・インフレ鈍化が続けば9月の金利据え置きを支持する用意があるとクリストファー・ウォラーFRB理事が示唆したことを受け、イーサリアム(ETH)は4%上昇し、2,500ドルを突破した。
・暗号資産のショートポジション4億7095万ドル相当が清算される一方、ETHデリバティブの未決済建玉(OI)は12億ドル増加し、約110日ぶりの高水準となる335億ドルに達した。
・ETHオプション市場では、プット・コール・レシオが0.59と強気に傾いている。月末満期のオプションのマックスペイン価格は2,150ドルで、20週移動平均線を上回った。
ウォラー発言でウォーシュ議長のタカ派姿勢を受けた利上げ観測が後退、ETHは2,500ドルを突破
トレーダーが米連邦準備制度理事会(FRB)の9月会合における金融政策見通しを見直したことを受け、ETHは木曜日に4%上昇し、一時2,500ドルを突破した。
きっかけとなったのは、クリストファー・ウォラーFRB理事の発言だ。ウォラー氏は、インフレ率がFRBの目標である2%に向けて低下し続けるのであれば、9月16日の政策決定で政策金利の据え置きを支持する可能性があると示唆した。
「2%の目標に向けた進展が続くのであれば、政策金利を現行水準に据え置くことを支持する用意がある」─ ウォラー氏
ウォラー氏は木曜日、ロイターのインタビューイベント「NEXT Newsmaker」で、インフレ指標が予想を上回った場合には、利上げを支持する可能性も依然としてあると付け加えた。
市場はウォラー氏の発言を、最近のFRB当局者による発言よりもタカ派色が弱いものと受け止めた。ケビン・ウォーシュFRB議長は2026年8月28日のジャクソンホール講演でタカ派的な姿勢を示し、夏場のインフレ指標は改善したものの、基調的な物価動向は十分に改善していないと強調していた。同氏にとって、FRB議長として初めてのジャクソンホール講演だった。
ウォーシュ氏は、FRBがインフレ目標の達成に十分な確信を持てる状態でなければならないと強調し、物価安定に向けた進展が不十分なら追加の政策対応が必要になるとの認識を示し、市場では利上げの可能性を残す発言と受け止められた。

しかし、CMEのFedWatchデータによると、利上げ確率は50.2%まで低下する一方、金利据え置きの確率は49.8%に上昇した。
これは、ウォーシュ議長の講演後、8月28日に約58%へ上昇し、その後9月2日までに約65~68%へ上昇した利上げ確率が、再び約50%まで低下したことを示している。
利上げ観測の後退はリスク資産の支援材料となった。米10年国債利回りは4ベーシスポイント低下して約4.76%となり、米ドル指数は0.6%下落して98.99となった。
一方、ETHとビットコイン(BTC)は日中にそれぞれ4~5%上昇し、2,529ドルと8万1200ドルに迫った。暗号資産市場全体の時価総額も2兆7000億ドルに増加した。
ETHが2,500ドルを回復、デリバティブ市場では積極的なポジション構築が進む
ウォラーFRB理事の発言や米金利・ドルの低下などが材料視されるなか、暗号資産市場では大規模なショートスクイーズが発生した。8月28日金曜日に行われたウォーシュFRB議長のタカ派的なジャクソンホール講演を受けて売りポジションを取っていたトレーダーが、相場の急反転によって踏み上げられた形だ。

CoinGlassの当時のスナップショットでは、過去24時間の清算額は約5億2300万ドル、このうちショートは約4億7095万ドルとされ、約90%を占めた。これは8月21日以来、最大規模のショート清算となった。当時は、米財務省が長期債の買い戻しを増やす方針を発表してから数日後に、約12億6000万ドル相当のショートポジションが清算されていた。
9月3日のウォラー氏の発言後、ETHの未決済建玉は323億ドルから12億ドル増加し、335億ドルに達した。これは5月16日以降で最高水準となった。

注目すべき点は、ETH価格が前週に付けた高値の2,567ドルを下回っているにもかかわらず、未決済建玉が8月22日に記録した過去のピークである333億4000万ドルをすでに上回っていることだ。投資家はこれを、トレーダーがETHの一段高を見込み、より積極的にポジションを構築している兆候と捉える可能性がある。
イーサリアムの現物市場にも機関投資家の買いが入った。米国のイーサリアムETFには1億4140万ドルの純流入があり、ブラックロックのETHAが7200万ドル、フィデリティのFETHが6500万ドルでこれをけん引した。
水曜日には4820万ドルの資金流出があり、12営業日連続で続いていた資金流入が途切れたが、今回の流入によって買いの勢いが回復した。8月17日から9月1日までの12営業日における純流入総額は約16億ドルだった。
ETH価格分析:9月25日満期オプションのマックスペイン価格は2,150ドル
ETHオプション市場では、9月25日の月次満期を前に、マックスペイン価格が2,150ドルとなっている。9月25日満期のマックスペイン価格は2,150ドルで、記事掲載時のETH/USD週足チャートにおける20週移動平均線2,022.50ドルを上回っていた。原文では、この位置関係をETHの中期的な見通しにとって強気材料とみている。

Deribitの9月25日満期のETHオプションでは、当時の未決済建玉が71万2039枚、想定元本が約17億8000万ドル、プット・コール・レシオが0.59となっていた。これはコール建玉がプット建玉の約1.7倍に上ることを意味し、一般に強気寄りの構成と解釈される。
テクニカル面もこの見方を裏付けている。ETHの週足ボリンジャーバンドの上限線は3週連続で上向き、現在は2,592.60ドルに達している。中央線もこれに追随して上昇し、2,022ドルとなっている。

心理的に重要な抵抗線である2,500ドルを上回る水準で値固めが続けば、次に意識されるのはボリンジャーバンド上限の2,592.60ドルとなる可能性がある。この水準を上抜ければ、コール建玉が集中する3,000ドル付近が中期的な上値目標となり得る。
一方、2,500ドルから2,150ドルまでの下落率は約14%となる。ただし、マックスペイン価格を強気構造の下限とみなす根拠は限定的である。その場合、記事掲載時に約2,022.50ドルだった20週移動平均線が、テクニカル上の参考水準として意識される可能性がある。


