【墨汁うまい氏寄稿】暗号資産分離課税へ王手、投資家が見落とす「対象外」の盲点とは?

暗号資産(仮想通貨)専業11年目の墨汁うまい(@bokujyuumai)です。2026年7月15日、参議院本会議にて、暗号資産の規制を従来の資金決済法中心の枠組みから金融商品取引法(金商法)の枠組みへ移行する改正法案が可決されました。

この金商法改正法の成立までは長い道のりとなり、まさに暗号資産投資家にとっての悲願といえるでしょう。本稿では、今回の金商法改正が暗号資産市場に与える影響と、暗号資産投資家が見落としやすい分離課税の盲点についてわかりやすく解説します。 

暗号資産の金商法改正案が成立

日本の暗号資産をめぐる法整備が、ついに大きな節目を迎えました。暗号資産の金商法適用に関する議論が本格化したのは、マウントゴックス以来となる約580億円もの巨額被害を出したコインチェック事件が発生した2018年のことです。

その後、米国でのイーサリアムETFやビットコインETFの承認、トランプ大統領の暗号資産推進の影響から2025年7月から金融審議会で本格的な制度検討が行われ、同年12月に報告書を公表。2026年4月10日に金商法改正案が国会へ提出され、6月11日に衆議院、7月15日には参議院本会議で可決され、正式に成立しました。約8年にわたって進められてきた法整備は、施行を待つ段階まで進んだわけです。

関連記事:【速報】暗号資産の金商法改正案が成立──仮想通貨、正式に「金融商品」へ

20.315%の分離課税がビットコインに適用されるには?

ここで注意が必要なのは分離課税は2026年7月15日以降の取引にすべて適用されるわけではないという点です。分離課税が適用されるには暗号資産の金商法改正法の施行が必要であり、税制大綱では、施行日の属する年の翌年1月1日以後の取引から適用されるとされています。

7月23日に公布された一方、「公布から1年以内に政令で指定」とされていることから、場合によっては2027年7月までかかる可能性も残ります。

Japanese legal document discussing amendments to the Financial Instruments and Exchange Act, with a highlighted paragraph about the effective date (January 1 of the following year) and notes 1–4.
<出典:2026年税制大綱(閣議決定)

現実的にこの金商法改正の施行は2026年内というより、2027年施行という見方が元々関係者からあったことを考慮すると、実際に分離課税が適用されるのは、2028年1月1日以降の取引からになると考えておく方が安全です。

分離課税は暗号資産すべてが対象ではない

また重要となるのはイーサリアム(ETH)やビットコイン(BTC)のような決まったものではなく、

1.その暗号資産の名称が、金融商品取引業者登録簿に登録された「特定暗号資産」であること

2.日本の登録暗号資産取引業者への売却、または同業者への売却委託によって売却すること

という条件があります。

すなわち基本的には、税制上の「特定暗号資産」に該当する銘柄を、国内登録業者を通じて売却することが分離課税の前提になると理解するのがわかりやすいでしょう。 

一方で、海外取引所やDEX、DeFi上での交換・運用・報酬取得については、その時点で別途課税関係が発生する可能性があります。したがって、国内取引所に入金して最終的に売却すれば、過去のすべての取引や運用益まで分離課税になると単純に考えることはできません。

エアドロップや新規トークンは原則総合課税

また暗号資産交換業者の取扱い・登録簿を前提とする方式であることを考慮すると、エアドロップやTGE、IEO/ICOなどで取得した新規トークンについては、取得時点で所得が発生する場合、原則として分離課税ではなく、従来どおり雑所得や事業所得等として扱われる可能性があります。 

これらのエアドロップなどの新規トークンで分離課税を適用するには

1.暗号資産交換業者が申請処理をして上場

2.国内の暗号資産取引所に入金して売却

が必要となり、分離課税の恩恵を受けるには時間がかかるということになるでしょう。

またこれらに沿って考えると、

・レンディング
・ステーキング
・LP報酬
・マイニング

などのDeFiや運用における利益も取得時点の所得は原則として分離課税の対象外です。

したがって、海外送金やオンチェーン上での運用は暗号資産の強みである一方、分離課税の対象外となる場面も多く、事実上、総合課税と分離課税が混在してしまうというわけです。 ここで複雑なのは、国内暗号資産取引所がステーキングサービスを提供している場合でも、ステーキング報酬やレンディング利息を受け取った時点の所得は原則として総合課税となり、その後に当該暗号資産を売却した際の譲渡損益は分離課税の対象となり得る点です。つまり、受け取り時点の所得と売却時の譲渡損益を分けて考える必要があり、申告は複雑になるといえるでしょう。 

分離課税で得しない例もある

またこのような混在する例では金商法が施行後の分離課税よりも、総合課税の方が得する場合、分離課税で得しないような例も考えられることになります。分離課税は20.315%という固定の税率である一方、総合課税はそもそもの所得によって税率が変化し、最大で55%ということになります。

この総合課税では暗号資産の損失と利益を合算できる一方、原則分離課税との合算はできません。すなわち国内でイーサリアムを売却して得た利益と、国内取り扱いのない投機トークンなどが暴落して出した損失を合算できないということになるのです。その場合は、総合課税として扱われる取引の方が、結果的に税負担が小さくなるケースも考えられます。

ただし分離課税分は一定の要件の下で特定暗号資産に係る譲渡所得等との通算や3年間の繰越控除が認められるという利点もあります。

したがって、暗号資産市場の状況や投資家ごとの所得水準、損益状況によっては、分離課税が必ず有利とは限りません。分離課税は暗号資産投資家にとって大きな前進である一方、対象となる特定暗号資産と対象外の暗号資産、国内取引所での売却と海外取引所・DEXでの取引、さらにステーキングやレンディングなどの取得時課税を分けて管理することが、これまで以上に重要になるでしょう。

PR

ボーナスで始めるのにおすすめな国内暗号資産取引所3選

取引所名特徴

Coincheck
500円の少額投資から試せる!】
国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1
※対象:国内の暗号資産取引アプリ、データ協力:AppTweak
銘柄数も最大級 、手数料も安い
無料で口座開設する

bitbank
【たくさんの銘柄で取引する人向け】
◆40種類以上の銘柄を用意
◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得
無料で口座開設する

bitFlyer
初心者にもおすすめ】
◆国内最大級の取引量
◆トップレベルのセキュリティ意識を持つ
無料で口座開設する