【墨汁うまい氏寄稿】イーサリアム11周年で見えた明暗、DeFi危機と既存金融参入、量子耐性時代へ 

暗号資産(仮想通貨)専業11年目の墨汁うまい(@bokujyuumai)です。イーサリアムは2015年のローンチからついに11周年を迎え、エコシステムとともに大きく変化した1年だったといえます。本稿ではこの11周年に起きたイーサリアムの変化、12周年はどのように変化していくのかについてわかりやすく解説を行います。

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イーサリアム11周年を迎える

イーサリアムは日本時間の2015年7月31日0:26に記念すべき最初のブロックとなる#0、通称ジェネシスブロックを生成しました。これに伴い2026年7月31日はイーサリアムの11周年を迎えたということになり、11年という長い歳月の間、一度もダウンタイムがない24時間365日動き続けるワールドコンピュータとしての存在証明を続けているということになるでしょう。

去年10周年を迎え、この1年はイーサリアムにとって多くの試練や進歩の年となり、より強固で巨大なイーサリアムエコシステムを12周年に向けて多くのデベロッパーやエコシステム関係者が頑張ってきたのです。

フサカアップデートとPeerDAS導入

イーサリアムは日本時間2025年12月4日、大型アップデートのフサカ(Fusaka)でEIP-7594「PeerDAS」を導入しました。このPeerDASはこれまでのアービトラム(Arbitrum: $ARB)やオプティミズム(Optimism: $OP)などのイーサリアムL2が書き込みを行うデータのブロブ(Blobs)の保存方式を変更し、

「ネットワークへの負担はそのままで理論上最大で8倍のスケーリングを可能とする」

という技術です。

PeerDASとは「Peer Data Availability Sampling」の略であり、全ノードがすべてのブロブを管理するのではなく、データ断片とサンプリングで検証する仕組みであり、ステーキングしているバリデータのETH数に応じて役割を与え、スーパーノードと128のサブネットに分割して管理することで可能とするというものです。

すなわちデータの取り扱いをより効率化し、バリデータがブロック生成やコンセンサスの投票(アテステーション)という従来の役割から今後のネットワーク構成のより重要な役割を担う変更ということになるでしょう。

またZKのトレンドも加速しており、2025年末時点ではzkVMsがイーサリアムブロックの証明を10秒以内、すなわちブロック生成を行う約12秒を下回る「リアルタイム証明」が可能となっており、ZK化の波が押し寄せているのです。

DeFiハッキングによるアーべの巨額不良債権トラブル

一方でイーサリアムエコシステム上ではKelpDAOのハッキング被害により、ハッカーがレンディング最大手のアーべ(Aave)を利用したことで巨額の不良債権が発生するというトラブルがありました。

これはアーべ自体は悪くないものの、担保として採用されていたrsETHがレイヤーゼロのブリッジにおけるRPCインフラへの攻撃により偽のクロスチェーンメッセージが有効化された が理由で、存在しないrsETHがミントされてしまった結果、裏付けを確保できない状態でのETH貸付が可能となってしまったことが原因です。

結果的にハッカーのロンダリングしたETHをアービトラム側が凍結、一時テロ被害として連邦裁判所からETHが差し押さえられそうになるなどの法的論争も生じた一方、アービトラムの対応などもあり解決。不足した被害ETHはDeFi Unitedとして寄付が設けられ、イーサリアムエコシステム全体の助けにより結束して不良債権は解決へと至ったのです。

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イーサリアムL2やDeFiの閉鎖が加速

独自のL2チェーンを作ることができる便利な時代になった一方、ETHの収益性とガバナンストークンにおけるTGEの収益化は、アルトシーズンが5年来ていないことによる影響を強く受けてしまっています。

L2やDeFiはフォーク(コピー)によって気軽にローンチできる一方、既にありふれたプロジェクトは実際に開発を行ったプロジェクトと比較して長期的な資金調達をすることが難しく、ETH価格の下落影響を受けてノード管理コストから閉鎖する例が続発している状態なのです。

これはイーサリアムエコシステムが悪いというわけではなく、開発コストは低くて儲かるからという甘い考えが理由であり、競争に勝てずにマネタイズができずに閉鎖していったということになります。

関連記事:【墨汁うまい氏寄稿】L2やDeFiなど暗号資産プロジェクト次々に閉鎖、投資家はどう考えるべきか?

ロビンフッドチェーンがローンチ

アービトラムを利用したイーサリアム上のL2チェーンを証券アプリ最大手のロビンフッド(Robinhood: $HOOD)が日本時間2026年7月2日にローンチしました。これは直近でソラナなどの手軽さを求めるプロジェクトが多い一方、アービトラムという独自L2で最大のTVLを誇るアービトラムを採用したことで注目が集まったわけです。主にロビンフッドチェーンではRWA(現実世界資産)を裏付けにした米国株やETFにフォーカスするとしており、近年のステーブルコインの普及や24時間365日の管理者なしでのコントラクト利用という面から、既存金融も新たなイノベーションとしてL2及びDeFiを受け入れているということを示す非常に大きなニュースだったと言えるでしょう。

ストローマン(ストローマップ)で量子耐性移行への開発加速

イーサリアム財団はShorアルゴリズムにおける量子コンピュータの脅威に対応するため、2030年にかけて今後5年の開発ロードマップとなる「ストローマン(Strawman)」を2026年2月26日に発表しました。

ここでは上記でみたZK証明器(ZK Prover)におけるリアルタイム証明やzkEVMを組み合わせたソラナを超える1万TPSや、PeerDASにおけるイーサリアムL2の10万TPS、ジーキャッシュ(Zcash: $ZEC)スタイルの匿名トランザクションなどを導入するというものです。

今後の2026年大型アップデートではFOCILやePBSなどのバリデータ関連のプロトコルの大幅改善も控えており、イーサリアムの開発力と次世代ブロックチェーンアプローチが高い開発力を示しているといえるでしょう。

これらを考慮すると12周年はZK移行のトレンドを作り、量子耐性の次世代チェーンとしてのリーダーとして圧倒的な開発力で突き進んでいくと墨汁うまいは考えています。

関連記事:【墨汁うまい氏寄稿】イーサリアムのストローマン(Strawman)とは?今後5年の開発ロードマップを理解する

|トップ画像:Adobe Stock

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