・イーサリアム(ETH)の「1年アクティブ供給比率」は36.69%まで低下し、2024年11月以来の低水準となった。ETHが7月に一時約25%上昇するなか、過去1年間に移動したETHの割合が低下しており、長期保有者の売却が限られている可能性を示唆している。
・米国のイーサリアム現物ETFには7月、3億8180万ドルの資金が純流入し、ブラックロックの「ETHA」が流入をけん引している。
・Hyperliquidのデリバティブ市場では、2,180ドル付近に8万6130ETH相当のショートポジションの清算が集中している。上方向へのショートスクイーズが加速しやすい状況となる一方、下方では、1,870ドル付近に1万1630ETH相当のロングポジションの清算が集中している。
ETH長期保有者が供給を絞るなか、ETHは2,000ドルに向けて7月の上昇を継続
ETHは7月22日(水)も7月の回復基調を維持し、4日続伸した。今月最高値となる1,955ドル付近まで上昇した後、伸び悩んだ。
ETHは7月初値の1,569ドルから一時1,955ドル付近まで上昇し、約25%高となった。本稿執筆時点の約1,920ドルは、7月初値比で約22%高となる。
ETHの値動きはこの1カ月で着実に改善しており、高値と安値をともに切り上げる展開となっている。これは、6月の急落局面から再び上昇トレンドへ移行していることを示している。
ただし、直近の日足ローソク足では実体が小さくなり始めている。ETHが心理的に重要な2,000ドルの抵抗線に近づくなか、上昇の勢いが鈍化している可能性がある。

2,000ドルを下回る水準でのもみ合いが長引くなかでも、オンチェーン指標は、長期投資家が依然として売却に消極的であることを示している。
過去12カ月間に少なくとも一度オンチェーン上で移動したETHの割合を示す「1年アクティブ供給比率」は36.69%まで低下し、2024年11月以来の低水準となった。
この比率の低下は、長期保有者がETHを動かさずに保有し続けているため、長期間動いていなかったETHが再び市場に流通する量が減っていることを示す。
過去には、ETHの1年アクティブ供給比率の低下と、ETH価格の上昇が続く局面が重なるケースがたびたび見られた。
直近の例では、3月23日から5月5日にかけて、1年アクティブ供給比率が39.0%から37.1%まで低下した。同じ期間にETHは2,084ドルから約2,420ドルまで上昇し、上昇率は約16%となった。
現在の上昇局面でも同様の動きが見られる。7月初め以降、ETHが一時約25%上昇する一方、1年アクティブ供給比率は37.4%から7月22日時点で36.7%まで低下した。
価格の上昇とアクティブ供給の減少が同時に進んでいることは、長期保有者が相場の上昇にもかかわらず、利益確定を見送っていることを示している。長期保有ウォレットがETHを動かさないことで、市場で売却可能なETHの量が実質的に減少し、潜在的な売り圧力が抑えられている。
7月のイーサリアムETF純流入額が3億8180万ドルに、ブラックロックがけん引
7月は機関投資家の需要が大幅に強まり、断続的に資金流出が見られたにもかかわらず、米国のイーサリアム現物ETFには累計で3億8180万ドルの資金が純流入した。
Farside Investorsのデータによると、ブラックロックの「ETHA」は、引き続き7月の資金流入をけん引する中心的な存在となっている。
ETHAには7月6日に2330万ドルが流入し、翌取引日にも2690万ドルが流入した。7月9日に1270万ドルの純流出に転じた後、14日に5830万ドル、15日に4530万ドル、17日に3170万ドル、20日に3430万ドル、21日に5280万ドルがそれぞれ純流入した。

フィデリティの「FETH」も資金流入に大きく貢献した。7月8日には6920万ドルが流入し、集計期間中、各イーサリアムETFの中で最大となるファンド別の1日当たり流入額を記録した。
ただし、FETHへの需要は、その後の7月9日、13日、16日、21日に発生した資金流出によって一部相殺された。
イーサリアム現物ETFへの資金流入が最も強まったのは7月14日から21日にかけてで、大半の取引日に合計流入額が3500万ドルを上回った。
全体として、ブラックロックのETHAは、ETHの7月の回復局面で、ETFへの資金流入をけん引している。一方、グレースケールの商品では断続的な償還が続いた。
ETF需要の強まりは、トークン化、ステーブルコイン、現実資産(RWA)のインフラにおけるイーサリアムの役割拡大をめぐり、機関投資家の関心が高まっていることとも重なる。こうした需要が、直近の米国とイランの緊張激化に伴う売り圧力を和らげる一因となっている。
ETH価格予測:2,180ドルのショートスクイーズ領域に注目
中東情勢の緊張が再び高まるなか、分散型取引所(DEX)のHyperliquidにも注目が集まっている。
Hyperliquidは、米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まった2月末、本人確認(KYC)なしで原油価格の変動を24時間365日取引できる手段を提供したことで、広く知られるようになった。
HyperliquidにおけるETHのデリバティブ市場のポジションを追跡するCoinGlassのデータによると、買い手が2,000ドルの水準を明確に回復すれば、上昇の勢いが加速する可能性がある。
CoinGlassの清算ヒートマップでは、レバレッジポジションが大きく偏っており、ショート側の清算集中帯の規模がロング側の清算領域を大幅に上回っている。
直近で最大の清算集中帯は2,180ドル付近にあり、清算対象となり得るショートのレバレッジポジションが累計約8万6130ETH相当集中している。このうち、約5万ETH相当が2,180ドル付近の価格帯だけに集中している。
ETHが現在の水準から約13%上昇した場合、この領域でショートポジションの強制的な買い戻しが発生し、買い注文が急速に連鎖する可能性がある。その結果、価格上昇が加速することも考えられる。
さらに上方では、2,440ドルから2,770ドルの間にも複数のショート清算集中帯があり、それぞれ推定3万5000ETHから4万5000ETH相当のレバレッジポジションが存在する。最初のショートスクイーズが発生した場合、これらの価格帯が次々と上値の流動性目標になる可能性がある。

上値にショートポジションが集中しているのとは対照的に、下方の流動性は複数の価格帯に分散している。このため、調整局面に入った場合でも、急激な清算の連鎖ではなく、段階的な下落となる可能性が高い。
下方では、1,870ドル付近に1万1630ETH相当のロングポジションの清算が集中している。その水準を下回ると、強気派のサポートは1,600ドル付近まで分散している。
現在の上昇の勢いを維持できず、1,600ドル付近まで下落した場合、10万6300ETH相当のロングポジションが清算される可能性がある。
長期保有者が売却に消極的であること、ETFへの継続的な資金流入、上値に集中するショートポジションは、引き続き強気派に有利な材料となっている。
ただし、次の上昇局面入りを確認するには、心理的節目である2,000ドルを明確に上抜ける必要がある可能性がある。


