・韓国の主要暗号資産取引所5社の1日当たり取引高は、長引く市場低迷で取引所の収益が圧迫されるなか、前年同期比で88%急減した。
・中小取引所のKorbitは、取引手数料収入の減少を受け、運営資金を確保するために保有するビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)を売却している。
・CryptoQuantの韓国プレミアム指数は、米国とイランの対立が激化した時期に、韓国国内の暗号資産需要が急速に弱まったことを示している。一方、韓国総合株価指数(KOSPI)は引き続き相対的に好調だった。
取引活動の急減で韓国の暗号資産取引所に収益圧力
韓国の暗号資産市場は、過去1年余りで最も取引が低迷した局面の一つに入っている。BTC価格の下落と個人投資家の参加低迷が、国内取引所の収益を圧迫している。
CoinGeckoのデータによると、韓国の主要なウォン建て暗号資産取引所5社の1日当たり取引高は、7月20日時点で合計約4127億ウォン(約460億円)まで減少した。前年同期比では88%の減少となる。
この落ち込みは、暗号資産市場全体の低迷を反映している。BTCは昨年10月に付けた12万6000ドル超の過去最高値から下落し、上半期末を約5万8000ドルで終えた後、現在は6万5000ドル付近でもみ合っている。
取引活動の急減により、韓国の暗号資産取引所にとって主な収益源である取引手数料収入は大幅に減少した。その結果、財務上の圧力が高まるなか、Korbitは保有する暗号資産の売却に踏み切っている。
韓国メディアのZDNet Koreaは7月21日、Korbitが最近、BTC15枚とETH60枚を売却し、運営費に充てるため約16億ウォン(100万ドル)を調達したと報じた。同取引所は、取引低迷による収益悪化が続くなか、今年に入って3回、保有するデジタル資産の一部を売却したと伝えられている。
韓国最大の暗号資産取引所Upbitを運営するDunamuは、第1四半期の売上高と営業利益が前年同期比でそれぞれ55%、78%減少したと報告した。一方、Coinone、Korbit、Gopaxなどの中小取引所は、個人投資家の参加低迷が続くなか、赤字が続く見通しだ。
こうした取引低迷を受け、一部の市場関係者は現在の状況を「第2の暗号資産の冬」と表現している。
しかし、業界アナリストは長期的には楽観的な見方を維持している。その理由として、韓国がデジタル資産法制の整備、現実資産(RWA)のトークン化、ステーブルコインの活用、金融分野全体へのブロックチェーン導入を引き続き推進していることを挙げている。
KOSPIが相対的に好調ななか、CryptoQuantデータは韓国の暗号資産需要が米国・イラン情勢に連動して変動したことを示す
暗号資産の取引活動が低迷する一方、韓国では投資家の関心が従来の株式市場へ移っている可能性がある。
Yahoo Financeのデータによると、韓国総合株価指数(KOSPI)は6月の高値から下落したものの、7月22日までの12カ月間で114.4%上昇した。

KOSPIは、韓国取引所のKOSPI市場に上場する普通株式を対象とする時価総額加重型の株価指数だ。韓国を代表する株価指数であり、米国のS&P500や日本の日経平均株価に相当する。
暗号資産の取引高が88%減少する一方、KOSPIが114.4%上昇したという乖離は、韓国国内の個人投資家の関心が暗号資産から従来の株式へ移っている可能性を示唆している。

韓国の取引所と世界市場におけるビットコイン価格の差を測定するCryptoQuantの韓国プレミアム指数も、今年、マクロ経済と地政学を巡る不確実性が高まるなか、国内投資家の心理が変化したことを浮き彫りにしている。
同指数は第1四半期の大半でプラス圏を維持し、1月29日には2026年の最高値となる4.05%に達した。韓国の投資家が世界市場価格より高い価格で暗号資産を購入していたことから、国内需要の強さが示された。
しかし、2月下旬に米国とイランの対立が激化すると、その直後に投資家心理は反転した。韓国プレミアム指数はマイナス圏に下落し、3月4日には第1四半期の最低値となるマイナス2.27%を記録した。これは、韓国のトレーダーが世界の投資家と比べ、デジタル資産を買い増す意欲を弱めたことを示している。
同指数は、米国とイランの停戦合意によって地政学的緊張が和らいでから数日後の6月19日、一時的にプラス圏へ回復した。しかし、戦闘が再燃するとリスク回避姿勢が急速に強まり、指数は再びゼロを下回った。
7月22日の執筆時点で、韓国プレミアム指数はマイナス1.31%となっている。国内株式が相対的に底堅さを保つ一方、韓国の暗号資産需要の弱さが、地政学上の不確実性が続く時期と重なっていることを示唆している。


