バイナンスの1兆円流出は「北朝鮮ハッカー集団の犯行」=TRM

ブロックチェーン分析企業のTRM Labs(ティーアールエム・ラボ)は10月29日、暗号資産(仮想通貨)取引所Binance(バイナンス)から約63億6000万ドル(約9985億2000万円、1ドル=157円)が盗まれたとする分析を公表した。北朝鮮のハッカー集団「TraderTraitor(トレーダートレイター)」の犯行と高い確度で判断している。

判断の根拠には、ブロックチェーン上と外部の情報を挙げた。資金の出所を分かりにくくするサービス「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」からの少額送金による攻撃準備や、事前に取得した電子署名を使って集中的に送金する手口などが、過去の北朝鮮関連の攻撃と共通しているという。

流出は10のブロックチェーンに及び、大部分が10月30日午前5時5分(日本時間)から約20分間に集中した。同社によると、暗号資産の盗難として過去最大規模となる。

バイナンスは10月29日、ウォレットから巨額の資金が流出した問題について、調査中であると明らかにしていた。ステーブルコイン発行企業も、流出した資産の凍結に動いた。

攻撃対象となったのは、取引所が顧客の出金処理などに使う、インターネットに接続された「ホットウォレット」だ。TRMラボによると、イーサリアム上ではウォレットの設定が書き換えられ、攻撃者が資金を引き出せる状態になっていた。

ほかのブロックチェーンでも、送金を承認する電子署名が付いた不正送金が確認された。このため同社は、複数のブロックチェーンにまたがって送金を承認するバイナンスの仕組みが侵害された可能性が最も高いと分析している。

Large circular network diagram with radiating spokes connecting a left node to a right cluster; decorative data flow visualization.
<バイナンスから流出した暗号資産の移動経路。点はウォレットなどのアドレス、線は資金の移動を示す|TRM Labs>

バイナンスも10月30日、初期調査に基づく被害総額を約63億ドルと発表した。関係企業と連携して約30億ドル相当の資産を凍結し、損失はユーザー保護基金「SAFU」と自社資金で全額補償する方針を示した。安全確認のため、入出金を一時停止している。

同社の初期調査では、開発・運用を担う技術者のノートパソコンが侵害され、不正な出金取引につながった可能性が浮上している。一方、ウォレットの秘密鍵が流出した証拠は見つかっていないという。調査が完了し、事実関係を確認した後に詳しい技術報告を公表する方針だ。

TRMラボによると、日本時間10月30日午前9時30分時点で、攻撃者はイーサリアム(ETH)を42万枚超、ビットコイン(BTC)を1万8270枚保有していた。

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|文:NADA NEWS編集部
|画像:Adobe Stock

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