欧州中央銀行(ECB)のPiero Cipollone(ピエロ・チポローネ)理事は、2027年に試験運用を開始する「デジタルユーロ」が、欧州の決済インフラにおける自立性を高め、EUに「主権」をもたらすとの考えを示した。
イタリア紙「ミラノ・フィナンツァ」のインタビューに対し語ったもので、ECBが10月24日に内容を公表した。
同氏は「第三者に強く依存している状態では、システムの円滑な運用は難しくなる」と指摘。具体的な企業名は伏せたものの、欧州内のオンライン決済におけるカード取引の3分の2が域外のシステムに依存している現状を明かした。
さらに「欧州は近年、一部の不可欠なサービスを第三者だけに頼れないと学んだ。エネルギーで経験し、今は防衛で経験している。決済も同じだ」と語った。その一方で「主権とは第三者を締め出すことではなく、選択する力をもつことだ」とも述べた。
デジタルユーロの試験運用は、ECBと各国の中央銀行職員による実際の取引を通じて行われ、すでに36の市場事業者が準備に参加している。法案を巡っては、EU理事会が2025年12月、欧州議会が2026年7月にそれぞれ交渉方針を固め、現在は3者協議が進行中だ。
チポローネ理事は年内の法案採択に期待を示しており、これが実現すればECBは2029年にデジタルユーロを発行できる見通しとなっている。
なお、日本銀行は2026年6月にパイロット実験の進捗報告書を公開したものの、発行の最終判断には至っていない。
暗号資産業界においては、保有上限が設定される見込みのデジタルユーロと、欧州の民民間銀行などが手掛けるユーロ建てステーブルコインとの役割分担や棲み分けが今後の注目点となる。
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|文・編集:井上 俊彦
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