ビットコインは8万ドルを維持できるか──米原油在庫が300万バレル減、インフレ長期化を示唆【価格分析】

●ビットコイン(BTC)は金曜日に7万9256ドルまで下落した後、8万ドル台を回復したが、週足では3週連続の下落となった。

●米国の商業用原油在庫は2週間で1161万8000バレル減少し、ブレント原油は116.72ドルまで上昇した。

●米連邦準備制度理事会(FRB)の次回の金融政策決定を前に、AI関連銘柄への集中とエネルギーコストの上昇が、リスク資産の先行きを複雑にしている。

AI関連株安と原油100ドル台が米国・アジア市場を圧迫、BTCに一段安のリスク

人工知能(AI)への投資やその収益性を巡る懸念が再燃し、世界的にリスク回避の動きが強まるなか、BTCは8万ドルを割り込んだ。投資家はエネルギー価格の上昇と、それがインフレやFRBの金融政策に及ぼす影響も見極めようとしている。

10月23日(金)、S&P500種指数は0.52%安の7,623.68、ナスダック総合指数は0.2%安の25,955.34となった。ハイテク株全般に売りが広がるなか、韓国株と台湾株には、さらに強い下押し圧力がかかった。

J.P. Morgan Private Bank(JPモルガン・プライベート・バンク)の分析によると、台湾と韓国はAIのサプライチェーンとの結び付きも強い。MSCI台湾指数では、ハイテク機器と半導体関連銘柄が約86%を占める。より広範なMSCI新興国アジア指数でも、AIのバリューチェーンと密接に関わる企業の比率は59%に達する。

こうした偏りがあるため、両市場は半導体需要やAI投資を巡る市場心理の変化に左右されやすい。

The Block(ザ・ブロック)によると、10月22日(木)にはナスダック総合指数が2.6%下落し、1日の下落率としては6月以来の大きさとなった。AI投資や株価水準を巡る懸念から、NVIDIA(エヌビディア)は4.4%、Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)は6.26%、Advanced Micro Devices(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は8.1%下落した。売りはアジア株にも波及し、金曜日の取引では韓国総合株価指数(KOSPI)が2.3%、日経平均株価が1.6%下落した。

この逆風はBTCにも及んだ。金曜日には一時7万9256ドルまで急落したが、10月25日(日)までに8万200ドルへ反発した。10月2日に8万7249ドルを付けて以降、週足では3週連続の下落となり、10月2日の8万7249ドルから、10月25日の8万200ドルまでの下落率は約8.1%となった。

直近の週間下落率は約2%だった。次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、FRBが金融政策に関する対外発言を控える「ブラックアウト期間」に入るなかでの値動きだ。FRBの政策担当者による発言が制限されるなか、この週の暗号資産(仮想通貨)市場は、原油相場の動向、世界的なAI投資の評価見直し、そして上場投資信託(ETF)への資金流出入の変動に左右された。

米原油在庫が減少、原油価格は約半年ぶりの高値に

金曜日の原油相場は続伸した。中東情勢の緊迫化に加え、米国の原油在庫が市場予想を上回る減少となったことが背景にある。

ブレント原油先物は3.14%高の1バレル=116.72ドルで取引を終え、4月29日以来の高値を付けた。米国産標準油種のWTI原油も3.8%上昇し、1バレル=103.27ドルとなった。

米エネルギー情報局(EIA)によると、10月16日までの1週間で、戦略石油備蓄(SPR)を除く商業用原油在庫は306万1000バレル減少し、4億1251万7000バレルとなった。前の週にも855万7000バレル減少していた。

Weekly Petroleum Status: US crude oil stocks by PADD regions (10/16/26 and 10/9/26) with weekly and year-on-year changes; download XLS/CSV/JSON/PDF icons.
<米週間石油在庫報告|EIA、2026年10月21日公表>

10月9日までと16日までの2週間を合わせると、在庫の減少量は1161万8000バレルに達した。米国の商業用原油在庫は現在、前年同期を1030万7000バレル下回っている。

EIAの「週間石油状況報告(WPSR)」は、米国の原油・石油製品の在庫、生産、輸入、製油所の稼働状況を毎週詳しくまとめる主要な報告書だ。

今回の在庫減少幅は前週に比べて約64.2%縮小したものの、市場予想は上回った。市場予想の中心値は82万バレルの減少だったが、実際の減少量は300万バレルを超えた。

ブレント原油は10月21日に110ドルを突破し、23日には116.72ドルで取引を終えた。原油価格の上昇と急速な在庫減少は、FRBが掲げる2%のインフレ目標の達成を遅らせている。米労働統計局(BLS)の発表によると、8月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%、前年同月比3.4%上昇した。こうした物価動向は、生産者がコスト上昇分を消費者に転嫁していることを示唆している。

FRBは、米国時間10月27~28日開催のFOMC(日本時間29日に結果発表)を前に、難しい判断を迫られている。エネルギー価格の上昇はインフレを高止まりさせる一方、利上げが長引けば、個人消費や経済成長を弱める恐れもある。

10月20日に公表されたReuters(ロイター)の調査では、回答者の大半が10月会合での政策金利の据え置きを見込んだ。一方、調査対象となったエコノミスト100人全員が、12月の利上げを予想した。

原油高はBTCに何をもたらすのか

投資家がエネルギー価格、インフレ、金融環境の関係を見極めるなか、BTCは複数のマクロ経済要因がせめぎ合う状況にある。

原油高は金融引き締めが続くとの見方を強め、米国債利回りを押し上げるとともに、利息を生まない資産を保有する機会費用を高める可能性がある。

その結果、金融環境が引き締まれば、BTCをはじめとする投機的資産には、さらなる売り圧力がかかり得る。加えて、10月25日(日)時点で、BTCと原油の相関係数はマイナス0.7となっている。足元では両者の価格に負の相関が見られるが、原油高がBTC下落の原因であることを示すものではない。

Bitcoin price chart in USD (BTCUSD) with daily candlesticks from June to November and a blue CC (Brent, close, 20) momentum line at about -0.72.
<BTCとブレント原油(BRENT)の価格相関係数|TradingView(トレーディングビュー)>

最近のAI関連株の売りも、新たなリスク要因だ。マクロ経済の先行きが不透明な局面では、BTCは景気動向に敏感な資産と連動して値動きしてきた。そのため、ハイテク株の下落は暗号資産市場の投資家心理にも影響する。

ETFの資金フローも、BTCの値動きと米国市場との結び付きを強めている。週初の3営業日には計10億ドルが流入した一方、木曜日と金曜日には計7億7350万ドルが流出した。

BTCが週末に回復した8万ドル台を維持できるのか、それともAI関連株の一段安と原油高を背景とする金融環境の引き締まりによって、再び下落に向かうのか。先行きはなお不透明だ。

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