●大手マイナーが計算能力をAI向けに振り向けるなか、ビットコインの7日間平均ハッシュレートは1 ZH/sを超え、3月3日以来の高水準に達した。
●マイニング難易度は10月16日に5.92%上昇した。BlocksBridge Consulting(ブロックスブリッジ・コンサルティング)は、次回の調整でもさらに5.16%上昇すると予測している。
●中小マイナーが大手事業者から中古機器を購入し、稼働を外れた計算能力をビットコインのマイニングに戻すことで、競争を激化させている可能性がある。
15億ドル相当のマイニング設備が稼働を外れるなか、ハッシュレートが回復
上場する大手マイニング企業が計算能力を人工知能(AI)向けに振り向けているにもかかわらず、ビットコインのハッシュレートは7カ月ぶりの高水準に達した。この回復は、ネットワークから失われつつある計算能力の一部を、他の事業者が補っていることを示唆している。
ブロックスブリッジ・コンサルティングが10月22日(木)に発行した最新のニュースレター「Miner Weekly(マイナー・ウィークリー)」によると、ビットコインの7日間平均ハッシュレートは、毎秒1ゼタハッシュ(ZH/s)を超える水準に回復した。これは毎秒1000エクサハッシュ(EH/s)に相当し、3月3日以来の高水準となる。
ハッシュレートは、ビットコインのネットワークの安全性を支える計算能力を示す指標だ。数値が高いほどネットワーク全体の計算処理が活発であることを意味するが、BTC価格の方向性を直接決めるものではない。
今回の回復からは、業界がAIインフラや高性能計算(HPC)へ移行しても、マイニングを続ける事業者にとって競争圧力の緩和は限定的であることがうかがえる。

ビットコインのマイニング難易度は、10月16日に5.92%上昇した。ブロックスブリッジ・コンサルティングは、次回の調整でもさらに5.16%上昇すると予測している。予測どおりになれば、2回連続の調整による上昇率は合計で約11.4%となる。
同社は「これでは、マイニングを続ける事業者がAIへの移行に期待していたような余裕は、ほとんど生まれていない」と述べ、ビットコインのマイナーが引き続き厳しい競争に直面していることを強調した。
AIへの事業転換に伴い、上場企業のマイニング能力はすでに低下している。ブロックスブリッジ・コンサルティングは以前、分析対象の上場マイナーのハッシュレートが減少する一方、報告されたAI・HPC事業の売上高は前四半期比で52%増加したと伝えていた。
同社の推計では、稼働を外れた計算能力は、マイニング機器に換算して約15億ドルに相当する。しかし、上場マイナーの稼働実績が落ち込んでも、ビットコインのネットワーク全体のハッシュレートが同じだけ減少したわけではない。
むしろ、足元の回復は、大手企業が手放した計算能力の一部を他の事業者が吸収している可能性を示している。
中小マイナーが稼働を外れた機器を再活用している可能性
中小規模のマイニング事業者が、大手の競合企業が売却した機器を購入し、計算能力の回復に一役買っている可能性がある。AIインフラへの移行が進んでもビットコインのハッシュレートが回復を続けているのは、このためかもしれない。
ブロックスブリッジ・コンサルティングは、その一例としてSazmining(サズマイニング)を取り上げた。同社は中古のAntminer S21 XP(アントマイナーS21 XP)の販売を案内しており、購入者はパラグアイやテキサス州のホスティング施設で稼働させることができる。
安価な電力を利用できれば、設備投資を抑えたい事業者にとって中古のマイニング機器は魅力的な選択肢となり得る。機器の効率や保守の必要性、ホスティング料金、電力価格によっては、新品を導入するより中古機器を購入するほうがコストを抑えられる可能性がある。
こうした仕組みを通じて、AIへの転換によって稼働を外れたマイニング機器が、別の所有者のもとで再びビットコインの採掘に使われる可能性がある。
ただし、こうした再活用がどの程度進んでいるのかは明らかではない。現在得られる情報だけでは、販売されている機器のうち、どれだけが上場マイナーから放出されたものなのか、また、どれだけが実際にビットコインのマイニングに復帰したのかは確認できない。
ハッシュレートが回復するなか、一部の業界関係者は、計算能力の増加をBTCにとって間接的な強気材料と捉えている。ハッシュレートが高まれば、ネットワークへの攻撃に必要な計算資源が増え、安全性の向上につながる。ただし、この指標だけで将来の価格動向が決まるわけではない。
CryptoQuant(クリプトクアント)の創業者兼CEOであるKi Young Ju(キ・ヨンジュ)氏も最近、ハッシュレートの上昇は、ビットコインの安全性と、価値の保存手段としての基盤を支えると論じている。
BTCのテクニカル分析──MACDが弱気に転じ、一段安のリスク
10月23日(金)、BTCは8万800ドル付近で取引され、20日単純移動平均線の8万2540ドルを下回っていた。TradingView(トレーディングビュー)のデータでは、価格はボリンジャーバンドの下限である7万9845ドルに近づいており、売り圧力の強さがうかがえる。
この水準を明確に下抜ければ、BTCはさらに下落する可能性がある。一方、反発しても、中央線の8万2540ドル付近では上値を抑えられる可能性がある。
ボリンジャーバンドの上限である8万5235ドルは、その先の抵抗水準となる。この上限に向けた回復をテクニカル面で裏付けるには、まず中央線を回復する必要がある。

モメンタム指標も、上昇の勢いが弱まっていることを示している。MACDラインはマイナス179.17と、107.58のシグナルラインを下回り、ヒストグラムはマイナス286.75まで低下している。この弱気の形状は、引き続き売り圧力が優勢であることを示唆している。
ヒストグラムがマイナス圏にあり、MACDの各ラインも低下していることから、BTCが10月の高値から反落した後、下落の勢いが強まっていると読み取れる。
買い手が主導権を取り戻さなければ、BTCは7万9845ドルの支持水準を試す可能性がある。この水準を下回る状態が続けば下落リスクは高まる一方、8万2540ドルを上回る水準まで回復すれば、目先の弱気見通しは和らぐ可能性がある。
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