暗号資産(仮想通貨)取引所bitbankを運営するビットバンクが公開した「LN Trends」最新号を転載してお届けします(LN:Lightning Network)。
LN市場の概況

概要:
●2026年10月28日時点で、公開ノード数は約13,555であり、9月末(約13,631)から約76減少した(約0.6%減)。
●キャパシティは約3,461 BTCであり、9月末(約3,746 BTC)から約285 BTC減少した(約7.6%減)。
●チャネル数は約34,071であり、9月末(約35,060)から約989減少した(約2.8%減)。
●9月に小幅ながら増加したキャパシティも再び減少に転じ、3つの指標がそろって減少した。
10月は、Lightning LabsがAIエージェント向けの決済キット「Wavelength」を誰でも使えるようにしたほか、取引所WhiteBITがライトニングに対応するなど、利用を広げる動きが進んだ。一方で、ビットコイン送金サービスのSecondや、ノードソフトCore Lightningを使うノードで、実際に資金が奪われる被害も出た。
| 日付 | ノード数 | キャパシティ数(BTC) | チャネル数 |
| 10/28 | 13,555 | 3,461 | 34,071 |
| 9/29 | 13,631 | 3,746 | 35,060 |
| 8/30 | 13,803 | 3,704 | 36,829 |
| 7/30 | 14,869 | 4,496 | 43,658 |
| 6/30 | 14,995 | 4,679 | 44,921 |
| 5/28 | 15,033 | 4,905 | 45,528 |
| 4/20 | 15,016 | 4,916 | 45,500 |
| 2/28 | 15,008 | 4,944 | 45,317 |
| 01/31 | 14,923 | 5,387 | 45,447 |
| 12/31 | 14,924 | 5,798 | 46,061 |
| 11/30 | 15,104 | 5,428 | 46,775 |
| 10/31 | 15,042 | 4,165 | 46,398 |
| 09/30 | 14,847 | 3,985 | 46,034 |
| 08/15 | 14,476 | 3,827 | 45,555 |
| 07/15 | 13,978 | 3,839 | 45,295 |
用語説明
ノードとは
ライトニングネットワークに参加するソフトウェア単位です。中継やチャネル開設の基点となり、ネットワークの広がりの目安になります。
キャパシティとは
ネットワーク上で送金に使えるビットコインの合計です。流動性や経済規模の目安になります。
チャネルとは
2ノード間のオフチェーン決済路です。即時・低コスト送金の経路として機能し、接続の密度を表します。
Lightning Labs、AIエージェント向けの決済キット「Wavelength」を誰でも使えるように
概要:
2026年10月23日、Lightning Labsは、アプリやAIエージェントにビットコイン決済を組み込むためのツールキット「Wavelength」を、実際のビットコインを使うメインネットで誰でも使えるようにしました。2026年7月号で取り上げた時点では、本番環境は招待制でした。開発者は、ノードの運用やチャネルの管理をせずに、送金と受取の機能を組み込めます。まだアルファ版の位置づけで、1アカウントに入れられる金額は30万sats(0.003 BTC)までです。ライトニングでの送受金には0.25%の手数料がかかり、ステーブルコインへの対応は「近日中」とされています。
説明:
●AIエージェントが自分で決済できる
AIエージェントは、データやAPIを使うたびに、その場で少額の決済ができます。会員登録やAPIキーの発行を待つ必要はありません。ウォレットの鍵やパスワードはエージェントに渡さない設計になっています。
●AIで開発する人が増え、決済を組み込む需要も伸びている
決済SDKを提供するBreezは10月8日、AIによるコーディングが広がって以降、ビットコイン決済を組み込みたいという問い合わせが約14倍に増えたと発表しました。暗号資産と関係のないアプリからの問い合わせも、2026年上半期は前年同期の5倍になっています。
国内でも、AIエージェント向けのサービスや、少額で課金したいアプリを手がける事業者にとって、自社でノードを持たずにビットコイン決済を試せる手段が増えたと言えそうです。
取引所WhiteBITがライトニングに対応、決済サービスのSoapも導入
概要:
2026年10月8日、利用者1,000万人を抱えるスイスの暗号資産取引所WhiteBITは、ライトニングへの対応を発表しました。対応する国の利用者は、ビットコインの入出金やQRコードでの支払いにライトニングを使えます。WhiteBITの公式Xによると、手数料は入金が0.25%、出金が0.15%です。10月21日には、事業者向けの決済サービスSoapもライトニング決済に対応しました。どちらも、ノードの運用や流動性の管理を代行するVoltageの基盤を使っています。
説明:
●取引所の入出金が数秒で終わる
ビットコインのブロックチェーン上での送金は、反映までに時間がかかり、手数料も変動します。ライトニングを使えば、ほかの取引所やウォレットとの間で数秒で資金を動かせます。CoinbaseやKrakenなどの大手に続き、対応する取引所が増えています。
●払う側はビットコインを持っていなくてもよい
Soapでは、Cash Appの一部の利用者が、ドル残高からライトニングで支払えます。Cash AppとSoapが直接提携しているわけではありませんが、どちらもライトニングという共通の規格を使っているため、そのまま使えます。
国内の取引所や決済事業者にとっても、Voltageのような基盤事業者を使えば、ノードを自社で運用せずにライトニングに対応できるため、導入の負担を下げる選択肢になりそうです。
Lightning Labs、ビットコインを自分で管理できる人を大きく増やす仕組み「LayerTree」を提案
概要:
2026年10月15日、Lightning Labsは、ビットコインを自分で管理できる人を大きく増やすための新しい仕組み「LayerTree」を提案しました。ビットコインを自分で管理するには、利用者ごとにブロックチェーン上の記録が必要です。ただ、ブロックチェーンに書き込める量には限りがあるため、利用者を数十億人規模に増やすのは難しいとされてきました。LayerTreeは、最大で100万人分の残高をブロックチェーン上の1つの記録にまとめます。そのうえで、各利用者は運営者の協力がなくても、いつでも自分の資金を引き出せます。ただし、LayerTreeを動かすには、ビットコイン本体の仕様変更が必要です。現時点では研究段階の提案で、論文と試作のコードが公開されています。
説明:
●「預ける」か「自分で持つ」かの二択を変える可能性
いまは多くの人が、手軽さを優先して取引所やウォレット事業者にビットコインを預けています。LayerTreeが実現すれば、預けるのに近い手軽さで、自分で資金を管理できるようになる可能性があります。運営者が利用者の資金を勝手に動かすこともできません。その分、秘密鍵のバックアップなどは利用者自身が担うことになります。
●Wavelengthと違い、資金に期限がない
同じLightning LabsのWavelengthでも、残高をまとめる仕組みを使っています。ただし、利用者が自分で資金を引き出せる状態を保つには、約2週間ごとの更新が必要です。LayerTreeには、こうした期限がありません。すぐに使えるWavelengthと、将来を見据えたLayerTreeを、同じ会社が並行して進めている形です。
国内の事業者がすぐに対応すべき話ではありませんが、ライトニングの今後の広がり方を考えるうえで、動向を追っておく価値がありそうです。
Ark事業者のSecondで0.75 BTCが流出、Core Lightningでも脆弱性が実際に悪用される
概要:
2026年10月5日、ビットコインの送金を安く速くする仕組み「Ark」でサービスを提供するSecondのサーバーが攻撃を受け、同社自身の資金0.75 BTCが奪われました。利用者の資金は無事で、不具合は数時間で修正されています。攻撃に使われた資金は、9月19日にウォレットのBlinkから約6.61 BTCが奪われた事件とつながりがあるとされています。開発者向けのニュースレターによると、ノードソフトのCore Lightningでも2つの脆弱性が実際に悪用され、資金が奪われました。どちらも26.06.8で修正済みで、10月7日公開の26.06.9への更新が強く推奨されています。さらに10月19日には、Telegramの個人間取引ボットから資金が引き出された事件を受け、請求書(インボイス)の規格が見直されました。
説明:
●修正版が出たあとも、更新していないノードが狙われる
Core Lightningの2件のうち1件は、修正版の公開後に被害が出ています。修正の中身が公開されると攻撃者の手がかりにもなるため、更新が遅れるほど危険が高まります。
●利用者の資金を守る設計は機能した
Secondの件では、利用者の資金はあらかじめ用意された引き出し手順で守られており、サーバーからは動かせない仕組みでした。被害は運営者の資金にとどまりましたが、攻撃者がその後も攻撃を続けたため、ライトニングでの受取が一時的に不安定になっています。
国内でライトニングを扱う事業者にとっても、修正版が出たら短期間で更新することに加え、運営者側の資金や管理画面を守る対策が欠かせなくなっています。
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