暗号資産(仮想通貨)取引所bitbankを運営するビットバンクが公開した「LN Trends」最新号を転載してお届けします(LN:Lightning Network)。
LN市場の概況

概要:
●2026年7月30日時点で、公開ノード数は約14,869であり、6月末(約14,995)から約126減少した。
●キャパシティは約4,496 BTCであり、6月末(約4,679 BTC)から約183 BTC減少した(約3.9%減)。
●チャネル数は約43,658であり、6月末(約44,921)から約1,263減少した(約2.8%減)。
●公開ネットワーク上のノード数、キャパシティ、チャネル数はいずれも6月比で減少している。一方、本レポートで取り上げるとおり、アプリ向け決済キット、予測市場の入金、モバイルウォレットのドル建て残高、サーバー側の鍵管理など、利用接点側の発表が続いた月でもあった。
| 日付 | ノード数 | キャパシティ数(BTC) | チャネル数 |
| 7/30 | 14,869 | 4,496 | 43,658 |
| 6/30 | 14,995 | 4,679 | 44,921 |
| 5/28 | 15,033 | 4,905 | 45,528 |
| 4/20 | 15,016 | 4,916 | 45,500 |
| 2/28 | 15,008 | 4,944 | 45,317 |
| 01/31 | 14,923 | 5,387 | 45,447 |
| 12/31 | 14,924 | 5,798 | 46,061 |
| 11/30 | 15,104 | 5,428 | 46,775 |
| 10/31 | 15,042 | 4,165 | 46,398 |
| 09/30 | 14,847 | 3,985 | 46,034 |
| 08/15 | 14,476 | 3,827 | 45,555 |
| 07/15 | 13,978 | 3,839 | 45,295 |
用語説明
ノードとは
ライトニングネットワークに参加するソフトウェア単位です。中継やチャネル開設の基点となり、ネットワークの広がりの目安になります。
キャパシティとは
ネットワーク上で送金に使えるビットコインの合計です。流動性や経済規模の目安になります。
チャネルとは
2ノード間のオフチェーン決済路です。即時・低コスト送金の経路として機能し、接続の密度を表します。
Lightning Labs、Wavelengthを発表:アプリとAIエージェント向けのセルフカストディ決済キット
概要:
Lightning Labsは、アプリケーションやAIエージェントにセルフカストディのビットコイン決済を組み込むためのツールキット「Wavelength」のアルファ版を公開しました。
ノード運用、チャネル管理、流動性調達といった従来の導入障壁を、少数のAPI呼び出しに集約する設計です。裏側のオフチェーン転送はArk型の決済レイヤーで行い、決済リクエストはBOLT 11インボイスで既存のライトニングネットワークと相互運用します。ライトニング側の流動性はLoopを利用します。現状はSignetとTestnetで誰でも利用でき、メインネットは招待制です。
ステーブルコイン対応はTaproot Assets経由で今後追加予定、ライトニングチャネルへの資金配置も将来リリースで対応予定とされています。
説明:
●開発者体験の簡素化
これまでライトニング決済を自社アプリに載せるには、ノードの常時稼働や流動性の手配が前提でした。Wavelengthは「create」「recv」「send」「exit」など少数のコマンドでウォレットの生成から送金、オンチェーンへの一方的な退出までを扱えます。公式発表でも、半日程度でビットコイン決済を組み込める体験を目指すとされています。
●AIエージェント向けの設計
同じAPIがMCP(Model Context Protocol)経由でエージェントからも呼べます。L402(ライトニング決済と機械向け認証を組み合わせた仕組み)と組み合わせれば、API呼び出しごとに少額をその場で支払う利用形態が想定されます。ウォレット作成やアンロックはエージェントの通信経路に載せない設計で、シードやパスワードをモデルに渡さない配慮が入っています。
●事業者にとっては、自社でライトニングノードを持たずにビットコイン決済を試す入口が増えたことを意味します。ただしアルファ段階であり、メインネットは招待制、手数料体系も今後変わり得る点には注意が必要です。
Polymarket、Spark経由でライトニング入金に対応:オンチェーン待ちを数秒へ
概要:
予測市場のPolymarketは、Sparkのインフラを使い、ライトニングネットワーク経由のビットコイン入金に対応しました。
従来のオンチェーン入金では確認待ちが発生していましたが、Sparkによれば新方式では数秒で反映され、手数料もほぼゼロに近づくとしています。利用者はCash App、Coinbase、Kraken、Binanceなど既存のライトニング対応アプリや取引所からそのまま入金できます。Polymarket側はノード運用や流動性管理を自前で抱えず、Sparkがライトニング相互運用を提供する構成です。
説明:
●リアルタイム性の高いサービスとの相性
予測市場では相場が短時間で動くため、入金待ちそのものが機会損失になり得ます。ライトニング入金は、その待ち時間を大きく減らす方向の改善です。
●「アプリがノードを持たない」導入パターン
事業者はライトニングの運用負荷をSpark側に寄せ、自社はプロダクト体験に集中できます。2026年6月のレポートで解説したインフラ外部化の流れを、予測市場という実サービスでも確認できる事例です。
●国内でも、イベント連動の即時決済やライブコマースなど「入金してすぐ使える」体験が重要な領域では、同様の構成が参考になると考えられます。
Wallet of Satoshi、Digital Dollars(Spark上のUSDB)ベータ開始:BTCとドル建てを同一アプリで
概要:
モバイルライトニングウォレットのWallet of Satoshiは、ビットコインと並行してドル建てのステーブルコインを同一アプリ内で保有・送金できるベータ機能「Digital Dollars」を公開しました。
X上では「Stablecoins on Lightning」とも表現されていますが、開示資料によれば取り扱うUSDBはBraleがSpark上で発行するドル建てステーブルコインであり、Wallet of Satoshi自身の発行・保証ではありません。ビットコインのみを使いたい利用者は設定から当該機能をオフにできます。対応地域は限定され、カストディモデルや提供範囲も地域・設定により異なり得ます。
説明:
●消費者アプリへのステーブルコイン浸透
2026年6月のレポートで扱ったTaproot AssetsやBreezの橋渡し型機能に続き、日常利用されるモバイルウォレット側でも「BTCとドル建て」の同居が進んでいます。技術的にはSpark上のUSDBであり、一般ユーザーの画面にドル建て残高が載り始めた点が重要です。
●ビットコイン専用体験との両立
機能を設定で無効化できる点は、ビットコインのみを求める層への配慮です。プロダクトとしては両方の需要を一つのアプリで受け止めようとする設計と言えます。
BreezとTurnkeyが提携:サーバーサイドでも鍵を晒さないノンカストディアル決済
概要:
ウォレットインフラのTurnkeyと、ビットコイン決済SDKを提供するBreezは、アプリケーション向けにセキュアなノンカストディアル決済を構築するための提携を発表しました。
Breez SDKがライトニング、Spark、ビットコインL1の決済層を担い、Turnkeyが秘密鍵の生成、署名、ポリシー制御を安全なエンクレーブ内で提供します。アプリのバックエンドは秘密鍵本体を保持せず、署名要求をTurnkeyに送る構成です。サーバーが自動承認する決済と、パスキー等でユーザー承認を必須にする決済の両方に対応します。
説明:
●バックエンド実装の現実的な課題への回答
サーバー側で複数ユーザーのウォレットを扱う場合、鍵をアプリサーバーに置くと漏洩時の被害が大きくなります。Turnkeyのポリシー付き署名とBreezの決済SDKを組み合わせることで、「運用は自動化したいが、鍵はサーバーに置きたくない」という相反する要件を同時に満たしやすくなります。
●6月のBreez発表との接続
Breez SDKに続き、署名と鍵管理のレイヤーが揃ってきた形です。決済ロジックと鍵管理を分離する設計は、金融系サービスとの接続を検討する際にも整理しやすい構成です。
●国内のフィンテックや送金、投げ銭、ゲーム内経済など、サーバー側で支払いフローを持つサービスにとって、ノンカストディアルを維持したまま自動化する選択肢の一つになり得ます。


