暗号資産市場には、世界中に優れたアナリストが存在する。ビットコインの価格を予測する人、ブロックチェーン上の資金の動きを追う人、マクロ経済から市場を分析する人など、その専門分野はさまざまだ。
私自身、XWINで市場分析を行い、NADA NEWSでもビットコインの動向を発信しているが、世界のアナリストから学ぶことは非常に多い。特に意識しているのは、価格の予測そのものではなく、「なぜそのような市場環境になっているのか」をデータで説明する姿勢だ。
今回は、私が個人的に好きで、日頃から参考にしている世界的な暗号資産アナリスト5人を紹介したい。
もちろん、日本にも素晴らしいアナリストは数多く存在する。ただし、今回はグローバルで活躍する5人に絞った。順位ではなく、それぞれに異なる魅力と学ぶべき点がある。
① Ki Young Ju(キ・ヨンジュ)──オンチェーン分析の世界を広げた存在
Ki Young Ju氏は、世界的なオンチェーン分析プラットフォームCryptoQuantの創業者兼CEOである。
彼の分析の大きな特徴は、ブロックチェーン上のデータから、投資家の実際の行動を読み解くことにある。例えば、取引所へのビットコイン流入、クジラと呼ばれる大口保有者の動向、マイナーの売却圧力などだ。
私にとって、彼は単に尊敬するアナリストというだけではない。友人でもあり、オンチェーン分析について多くを教えてもらっている存在だ。
彼から学んでいるのは、データの数字だけを見るのではなく、その背景にいる投資家が何を考え、どのような行動を取っているのかを理解する重要性である。
市場には常に買い手と売り手が存在する。その正体を探ることこそ、オンチェーン分析の醍醐味だと感じている。
② Julio Moreno(フリオ・モレノ)──データを市場のストーリーに変える研究者
Julio Moreno氏は、CryptoQuantのHead of Research(リサーチ責任者)を務めるアナリストである。
彼の分析は、ビットコインの需給、投資家の含み益、実現利益、ETFの資金フローなど、複数のオンチェーン・市場指標を組み合わせている点が特徴だ。
私もNADA NEWSの記事で、彼の分析やCryptoQuantのリサーチを引用することがある。
特に参考になるのは、複雑なデータから市場の本質的な変化を抽出する能力である。
例えば、ビットコインが上昇したとしても、それが新しい投資家の資金流入によるものなのか、あるいは短期的な買い戻しによるものなのかでは意味が大きく異なる。
価格の変化だけでなく、価格を動かしている資金の質を見る。
私自身が市場分析で大切にしている考え方とも重なる部分が多い。
③ Markus Thielen(マーカス・ティーレン)──機関投資家の視点から市場を見る
Markus Thielen氏は、10x Researchの創業者であり、機関投資家向けの暗号資産リサーチで知られるアナリストだ。
実は、エックスウィンが彼のリサーチ事業の日本向け代理店を務めていた時期もあり、私にとっては特に縁のある人物である。
彼の分析は、オンチェーンデータだけにとどまらない。米国の金融政策、株式市場、ETF、オプション市場、機関投資家のポジショニングなど、伝統的な金融市場との関係を重視している。
ビットコイン市場は、かつての個人投資家中心の市場から、機関投資家の資金が重要な役割を果たす市場へと変化してきた。
そのため、暗号資産だけを見ていても市場の全体像は理解できない。
マーカスの分析から学べるのは、ビットコインを世界の金融市場の一部として捉える視点である。
④ Benjamin Cowen(ベンジャミン・コーウェン)──感情よりデータを重視する分析スタイル
X:Benjamin Cowen(ベンジャミン・コーウェン)
Benjamin Cowen氏は、Into The Cryptoverseの創業者であり、暗号資産市場のサイクル分析で世界的に知られている。
彼の特徴は、過去の市場サイクル、ビットコイン・ドミナンス、金融政策、長期的な価格推移などを定量的に分析することだ。
特に印象的なのは、市場が過熱しているときでも、感情的な楽観論に流されず、リスクを冷静に評価する姿勢である。
暗号資産市場では、価格が上がれば強気の意見が増え、下がれば悲観論が広がる。しかし、本来重要なのは、現在の市場が過去のどの局面に近いのか、そしてリスクとリターンの関係がどう変化しているのかを考えることだ。
私も市場分析では、強気材料だけでなく、弱気材料を同時に確認することを心がけている。
彼の分析は、その大切さを改めて感じさせてくれる。
⑤ Willy Woo(ウィリー・ウー)──オンチェーン分析の先駆者
Willy Woo氏は、ビットコインのオンチェーン分析を広く普及させた先駆的なアナリストの一人である。
ブロックチェーンに記録された取引データから、投資家の行動や市場の需給を分析するという考え方を、早い段階から発信してきた。
彼の分析では、ネットワーク上の資金移動、投資家の保有行動、市場への資本流入などが重視されている。
興味深いのは、チャート上の値動きだけでは分からない市場の内部構造に着目していることだ。
例えば、ビットコインの価格が横ばいでも、長期投資家による保有が増えている場合と、投資家が売却を進めている場合では、その後の市場環境は異なる可能性がある。
Willy Woo氏の分析からは、価格は結果であり、その背景にある資金の流れを理解することが重要だと学べる。
5人に共通しているのは、価格ではなく市場の構造を見る姿勢
この5人は、それぞれ専門分野も分析方法も異なる。
Ki Young Ju氏とJulio Moreno氏はオンチェーンデータから市場参加者の行動を読み解き、Markus Thielen氏はマクロ経済と機関投資家の視点を加える。Benjamin Cowen氏は長期サイクルとリスクを重視し、Willy Woo氏はブロックチェーン上の資金の動きから市場構造を分析する。
もちろん、どれほど優れたアナリストでも、すべての予測が当たるわけではない。重要なのは、特定の人物の見解をそのまま信じるのではなく、異なる分析を比較しながら、自分自身の判断を磨くことだと思う。
私自身、XWIN CAPITAL INDEXでも、ETF、オンチェーン、デリバティブ、マクロ経済、センチメント、機関投資家動向を組み合わせて市場を評価している。
それは、一つの指標や一人の予測だけでは、複雑なビットコイン市場を十分に説明できないと考えているからだ。
優れたアナリストから学ぶとは、彼らの予測を真似することではない。彼らがどのような問いを立て、何を根拠に判断しているのかを学ぶことである。
世界には、まだまだ学ぶべきアナリストがたくさんいる。
私もまだまだ学ぶことばかりだ。
これからも世界の優れたアナリストたちから謙虚に学び、データと事実に向き合いながら、日本の投資家の皆さんに、より質の高い市場分析を届けていきたい。
ショート動画
私が尊敬する世界のCryptoアナリスト5人|彼らから何を学ぶのか?
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