国内初の円建てステーブルコインJPYCを発行するJPYC株式会社が、資金移動業者の登録を受けてから18日で1年を迎えた。同社は昨年8月18日付で資金決済法第37条に基づく資金移動業者(登録番号 関東財務局長第00099号)の登録を取得し、法律上「電子決済手段」に位置付けられるJPYCの発行が可能になった。
この1年で、発行開始から資金調達、実店舗決済の実証実験まで活用領域が拡大している。
登録から約2カ月後の2025年10月27日、発行・償還のための専用プラットフォーム「JPYC EX」をローンチし、JPYCの正式発行を開始した。1JPYC=1円で価値が連動する仕組みで、裏付け資産は預貯金や国債で保全する。
流通量の拡大は今年に入り加速している。オンチェーンデータをまとめる「JPYC info」によると、現在の総流通量は約28億3000万円。発行から約8カ月かけて到達した10億円(6月26日到達)から、その後2カ月足らずで約3倍になるまで積み上げた計算だ。背景には今年5月のKaiaチェーン対応があり、同チェーン上の流通量が急拡大している。

資金調達も加速している。8月5日にはシリーズBのエクステンションを実施し、累計調達額が約60億円に達したと発表。新たに出資したのが物流大手のAZ-COM丸和ホールディングスで、7月には資本業務提携も締結。個人ドライバーを含む協力会社約2300社への委託費支払いにJPYCを導入する計画も明らかにしている。
実店舗での決済実証も動き出している。足元で注目を集めるのが、コンビニ大手ローソンでの取り組みだ。8月6日には、HashPort Wallet(ハッシュポートウォレット)を使ったPOSレジ連携のJPYC決済が検証された。コンビニのレジと直結する国内初の試みとなった。第二弾として昨日17日には、MetaMask(メタマスク)を使ったJPYC決済も検証されている。
JPYCは現在、Kaia、Polygon、Ethereum、Avalancheの4チェーンで発行されている。
以下、これまでの主な歩みをNADA NEWSの記事とともに振り返る。
ライセンス取得から発行、資金調達
JPYC、電算システムと基本合意──全国コンビニでステーブルコイン決済実現目指す
2025年9月17日:発行開始を控えていた同社が、全国6万5000店以上に決済網を持つ電算システムと、実店舗利用拡大に向けた基本合意を締結した。
【本日発行】国内初の円ステーブルコインJPYC、今日からどう使う?

2025年10月27日:発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」とともに、JPYCが正式に発行された当日に入手方法と活用法を解説した。
EXPOウォレット後継「HashPort Wallet」、JPYC対応で本日誕生
2025年10月31日:大阪・関西万博のキャッシュレス決済を支えた「EXPO2025デジタルウォレット」の後継としてHashPort Walletが誕生し、JPYCへの対応も発表された。
JPYC、アステリアらから17.8億円調達へ──マルチチェーン展開を拡充
2026年2月27日:シリーズBラウンドのファーストクローズを発表。アステリア代表の平野洋一郎氏は同日、「JPYCを10億円保有する」とも述べている(関連記事)。
メタプラネット、JPYCに最大4億円投資へ

2026年3月12日:ビットコイン(BTC)保有戦略で知られる同社が、円建てデジタル決済レイヤーへの投資という新たな一手を明らかにした。
発行上限変更とKaiaチェーンの追加
JPYC、発行上限を「1日100万円」から「1回100万円」へ──Kaiaチェーン追加も
2026年5月15日:JPYC EXのアップデートで発行上限を緩和したほか、新たにKaiaチェーンへの対応を開始し、対応チェーンは計4つとなった。
JPYC、シリーズB累計約50億円を調達へ──いよぎん、明治安田生命らが出資
2026年5月22日:提供開始から約7カ月で口座開設数1万8000件、累計発行額は2026年5月18日時点で25億円を突破した。
JPYC、Kaiaチェーンの流通量が首位に──Polygonを逆転

2026年6月15日:LINE上のウォレット「Unifi」でのJPYC対応を追い風に、6月12日にKaiaの流通量がPolygonを上回った。
総流通量10億円突破からの急拡大
JPYC、総流通量10億円を突破

2026年6月26日:発行開始から約8カ月で、オンチェーン上の総流通量が10億JPYCに到達した。
JPYC、総流通量20億円を突破──2週間で10億円増加
2026年7月9日:Kaiaチェーン上での流通拡大を主因に、2週間で流通量が倍増した。
実店舗や物流業界での活用
【独自レポ】JPYCで決済してみた──腰痛記者が考えたWeb3社会実装のリアル
2025年11月17日:10月の発行開始直後、JPYCによる支払いを受けつける都内の整骨院で、NADA NEWS記者が実際に決済体験した。
お好み焼「千房」、ステーブルコインJPYC決済の実証実験を開始──HashPort Wallet活用

2026年4月7日:お好み焼きチェーン「千房」の大阪と東京にある2店舗で、JPYC決済の実証実験が行われた。
アマゾン配送大手のAZ-COM丸和、協力会社2300社への支払いにJPYC導入へ=日経
2026年7月20日:物流大手AZ-COM丸和ホールディングスとの資本業務提携を受け、約2300社の協力会社への委託費支払いにJPYCを活用する構想が発表された。
JPYC、「物流×ステーブルコイン」の社会実装へ──「Pay」は目指さず、商慣習の骨格をつくる
2026年7月23日:岡部氏はこれまで通り「発行元」としてのスタンスは崩さず、JPYC社はステーブルコインを社会実装する際の規制や商慣習、標準仕様の整備に注力する考えを強調した。
ローソンで円ステーブルコイン「JPYC」決済を体験──国内初のPOSレジ実証

2026年8月6日:ローソン高輪ゲートウェイシティ店で、POSレジと連携した決済実証が行われた。使用したのはHashPort Wallet(ハッシュポートウォレット)。JPYC社代表取締役の岡部典孝氏も現地で決済を体験。その後、17日には別のローソン店舗でMetaMask(メタマスク)を使った実証も行われた(関連記事)。
|文:橋本祐樹
|トップ画像:JPYC社代表取締役の岡部典孝氏(撮影:NADA NEWS編集部)


