イングランド銀行の金融安定政策委員会(FPC)で外部委員を務めるCarolyn Wilkins(キャロリン・ウィルキンス)氏は9月15日、ベルファストのクイーンズ大学で講演し、ステーブルコインの台頭が米ドルの世界的な優位性を強化し、米国債への需要を高める可能性があると述べた。
同氏は、ドル建てステーブルコインが国境を越えた決済を容易にし、米国外でのドル資産へのアクセスを広げると指摘した。ステーブルコイン市場の約98%をドル建てが占めており、ドルは大きな先行者利益を得ているという。
同氏が引用したデータによると、Tether(テザー)のUSDTとCircle(サークル)のUSDCは、2025年末時点で約1500億ドル(約23兆2500億円、1ドル=155円換算)相当の米短期国債を保有し、同年中に約330億ドル(約5兆1150億円)相当を買い増した。
一方で同氏は、この関係は両刃の剣だと主張した。発行規模が十分に大きくなると、大量償還が起きた際に発行体が短期国債の売却を迫られ、すでにストレス下にある市場の変動を増幅しかねないからだ。
イギリスでは、金融行動監視機構(FCA)が規制サンドボックスでの試験を経て、6月にステーブルコイン発行体向けの最終規則を公表した。イングランド銀行もシステミックな発行体に対し、裏付け資産の最大70%を残存6カ月未満の英国債で保有することを認める方針を示している。
今回の発言は、ドル建てステーブルコインが暗号資産の枠を超え、国債市場や通貨の覇権争いに影響する存在になったことを示すものだ。
日本では2025年10月に円建てステーブルコイン「JPYC」の発行が始まり、3メガバンクも2026年度中の共同発行による実取引開始を目指しているが、ドル建てとの規模の差は大きい。
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|文・編集:井上 俊彦
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