暗号資産(仮想通貨)取引所bitbankを運営するビットバンクが公開した「LN Trends」最新号を転載してお届けします(LN:Lightning Network)。
LN市場の概況

概要:
●2026年9月29日時点で、公開ノード数は約13,631であり、8月末(約13,803)から約172減少した(約1.2%減)。
●キャパシティは約3,746 BTCであり、8月末(約3,704 BTC)から約42 BTC増加した(約1.1%増)。
●チャネル数は約35,060であり、8月末(約36,829)から約1,769減少した(約4.8%減)。
●ノード数とチャネル数は8月に続いて減少した一方、キャパシティは小幅ながら増加に転じた。
本レポートで取り上げるとおり、Liquid Networkの不正流出や主要ソフトの脆弱性修正といったセキュリティ面の動きが続いた一方、Blockによるx402へのライトニング追加や、Amboss × Aureoのペソ着金など、利用を広げる発表もあった月であった。
| 日付 | ノード数 | キャパシティ数(BTC) | チャネル数 |
| 9/29 | 13,631 | 3,746 | 35,060 |
| 8/30 | 13,803 | 3,704 | 36,829 |
| 7/30 | 14,869 | 4,496 | 43,658 |
| 6/30 | 14,995 | 4,679 | 44,921 |
| 5/28 | 15,033 | 4,905 | 45,528 |
| 4/20 | 15,016 | 4,916 | 45,500 |
| 2/28 | 15,008 | 4,944 | 45,317 |
| 01/31 | 14,923 | 5,387 | 45,447 |
| 12/31 | 14,924 | 5,798 | 46,061 |
| 11/30 | 15,104 | 5,428 | 46,775 |
| 10/31 | 15,042 | 4,165 | 46,398 |
| 09/30 | 14,847 | 3,985 | 46,034 |
| 08/15 | 14,476 | 3,827 | 45,555 |
| 07/15 | 13,978 | 3,839 | 45,295 |
用語説明
ノードとは
ライトニングネットワークに参加するソフトウェア単位です。中継やチャネル開設の基点となり、ネットワークの広がりの目安になります。
キャパシティとは
ネットワーク上で送金に使えるビットコインの合計です。流動性や経済規模の目安になります。
チャネルとは
2ノード間のオフチェーン決済路です。即時・低コスト送金の経路として機能し、接続の密度を表します。
Liquid Networkで約4,000 BTCが不正に引き出され、ライトニングとのスワップも停止
概要:
2026年9月6日、Blockstreamが開発するビットコインのサイドチェーン「Liquid Network(リキッド)」で、裏付けのないLBTC(リキッド上で使う、ビットコインと1:1で交換できるトークン)が約4,000枚不正に作られ、ビットコインに戻す手続きを通じて約4,000 BTCが引き出されました。攻撃者は翌日に3,400 BTCを返還しましたが、約602 BTCは戻っていません。USDtなど、リキッド上の他の資産に影響はありません。
9月23日に公開された調査報告書によると、原因は2つあります。1つは取引の正当性を確かめる処理の不具合で、8月に報告された別の欠陥を直す過程で生じ、AIを使ったレビューでも見つかりませんでした。もう1つは、ペッグアウトを処理した事業者SideSwapが、本来オフラインで保管すべき署名鍵をオンラインで使い、出金額の上限も設けていなかったことです。リキッドは9月10日に送金を再開しましたが、9月17日時点の公式発表では、ペッグアウトは準備金の回復と外部のセキュリティレビューが終わるまで止めるとしています。
説明:
●ライトニングの入出金にも影響が広がった
Bull BitcoinやBlockstream Appでは、LBTCとライトニングのスワップが使えなくなりました。Bull Bitcoinは、ライトニングでの受取も一時停止しています。ライトニングの外にある仕組みが止まると、ライトニング側のサービスも止まるという依存関係が表に出た形です。
●修正コードの公開から5日後に攻撃
報告書によると、最初の欠陥の修正コードは9月1日に公開され、その時点で新しい不具合も誰でも見られる状態になっていました。2026年8月号で扱ったBoltzの停止やCore Lightningの緊急パッチと同じく、修正をいつ、どう公開するかも、セキュリティ対策の一部になってきています。
国内でも、ライトニングとサイドチェーンやステーブルコインを組み合わせたサービスを考える場合、どこか1つが止まったときに入出金をどう続けるか、どう安全に止めるかを、最初から決めておくことが大切だと言えそうです。
Blockがx402 Foundationに参加、AIエージェント向けの決済規格にライトニングを追加
概要:
2026年9月24日、Jack Dorsey氏が率いるBlockは、AIエージェント向けの決済規格「x402」を運営するx402 Foundationに参加し、x402にライトニング決済への対応を提供したと発表しました。x402は、ウェブの通信の仕組み(HTTP)に支払いの手順を組み込む規格で、Linux Foundationのもとで運営されています。特定の通貨やブロックチェーンに依存しない設計です。
x402のGitHubでは、ライトニング向けの仕様が9月下旬に取り込まれました。ただし報道によれば、Python向けの実装は実際のノードでのテストがまだで、Cash AppなどBlockのサービスに組み込む時期も示されていません。
説明:
●AIエージェントの「少額で大量の支払い」に向く
報道によれば、x402の直近30日間の取引は約7,541万件で、1件あたりの平均は約32セントでした。これまで取引額の99.3%はUSDCでしたが、カードでは手数料が見合わないこうした少額決済で、ライトニングが新しい選択肢になります。
●エージェント決済の標準にライトニングが入った
Lightning LabsのL402やAlbyのx402向けツールなど、ライトニングをAIエージェントの支払いに使う取り組みはすでにありました。大手のBlockが中立的な団体を通じて持ち込んだことで、標準規格の中でライトニングが使われる土台ができつつあります。
国内でも、APIやデータを提供する事業者にとって、会員登録やカード情報なしで1回ごとに料金を受け取れる仕組みは、新しい課金方法の候補になりそうです。
Amboss、メキシコのAureoと連携:ライトニングで受け取った代金をペソで銀行口座へ
概要:
2026年9月9日、ライトニングの決済サービスを提供するAmboss Technologiesは、メキシコのAureoとの連携を発表しました。Amboss Paymentsの利用者がAureoのライトニングアドレスに送金すると、Aureoがペソに換え、メキシコの銀行間送金システム「SPEI」を通じて数秒で銀行口座に入金します。受け取る側は、暗号資産取引所を使う必要がありません。
連携はすでに稼働しています。受け取る側は、Aureoで銀行口座を一度登録すれば、以降の入金が自動でペソになります。利用にはメキシコの銀行口座と本人確認(KYC)が必要で、手数料は公表されていません。
説明:
●受け取る側はビットコインを意識しなくてよい
これまでは、ライトニングで受け取ったビットコインを取引所で売り、銀行に出金する必要がありました。今回の連携では、払う側はライトニングで送り、受け取る側はいつもの銀行口座でペソを受け取れます。取引や送金が多い米国とメキシコの間では、使われる場面が多いと考えられます。
●通貨の交換は現地の事業者が担う
Ambossの開発者向け資料によると、Amboss自体は通貨を交換せず、ユーロは欧州のBringin、ペソはAureoといった現地の事業者が交換を担います。国ごとに現地の事業者と組んで出口を増やしていくやり方は、ライトニングを使った国際送金を広げる方法として参考になります。
国内でも、海外の取引先への支払いや、日本で働く外国人の母国への送金などで、ライトニングと現地の銀行をつなぐ事業者との連携は選択肢の1つになり得ます。
ライトニングの主要ソフトで脆弱性の修正と公開が相次ぐ(LND、Eclair、Core Lightning、BTCPay Server)
概要:
2026年9月は、ライトニングの主要なソフトウェアで、セキュリティの修正と情報公開が続きました。9月8日、決済サーバーソフトのBTCPay Serverは2.4.4を公開しました。8月に加盟店のノードから資金が流出した事件のあとも、利用者が自分で外部に公開したノードを狙うボットが見つかったため、パスワードの仕組みを強化しています。9月14日にはACINQがEclair 0.14.3を公開し、悪意あるノードに資金を奪われたり凍結されたりするおそれのある3つの脆弱性を修正しました。
9月21日には、LNDを開発するLightning Labsが、修正済みの脆弱性8件をまとめて公開しました。うち1件は、支払いが取り消されたのに請求書が「支払い済み」と記録され、店舗が代金を受け取らずに商品を渡してしまうおそれがあるものでした。9月22日にはCore Lightning 26.06.8が公開されました。2026年8月号で扱った前回の26.06.7とは違い、ソースコードはすぐに公開し、テストの一部だけを一時的に伏せています。
説明:
●「先に直して、あとで公開する」やり方が定着しつつある
Lightning Labsは、脆弱性の深刻さに応じて詳細を公開する時期を決めています。Core Lightningも、公開の遅らせ方を8月から見直しました。どちらも利用者が更新を終えてから詳細を出す考え方で、ノードを運用する側には、告知から詳細公開までの間に更新を済ませることが求められます。
●ソフトの不具合だけでなく、設定も狙われる
BTCPay Serverの件は、利用者が自分で外部に公開した設定が攻撃の入口になったケースです。ソフトを更新するだけでなく、外部に開いている経路やパスワードの設定も定期的に見直す必要があります。
国内でライトニングを扱う事業者にとっても、使っているソフトのセキュリティ情報を日頃から追い、告知から短期間で更新できる体制を整えておくことが重要になっています。
【次に読む】
» LN Trends 2026年8月
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