ビットコイン、10月の底固めに兆し──「アップトーバー」を支える需給の変化と中間選挙【エックスウィン】

10月は、ビットコインが上昇しやすい月として「アップトーバー(Uptober)」と呼ばれる。しかし、今年の10月前半は、期待どおりの一直線の上昇とはならなかった。高値を試した後に下落し、足元では8万ドル台前半から持ち直す動きが見られる。

私たちエックスウィンは、月初から上昇余地を評価する一方、ある程度の下落を挟む展開も想定していた。価格の回復に対して、新しい買い手の広がりが十分ではなく、マクロ環境にも逆風が残っていたためだ。

ただ、現在のデータには変化がある。取引所のBTC残高は低水準にあり、大口の蓄積が進み、推計需要も大幅なマイナスから回復している。10月の底固めが見え始めた可能性に、少し前向きな視点を持ちたい。

なぜ、アップトーバーでも下落を想定していたのか

当社が警戒していたのは、季節性への期待と実際の資金フローの違いだった。月初の市場では、一部取引所で押し目買いが見られても、Coinbase Premiumの弱さやETF流入の減速が残っていた。短期保有者の利益確定も活発になり、上値を追う買いが既存保有者の売りを十分に吸収できるかが課題だった。

外部環境では、アメリカ中間選挙前の政治的不安定、米長期金利の上昇と原油高が重なった。原油高はインフレ懸念を強め、高金利はリスク資産への資金配分を慎重にさせる。そこにレバレッジを使った買いが積み上がれば、下落時のロング清算が調整を増幅する。

「10月だから上がる」という期待だけでは、この構造を乗り越えられない。上昇優位を維持していても、途中の下落を想定しておく必要があった。

マクロは逆風一辺倒から、変化を見極める段階へ

足元では、マクロ面にも一部落ち着きが見える。10月12日のロイター報道では、今月のFRB利上げを市場が織り込む確率は約18%。ブレント原油も直近高値の約110ドルから103ドル台へ低下している。ただし、年末の利上げ警戒は残っており、金融緩和への転換を意味するものではない。

11月3日の米中間選挙まで約3週間となり、政治情勢の輪郭も具体化してきた。Inside Electionsは、下院で民主党の7〜15議席増、上院では3〜5議席増を予測している。下院の多数派交代が視野に入る一方、上院はなお接戦だ。

市場にとって注目したいのは、勝敗のシナリオが具体化し、選挙後の財政・規制環境を検討しやすくなることだ。選挙結果が確定して政治的不確実性が後退すれば、投資家が資金配分を見直すきっかけになり得る。これは現時点では可能性であり、既にBTCへの資金流入が起きていることを示すものではない。

3つのオンチェーン指標に見える底固めの兆候

第一に、取引所BTC残高の低下だ。

ビットコインの取引所BTC残高と価格の時系列グラフ。黒が価格 USD、紫が取引所準備金を示し、右端に縦線と金額表示がある。

取引所BTC残高のチャートでは、9月下旬から残高が大きく減少し、10月に一段と低下した後、直近は少し戻している。それでも、9月の水準と比べれば低い状態が続く。

出金には保管先の変更も含まれるが、少なくとも取引所内に大量のBTCが積み上がっている形ではない。新しい買い需要が戻れば、供給減少が価格を支える条件になり得る。

第二に、推計需要の回復だ。

Bitcoin price (black) with apparent demand (blue) and green positive/red negative shading, 2025–2026 period.

Apparent Demandのチャートでは、9月の大幅なマイナスからゼロに近づき、30日移動平均も上向き始めている。需要指標の悪化が緩和している点は前向きだ。

この指標は、新規発行と1年以上動いていない供給の変化から需要を推計するもので、新規資金流入額そのものではない。まだマイナス圏にあるため、今後はプラス転換とその持続が重要になる。底固めの兆候と、上昇トレンドの確認を分けて見る必要がある。

第三に、クジラの蓄積だ。

大口保有量のチャートでは、総保有量が10月に増加し、300万BTC前後まで回復している。価格が調整しても保有量は増加後の高水準を維持し、30日間の増減率もプラス圏にある。

一部大口が下落局面を蓄積の機会としている可能性がある。すべてのクジラが買っているわけではないが、価格の弱さに対して大口保有量が崩れていない点は、下値を考えるうえで重要だ。

荒澤の視点──価格の底を支える条件が整い始めている

私は、10月の調整を経て、底固めの条件が少しずつ整い始めていると考える。取引所供給の減少、大口の蓄積、推計需要の回復が重なっているためだ。

今後の焦点は、これらの改善に幅広い現物買いが続くかどうかである。ETFへの継続流入や米国現物市場の買い圧力が戻り、金利・原油の逆風も緩和すれば、底固めから次の上昇へ進む可能性は高まる。10月14日の米CPIも、そのマクロ環境を見極める重要な材料となる。

「アップトーバー」は、月初から毎日上がることを意味しない。調整を挟みながら、次の上昇を支える買い手が育つこともある。現時点で底値を断定はできないが、価格の揺れだけで判断するより、市場内部の改善に目を向ける段階に入ってきたと見ている。

ショート動画

ビットコイン、10月の底が見えてきた?3つのデータに変化
https://www.youtube.com/watch?v=BSkbBQEqBfs

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