Polygon Labs(ポリゴン・ラボ)は米時間10月7日、企業向け決済基盤「Polygon Open Money Stack」がTRON(トロン)ネットワークに対応したと発表した。送金事業者や決済サービス会社は、1回のシステム接続で、銀行口座の資金をトロン上のステーブルコイン「USDT(テザー)」につなげられるようになる。
USDTはテザー社が発行する米ドル建てステーブルコイン。Open Money Stackは、ドルの入出金やウォレット、ブロックチェーン間の資金移動をまとめて提供する仕組み。ポリゴン・ラボによると、ドルは銀行振込やデビットカード、小売店の窓口での現金払いで入金できる。資金は残高を保持する仮想口座に置かれ、事業者が定めた条件に沿ってブロックチェーン上で決済される。
トロンは、USDTの流通量が最大級のネットワーク。リリースによると、トロン上のUSDT流通量は940億ドルを超え、累計の送金額は30兆ドルを超える。これまで事業者はライセンス、提携銀行、ウォレット事業者、ブロックチェーン間の送金経路を個別に調達する必要があった。
今回の対応で、3つの機能がトロンで使えるようになる。
1つ目は、米48州の送金業ライセンスに基づく法定通貨の入出金だ。2つ目は、他のネットワークと同じ接続でトロンのウォレットを作成・管理できる機能。3つ目は、トロンとポリゴンチェーンなどイーサリアム互換のネットワークの間で、USDTを1回の取引操作で移せる機能だという。
ポリゴン・ラボは具体的な利用例も挙げている。送金事業者は顧客からドルを受け取り、受取人のトロンのウォレットにUSDTを届けられる。逆に、トロンのUSDTを銀行口座で現金化する流れにも対応する。
ステーブルコイン決済を巡っては、特定のブロックチェーンに利用者を呼び込む動きが目立つ。USDCを発行するCircle(サークル)は9月に独自のブロックチェーン「Arc」の稼働を始め、米決済大手のStripe(ストライプ)は決済特化型のブロックチェーン「Tempo(テンポ)」を支援している。
一方でポリゴン・ラボは今回、利用者が決済会社の指定するブロックチェーンに移るとは限らないとみて、すでに使われているブロックチェーンを米国の銀行口座につなぐ事業に商機があるとの立場をとった。TRON DAOの第1四半期報告書によると、トロン上のステーブルコイン供給量は2026年1〜3月期に約860億ドル、決済量は約1.96兆ドルだった。
ポリゴン・ラボは、Open Money Stackの土台となる2社の買収を進めてきた。1月に発表した2億5000万ドル超(約395億円、1ドル=158円換算)の取引で、ウォレットとブロックチェーン間の資金移動の技術を持つSequence(シークエンス)を取得。もう1社のCoinme(コインミー)は、米国48州で送金業の免許を持ち、5万カ所を超える小売拠点で現金を扱う網を運営している。ポリゴン・ラボによると、Coinmeの買収は手続き中だ。
ポリゴンの決済処理額は、9月21日時点で累計3兆ドルを超えている。トロン対応は第1段階で、対応資産や市場、決済機能は順次広げる予定だとしている。
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|文:橋本祐樹
|画像:リリースより


