バイナンスの大規模ハッキング、米国の中間選挙、そして不透明な世界情勢。ビットコイン市場では、取引所への信用不安と政治・経済のリスクが重なり、先行きを見通しにくい状況が続いている。
11月1日時点で、ビットコインは7.7万ドル台で推移している。直近7日間の価格帯は、およそ7万6300〜8万1800ドルだった。
エックスウィンは、短期的には下落リスクをやや重く見ながら、選挙前後の乱高下を経て底固めを探る展開を基本シナリオと考える。年末に向けた反発余地はあるものの、持続的な上昇には、信用回復と新たな買い需要の両方が必要だ。
バイナンスの信用回復は、出金再開後が正念場
バイナンスを巡っては、事態の収束に向けた動きが進んでいる。同社は被害資産の約95%を補填したと説明し、損失を利用者に負担させない方針を示した。ロイターは11月1日、BTCの出金再開を報じている。補填は会社資金などによる資産の買い直しを含み、盗まれた資産そのものの回収とは区別する必要がある。
ここから重要になるのは、再開後も出金に対応し続けられるかだ。実際に資産を引き出せる状況が続けば、不安は徐々に和らぐだろう。一方、再停止や追加被害、他の事業者への影響が明らかになれば、信用不安が再び売りにつながる可能性がある。
取引所からの資産流出の解釈にも注意したい。出金には自己保管ウォレットへの移動や他社への移管も含まれる。出金額の増加だけで売却圧力を判断せず、その後の移動先や現物市場の売買を合わせて見る必要がある。
ETF流出が示す、買い需要の弱さ
買い需要の回復には、まだ慎重な確認が必要だ。米国のBTC現物ETFは10月30日に約6億4320万ドルの純流出となった。事件前の10月22日にも約6億3560万ドルが流出しており、投資家の慎重姿勢は事件以前から見られていた。
このため、バイナンスへの不安が後退して価格が反発しても、ETFなどを通じた資金流入が続くかを確認したい。売り方の買い戻しで価格が上がる局面と、新規の現物買いが相場を支える局面では、反発の持続性が異なる。
米中間選挙は「予想との差」に注目
米中間選挙では、結果が事前の予想からどれだけ外れるかが焦点になる。10月22〜26日に実施されたReuters/Ipsos調査では、投票に行く可能性が高い層の議会選挙の投票先は、民主党53%、共和党44%だった。ただし、全国調査の支持率から、選挙区ごとに決まる議席数を直接読み取ることはできない。
エックスウィンは、予想に近い結果が受け入れられれば、不透明感の後退が反発を支える可能性があると見る。一方、接戦や結果を巡る争いが長引けば、買いを控える動きが続きやすい。選挙後は、暗号資産の法整備が超党派で進むか、財政政策が金利にどう影響するかへ市場の関心が移るだろう。
原油高と高金利が上値を抑える可能性
中期的に重視しているのが、世界情勢から原油、物価、金利へと波及する経路だ。10月30日には、中東情勢への懸念を背景にブレント原油が1バレル117.63ドルで取引を終えた。
FRBは10月28日、政策金利の誘導目標を3.75〜4.00%に据え置いた。声明はインフレが依然として高いと指摘し、反対した2人は0.25ポイントの利上げを主張している。
原油高が続けば、インフレ圧力を通じて高金利が長期化し、BTCを含むリスク資産への資金流入を抑える可能性がある。また、緊張が急激に高まる場面では、現金確保や損失補填を目的とした売却も起こり得る。バイナンスの対応が進んでも、こうした金融環境が上値を抑える展開は想定しておきたい。
オンチェーン需要が映す、反発の持続力
掲載チャートでは、青色の1年指標が大きなマイナス圏にあり、30日指標も直近はマイナスが続いている。秋に価格が反発した局面でも、需要の回復が定着したとは読み取りにくい。この点は、反発の持続力を慎重に見る理由の一つになる。
筆者は、まず30日指標のマイナス幅が縮小し、プラス圏への転換が定着するかを確認したい。その改善にETFへの資金流入や現物買いが伴えば、上振れシナリオを検討する根拠が増す。一方、需要が弱いままであれば基本シナリオを維持し、さらに悪化すれば下振れリスクを重く見る。

今後2〜6週間、三つの価格シナリオ
以上を踏まえ、エックスウィンは今後2〜6週間について、三つのシナリオを想定している。価格帯は11月1日時点の情報をもとにした独自の想定であり、条件の変化に応じて見直す。
基本シナリオは、7.2万〜8.2万ドルの範囲で推移する展開だ。バイナンスの出金対応が進む一方、買い需要の回復は緩やかにとどまり、反発と下値確認を繰り返すと考える。
上振れシナリオでは、8.2万〜9万ドルへの回復を想定する。バイナンスへの信用回復、選挙後の不透明感の後退、ETFへの継続的な資金流入が重なれば、反発が続く可能性がある。
下振れシナリオでは、6.5万〜7.2万ドルへの下落を想定する。信用不安が他の事業者に波及し、ETFからの資金流出や地政学リスクの悪化も重なれば、もう一段の下値を探る展開に注意が必要だ。
荒澤の見方──反発を見極める三つの条件
筆者が見通しを上向きに変える際に確認したいのは、三つの条件である。
一つ目は、出金再開後もバイナンスが安定して対応を続けること。二つ目は、米国のBTC現物ETFが5営業日合計で純流入に転じること。そして三つ目は、先物の過熱を伴わず、現物市場で買い需要が増えることだ。
急反発の後の押し目で安値を切り上げられるか。その動きが資金流入を伴っているか。年末に向けた回復を見極めるうえで、筆者は価格と資金の動きを合わせて確認していきたい。
ショート動画
ビットコインは反発する?今後6週間の3シナリオと確認条件
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