エックスウィン アメリカマーケットリサーチアナリストのデリア・ロホです。
サンフランシスコから、今回は少し個人的なお話をしたいと思います。
最近、アメリカで暮らしていて、私はあることを考えるようになりました。
「アメリカは今も自由な国なのに、なぜ人々は以前ほど幸せそうに見えないのだろう」
共和党政権になったからといって、アメリカの自由そのものが消えたわけではありません。自分の意見を表明し、ビジネスを始め、新しい技術に挑戦する自由は、今もアメリカ社会の大切な価値観です。
しかし、自由があることと、未来に希望を持てることは、必ずしも同じではないのかもしれません。
高校時代のアメリカは、もっと幸せだった気がする
私が高校生だった頃を思い出すと、今よりもずっと気楽に生きていたように感じます。
友人と過ごす時間、週末の予定、家族との食事、将来への夢。
もちろん、当時にも悩みや社会問題はありました。それでも、日常の中にもっと自然な幸せがあったように思います。
「これからどんな人生を送ろうか」
そんな未来への期待がありました。
今はどうでしょうか。
街を歩いていても、ニュースを見ても、SNSを開いても、人々が何かに追われているように感じることがあります。
仕事をして、生活費を払い、将来のために貯蓄する。
一生懸命働いているのに、なかなか生活が楽にならない。
昔は未来を楽しみにしていたのに、今は未来を心配する時間が増えている。
私は、そこに現在のアメリカ社会の一つの変化があるように感じています。
物価高が奪っているのは、お金だけではない
アメリカで生活していると、インフレの影響を日常的に感じます。
スーパーの食料品、レストランでの食事、家賃、保険料、さまざまなサービス。
以前と同じ生活をしているつもりでも、必要なお金は増えています。
特にサンフランシスコ周辺では、住居費の高さが大きな負担です。
経済ニュースでは、株価の上昇や企業利益の拡大が報じられます。しかし、そうした数字がすべての家庭の安心につながっているわけではありません。
私は、インフレが奪うものは購買力だけではないと思っています。
それは、「頑張って働けば、明日は今日より良くなる」という感覚です。
収入が増えても生活費が上がる。将来のためにお金を貯めても、その価値が目減りするように感じる。
こうした経験が続くと、人々は次第に疲れてしまいます。
政治的不安と、失われつつある安心感
もう一つ感じるのは、政治を巡る空気の変化です。
アメリカでは、政治について意見を持ち、議論することはごく自然なことです。
しかし最近は、政治的な立場の違いが、家族や友人との会話にも影響することがあります。
共和党を支持する人も、民主党を支持する人も、それぞれにアメリカの未来を心配しています。
経済成長を重視する人もいれば、生活費、医療、教育、社会保障を重視する人もいます。
問題は、どちらの政党が正しいかということだけではありません。
多くの人が、自分たちの生活がこれから良くなるという確信を持ちにくくなっていること。
私はそこが気になっています。
自由に意見を言える社会であっても、毎日が不安とフラストレーションに満ちていれば、人々は自由を十分に楽しめないのかもしれません。
だからこそ、Bitcoinに「自由」を感じる人がいる
ここで、私はBitcoinについて考えます。
Bitcoinが生まれた背景には、既存の金融システムに対する問題意識がありました。
特定の銀行や政府だけに依存せず、世界中の人々が共通のルールの下で価値を移転できる仕組みです。
誰かの許可を得なくても、自分で資産を管理し、国境を越えて送金できる可能性がある。
もちろん、Bitcoinは価格変動が大きく、すべての人に適した資産ではありません。詐欺や秘密鍵の管理など、利用者自身が理解しなければならないリスクもあります。
それでも、Bitcoinの思想には、アメリカ人が大切にしてきた価値観と重なる部分があります。
自由、自己責任、独立、そして未来への挑戦。
Bitcoinを支持する人々の中には、単に価格が上がることを期待しているだけではなく、自分のお金や経済的な選択肢を、自分自身でコントロールしたいと考える人もいます。
私は、その気持ちを理解できます。
Bitcoinは希望になれるのか
先日ご紹介したChainalysisの「2026 Global Crypto Adoption Index」では、アメリカは世界2位となりました。
しかし、世論調査を見ると、アメリカ人の多くは今も暗号資産を高リスクだと考えています。
つまり、Bitcoinがすべての人から信頼されているわけではありません。
それでも、これだけ多くの人々がBitcoinや暗号資産に関心を持つのはなぜでしょうか。
私は、その理由の一つに「新しい選択肢への期待」があると思います。
既存の金融システムを否定する必要はありません。銀行も、株式市場も、政府の制度も重要です。
しかし、それらに加えて、自分自身で選択できる新しい金融の仕組みがある。
その可能性が、人々に希望を与えているのではないでしょうか。
ただし、Bitcoinが物価高や生活の不安を自動的に解決してくれるわけではありません。価格の下落によって、かえって家計の不安が増す可能性もあります。
だからこそ、Bitcoinの希望を語るときには、同時にリスクや責任についても語る必要があると思います。
私がもう一度見たいアメリカ
私は、アメリカが自由を失ったとは思っていません。
今も新しい会社が生まれ、若い起業家が挑戦し、世界を変える技術が開発されています。
サンフランシスコには、そうしたエネルギーが残っています。
ただ、私が高校時代に感じていたような、未来を素直に楽しみにできる気持ちは、今の社会では少し見つけにくくなっているように感じます。
もっと自由に生きたい。
もっと安心して暮らしたい。
もっと自分の人生に希望を持ちたい。
これは、政治的な立場に関係なく、多くの人に共通する願いではないでしょうか。
私にとってBitcoinは、単なる価格チャートではありません。
それは、人々が自分の経済的な未来について、これまでとは違う選択肢を持てるかもしれないという、一つの可能性です。
自由があるだけでは、人は幸せになれない。
その自由を使って、より良い未来を描けることが大切なのだと思います。
Bitcoinが、その希望を支える選択肢の一つになれるのか。
私はアメリカ人として、そして暗号資産市場を研究する一人として、これからも見つめていきたいと思います。
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