをダウンロードしていた。バイナンスは異常を検知し、端末の交換と認証情報の変更を実施したが、ウォレット担当チームに関する情報が攻撃者に知られたとみられる。
攻撃者は10月20日、侵害した端末と社内AIツールを利用してウォレット担当者2人の端末を掌握。29日には盗んだ認証情報を使って不正なプログラムを実行し、協定世界時20時5分から資金流出が始まった。
攻撃ではイーサリアムの「EIP-7702」を悪用し、ホットウォレットに不正な委任権限が設定された。マルチパーティ計算(MPC)を採用する同ウォレットでは単一の秘密鍵で権限を取り消せず、封じ込めは30日0時10分までかかった。
バイナンスによると、約28億5000万ドル相当の資産が凍結または移動阻止され、10月31日時点で影響を受けたトークン資産の約98%が自社資金で補充された。同社は利用者に損失を負担させない方針を示し、外部専門家による独立した検証も進める。
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|文・編集:Shoko Galaviz
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