10月に入り、ビットコインのオンチェーンデータや市場の需給指標に変化が表れている。私は10月13日付の本欄「ビットコイン、10月の底固めに兆し──『アップトーバー』を支える需給の変化と中間選挙」で、「底固めの条件が少しずつ整い始めている」と述べた。取引所残高の低下、大口の蓄積、推計需要の回復が、その根拠だった。
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その後のチャートを点検すると、下支え材料は残る一方、改善の持続性を慎重に見極める必要がある。取引所残高は低水準ながら増加に転じ、現物需要の回復も定着していない。大口保有者の行動にも違いが見えてきた。
特に注目したいのは、取引所残高の方向、現物と先物の需要の差、保有規模別の蓄積状況の3点だ。前回指摘した底固めの兆候が、次の上昇を支える需要へつながっているのかを確認したい。
① 取引所BTC残高は低水準だが、減少は続いていない

前回の記事では、9月下旬から取引所残高が減少し、直近では少し戻していると説明した。今回のチャートでも、10月上旬に約267万BTC付近まで低下した後、約268万BTC台へ戻る動きが確認できる。数値はチャートからの概算だ。
年初より低い残高は、引き続き供給面を考えるうえで重要だ。ただし、残高が「低い」ことと、「減り続けている」ことは分けて評価したい。足元ではBTCが取引所へ戻っており、供給減少だけを理由に強気判断を続けるには慎重さが必要になる。
保管先の変更なども含まれるため、残高増加がそのまま売却を意味するわけではない。それでも、現物需要が弱い局面では、戻ってきたBTCを買い手が吸収できるかが焦点となる。
② 現物需要の回復は定着せず、先物需要が先行

前回はApparent Demandという推計需要指標の回復に注目した。今回は、現物と無期限先物の需要増減を分けたチャートから、需要の内訳を確認する。前回とは指標の定義が異なるため、数値を直接比較するものではない。
現物需要は10月に入りマイナス幅を縮小し、ゼロ近辺まで改善する場面があった。しかし、直近では再びマイナスとなっている。一方、先物需要はプラスとなり、総需要を支えている。需要全体の改善と、現物買いの持続的な回復が一致しているとはいえない。
先物には投機やヘッジも含まれるため、その増加だけで市場の方向を断定することはできない。持続的な上昇を評価するには、現物需要のプラス転換と、その継続を確かめたい。この図は30日累計の需要増減を示し、当日だけの売買量ではない。
③ 大口の行動は分かれる──蓄積継続と残高減少が混在

前回は、大口の総保有量が300万BTC前後まで回復した点を取り上げた。今回は保有規模別の残高変化を見て、蓄積の広がりを確認する。
100〜1,000BTCを保有する層は、60日間の純残高変化がプラスを維持している。ただし、9月下旬のピークからは大きく縮小し、直近で小幅に持ち直している。蓄積は続くものの、以前の勢いには戻っていない。
1,000〜10,000BTC層では、直近の純減幅が縮小してゼロ近辺へ戻っている。残高減少が弱まった点は改善材料だが、純増への転換とは区別したい。一方、10,000BTC超の層は直近でマイナス圏にある。
大口の総保有量と、各保有層の増減は異なる角度の指標だ。一部の蓄積を、大口全体に買いが広がった証拠とすることはできない。また、この図には9月以前の動きや保有区分の移動も含まれ、10月だけの売買量とは解釈できない。
荒澤の視点──底固めの兆候を、現物需要で確かめる段階へ
前回の記事で私が重視したのは、価格の弱さのなかでも市場内部に改善が見られたことだった。その下支え材料がすべて失われたとは考えていない。一部の大口は蓄積を続け、取引所残高も年初比では低水準にある。
ただし、今回の3つのチャートは、その改善が市場全体へ十分に広がっていないことも示している。現時点では、底固めにつながる材料は残るものの、持続的な上昇を支える現物需要の回復は確認途上にある、と捉えている。
今後は、現物需要が継続してプラスとなるか、取引所に戻るBTCを買いが吸収できるか、大口の純増が複数の保有層へ広がるかに注目したい。前回触れた中間選挙や金融政策への期待も、実際の資金配分につながるかが重要になる。
「アップトーバー」への期待を評価する際も、データの変化を追い続ける必要がある。底固めの兆候を見つけた後に確認すべきなのは、価格の反発を支える買い手が、継続的に増えているかどうかだ。
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ビットコイン、底固めは続く?3つのデータが示す変化
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