● ビットコイン(BTC)の大口取引(クジラ取引)件数は10月25日の日曜に5192件まで減少し、9月13日以来、約40日ぶりの低水準となった。BTCは8万ドル超の維持に苦戦している。
● 米フィラデルフィア半導体指数(SOX)は過去30日間で13%下落し、AI関連銘柄の調整がビットコインに波及する懸念が強まっている。
● ビットコインのデリバティブ市場では、中央銀行の決定を控え、7万8200ドルの支持線と8万2650ドルの抵抗線が主要な清算ゾーンとして意識されている。
大口取引(クジラ活動)が40日ぶり低水準、ビットコインは8万ドル近辺で推移
10月26日の月曜、ビットコインは週末に一時7万9250ドルまで下落した後、8万200ドル超で取引を開始した。投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)からの新たな流動性シグナルを見極めようとする中、クジラの活動は弱まった。
FRBの金融政策決定とその発信内容は、世界的な借り入れコストや為替市場、リスク資産への選好に影響を与える可能性がある。ビットコイン投資家は、機関投資家の需要や半導体株、レバレッジをかけたデリバティブのポジションの動向も、次の方向性を示すシグナルとして注視している。
以下の3つのチャートは、こうした相反する力学を読み解く手掛かりとなる。ビットコインの大口取引、フィラデルフィア半導体指数、そして12月のFRB金利見通しだ。
チャート1:ビットコインの大口取引件数、40日ぶりの低水準にクジラ活動の鈍化示す
TradingViewのデータによると、ビットコインは10月25日の日曜に5192件の大口取引を記録した。これは9月13日以来、40営業日超で最も低い水準で、月間ピークである10月21日の9160件と比べても40%超低い。

大口取引件数は、1日あたり名目10万ドルを超える単独取引を追跡する指標で、企業や富裕層個人によるビットコインの日々の取引動向を測る代理指標となる。さらに、BTCの大口取引件数は、直近3カ月それぞれで前月よりも低いピークを記録している。9月のピーク(1万6095件)は、8月の1万745件、9月の1万742件を下回った。
大口トレーダーの参加が弱まれば、利用可能な流動性の厚みが減少し、相場の節目となるイベント時にビットコインがより大きなボラティリティーにさらされる可能性がある。大口の買い手による売り圧力の吸収が減れば、今後数週間でビットコインがより急な日中の下落を経験する可能性もある。
また、クジラの活動の低下は、一部の高額投資家の間で確信度が弱まっているとの見方を補強する可能性があり、足元のETF資金フローの不安定さとも重なる。
米国の現物ビットコインETFは、前週の最初の3営業日で約11億ドルの資金を集めたと報じられている一方、最後の2営業日では7億7350万ドルの資金流出に見舞われた。
月曜のETF資金フローの数値と、オンチェーンで実行される大口取引は、FOMCの決定を前に大口投資家が市場に戻りつつあるのか、それともエクスポージャーを削減しているのかを示すシグナルとなるだろう。
チャート2:フィラデルフィア半導体指数が示す、AI売りの波及リスク
フィラデルフィア半導体指数(SOX)は、今後1週間の市場を読む上で有用な、クロスマーケットのシグナルを提供する可能性がある。
SOXは月曜に1.4%反発し1万1000近辺まで戻す前、YahooFinanceのデータによると、前週に約4%、10月26日までの30日間では13%下落していた。この下落は、インフラ投資とその収益との間の潜在的な不均衡を巡る、AI関連銘柄の評価額への懸念の高まりを反映している。

米テクノロジー業界との結び付きの強さから、BTCは半導体株の売りがもたらす逆風の影響を受けやすい。10月26日の月曜時点で、ビットコインとSOXの相関係数は約0.67となっており、9月初旬以降、両資産が同じ方向に動く傾向にあることを示している。
SOXとして知られるフィラデルフィア半導体指数は、半導体技術の設計・製造・供給に携わる主要企業の値動きを追跡する指数だ。構成銘柄30社には、データセンターや人工知能(AI)を支えるチップメーカーや製造装置メーカーが含まれ、10月26日時点の合計時価総額は15兆ドルに達する。
チャート3:10月の「据え置き」はほぼ織り込み済み、焦点はウォーシュ議長の12月への言及
12月のFRB金利見通しを巡る変動は、今後1週間のボラティリティーのもう一つの主要な材料となりうる。
もっとも、CMEグループのアナリストは、10月28日のFOMC会合でFRBが金利を据え置く確率を80%としており、市場の最大の注目点はケビン・ウォーシュ議長の発言が12月に向けてどのような手掛かりを示すかとなる。
12月に0.25%の利上げが行われるとの予測市場の確率は、月曜時点で74%だった。

原油価格も、もう一つの複雑な要因となっている。ブレント原油は10月23日の金曜、1バレル116.72ドルで取引を終え、4月29日以来の高値水準となった。WTI原油は103.27ドルで取引を終えた。
米エネルギー情報局(EIA)も、10月16日終了週の商業用原油在庫が306万1000バレル減少したと発表した。これは前週の855万7000バレルの減少に続くものだ。
ウォーシュ議長がエネルギー主導の根強いインフレへの懸念を強調すれば、12月の利上げ期待がさらに高まる可能性がある。そうした織り込みの修正は、流動性引き締めへの期待が投機的資産への選好を弱めることで、ビットコインへの圧力材料となりうる。
逆に、インフレ見通しへの自信を示すハト派的な発言となれば、12月の利上げ期待は後退する可能性がある。その場合はリスク資産を下支えする可能性がある。
今後の見通し
短期的には、出来高の減少と建玉の増加により、ビットコインはFOMC週を相反する市場シグナルの中で迎えることになり、ボラティリティーにさらされやすい状況にある。BTCのクジラ取引活動は弱まっており、半導体株が軟調に推移する中、FRBの政策スタンスが引き締まるとの見方も重なっている。
機関投資家の需要が十分に回復し、ビットコインを8万ドル超で支え続けられるかどうかは、なお見通せない。ETF資金フロー、半導体株の値動き、そして12月の利上げ見通しの変化が、ビットコインが8万2650ドルを再び試すのか、それとも7万8200ドルに向けて下落するのかを左右する材料となりそうだ。
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