米国では11月3日(現地時間)、トランプ政権の今後2年間を左右する中間選挙が行われている。下院435議席すべてと上院35議席が改選対象となり、共和党が議会の支配権を維持するのか、それともH民主党が奪還するのかが最大の焦点だ。
選挙結果は日本時間、本日午前8時ごろから順次伝えられる見通しで、本日中に大勢が判明する可能性がある。ただし、接戦となった州や郵便投票の集計状況によっては、上下両院の最終的な支配権が確定するまで数日を要することも考えられる。
ビットコインは選挙直前に7万7,000ドルを割り込み、投資家の警戒感が強まっている。選挙結果によって暗号資産政策の方向性はどう変わり、ビットコイン市場はどのように反応するのか。エックスウィンが4つのシナリオから分析する。
民主党の下院奪還が有力、上院は接戦
11月3日のロイター通信によると、世論調査や選挙分析では民主党による下院奪還が有力視される一方、上院の支配権は依然として不透明だ。トランプ大統領の支持率低下に加え、物価高やイラン情勢に伴うエネルギー価格の上昇などが共和党にとって逆風となっている。
民主党は下院での過半数獲得を狙い、上院でも接戦州での議席増加を目指す。ノースカロライナ、オハイオ、ジョージアなどの選挙結果は、上院全体の勢力図を判断する重要な手掛かりになる。
一方、民主党の優勢が市場で広く認識されている点にも注意したい。金融市場は実際の結果だけでなく、事前予想との差によって大きく変動するためだ。予想通りの民主党勝利であれば反応は限定的となる可能性がある一方、共和党が予想を覆して議席を維持した場合には、市場が政策見通しを修正する可能性がある。
ビットコインは7万7,000ドル割れ、ETFから資金流出
選挙を控えたビットコイン市場は弱含んでいる。11月3日朝のBTC価格は7万6,000ドル台後半で推移。米国のテクノロジー株の下落に加え、機関投資家の買い需要が鈍化している。
米国の現物ビットコインETFでは、10月30日に約6億4,300万ドル、11月2日にも約3億9,900万ドルの純流出を記録した。2営業日の流出額は合計約10億4,200万ドルに達している。また、米国投資家の現物需要を測るCoinbase Premiumもマイナス圏にあり、積極的な買いが戻っているとは言い難い状況だ。
金融政策も逆風となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)は10月28日のFOMCで政策金利を3.75〜4.00%に据え置いたが、2人の委員が利上げを主張した。インフレへの警戒が残る中、米長期金利やドルの上昇は引き続きビットコインの重荷になり得る。
つまり、今回の中間選挙は市場の転換点となる可能性があるものの、選挙だけで現在の資金流出傾向を反転させられるかは別の問題である。
共和党・民主党の勝敗で何が変わるのか
エックスウィンでは、選挙結果とビットコイン市場への影響について、次の4つのシナリオを想定している。

シナリオ1:共和党が上下両院を維持──短期的な上昇材料
共和党が下院と上院の両方で過半数を維持した場合、トランプ政権は引き続き暗号資産に積極的な政策を進めやすくなる。
特に注目されるのが、暗号資産市場の規制枠組みを明確化するCLARITY法案だ。
同法案は9月15日の上院採決で審議を前進させるために必要な60票を確保できず、停滞している。共和党が議会を維持すれば再交渉の機会は残るが、共和党議員の一部にも反対があり、成立が保証されるわけではない。
市場にとっては政策継続への期待が高まり、短期的な買い戻しやショートカバーにつながる可能性がある。ただし、共和党主導の財政拡張が米国債利回りの上昇を招けば、ビットコインの上昇を抑える要因にもなる。
シナリオ2:民主党が下院、共和党が上院を確保──不透明感の解消
現在の情勢から注目されるのが、この組み合わせだ。民主党が下院を奪還すれば、トランプ政権への監視や調査が強まり、暗号資産関連法案の成立には超党派の合意形成が一段と重要になる。
一方、大統領は交代せず、証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)による既存の権限に基づいた規制整備も継続できる。
市場がすでに民主党の下院勝利を織り込んでいる場合、結果判明によって不確実性が解消され、ビットコインが反発する展開も考えられる。
短期的には中立から小幅な上昇を想定するが、その持続性はETF資金フローと株式市場の回復に左右される。
シナリオ3:民主党が上下両院を奪還──短期的には下落リスク
民主党が上下両院を制した場合、トランプ政権の立法政策には大きな制約が生じる。暗号資産業界では、利益相反、消費者保護、マネーロンダリング対策などへの監視が強まり、CLARITY法案の修正や審議長期化が予想される。
暗号資産政策の先行きに対する警戒が強まれば、短期的なBTC売りにつながる可能性がある。
ただし、民主党にも暗号資産の制度整備を支持する議員は存在する。規制の明確化と投資家保護が両立すれば、中長期的には機関投資家の参加を後押しする可能性もある。
また、議会のねじれや財政支出の抑制期待によって長期金利が低下すれば、ビットコインにはプラスに作用し得る。民主党勝利が必ずしも長期的な弱気材料になるわけではない。
シナリオ4:接戦・集計長期化──市場の警戒感が継続
もう一つ注意したいのが、接戦州での再集計や選挙結果を巡る法的な争いによって、議会の支配権がすぐに確定しないケースだ。この場合、投資家は政治的な不透明感を嫌い、株式や暗号資産などのリスク資産への投資を控える可能性がある。
とりわけ現在のビットコイン市場はETFからの資金流出が続いているため、買い需要が回復しない状態で不確実性が長引けば、下落圧力が強まることも考えられる。
反対に、結果が明確になった段階で売り圧力が弱まり、買い戻しが発生する可能性もある。
選挙後、ビットコイン市場で注目したい3つの指標
今回の選挙結果を評価する上で、エックスウィンが特に重視するのは次の3点だ。
第一に、現物ビットコインETFの資金フローである。
選挙後に資金流出が縮小し、再び継続的な流入へ転じるかが重要となる。価格が反発してもETFの資金流出が続く場合、持続的な上昇には慎重な判断が必要だ。
第二に、米国10年国債利回りとドル指数だ。
共和党の勝利によって財政拡張期待が高まれば金利が上昇する可能性がある。一方、政治的な不透明感の解消によって米株が回復すれば、ビットコインも連動して反発する展開が考えられる。
第三に、オンチェーンデータとデリバティブ市場である。
Coinbase Premium、短期保有者の売却動向、先物建玉(OI)、資金調達率を確認することで、価格上昇が新規の現物需要によるものなのか、単なるショートカバーなのかを見極めたい。
筆者の見解──重要なのは勝敗より選挙後の資金の動き
今回の中間選挙は、2027年からの米国の暗号資産政策を考える上で重要な分岐点になる。ただし、筆者は、共和党の勝利を単純な上昇材料、民主党の勝利を下落材料と捉えるべきではないと考えている。
2024年の大統領選挙とは異なり、今回の選挙では政権そのものが交代するわけではない。したがって、市場への直接的な政策ショックは限定的となる可能性がある。
むしろ注目したいのは、選挙後に投資家のリスク選好が回復し、ETFを通じた現物需要が戻ってくるかどうかだ。
ビットコインは現在、7万7,000ドルを下回る厳しい局面にある。選挙結果による短期的な反発は十分考えられるものの、それが本格的な上昇につながるには、現物需要の改善という裏付けが必要になる。
本日、日本時間の午前から午後にかけて選挙結果が順次明らかになる見通しだ。議会の支配権がどのような形で決着するのか、そして市場がその結果をどう評価するのか。
筆者は、選挙結果そのもの以上に、結果判明後24〜72時間のETF資金フロー、米国金利、オンチェーン需要の変化に注目している。
政治的な不確実性が解消されることは、市場回復のきっかけになり得る。しかし、ビットコインの持続的な上昇を最終的に支えるのは、政策への期待ではなく、実際の資金流入である。
ショート動画
米中間選挙でビットコインは急騰か暴落か?共和党・民主党の勝敗で変わる4つのシナリオ
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