CPI上昇で見えてきたアメリカ経済の現実、そしてビットコインが注目される理由【サンフランシスコ レポート】

エックスウィン アメリカマーケットリサーチアナリストのデリア・ロホです。サンフランシスコから、今週発表されたアメリカのCPI(消費者物価指数)についてお伝えします。

今回発表された5月のCPIは前年同月比4.2%上昇となり、約3年ぶりの高水準を記録しました。市場予想の範囲内ではあったものの、インフレ率が再び4%台へ乗せたことは、アメリカ市場にとって決して小さなニュースではありません。

今回のインフレ上昇を主導したのはエネルギー価格です。エネルギー価格は前年比で20%を超える上昇となり、ガソリン価格や電気料金への影響が広がっています。中東情勢の緊張や原油市場の不安定化もあり、多くの家庭が日常生活の中でその影響を感じ始めています。

一方で、食品価格や住居費の上昇は以前ほど急激ではありません。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIも比較的落ち着いた水準にあります。そのため、一部の専門家からは「インフレ再燃というよりはエネルギー主導の上昇だ」という見方も出ています。

しかし、現場で生活する人々の感覚は少し違います。経済学者が「コアCPIは落ち着いている」と説明しても、多くの人が毎週支払うのはガソリン代であり、食費であり、電気代です。統計上の数字よりも、実際の生活コストの方がはるかに重要なのです。

私が住むカリフォルニア州でも、その感覚は非常に強くなっています。サンフランシスコ市内では、ランチが20ドルを超えることも珍しくありません。コーヒー1杯が6〜8ドル、ハンバーガーセットが15〜20ドルという価格帯も一般的です。日本から来る人の多くは、まず外食価格の高さに驚きます。

一方で、同じカリフォルニア州でも内陸部へ行けば生活コストはかなり下がります。つまり今のアメリカでは、「どこに住むか」が家計に与える影響が非常に大きくなっています。また、食品価格も依然として高いままです。卵や牛乳など一部の商品はピーク時より落ち着きましたが、外食費は高止まりしています。私の周りでも、「以前は週に何度も外食していたけれど、今は家で食べる回数を増やしている」という人が増えています。

統計上はインフレ率が下がっていても、人々の生活スタイルそのものが変わり始めているのです。

特にアメリカ人にとって大きいのはガソリン価格です。

日本では公共交通機関が発達していますが、アメリカでは車が生活インフラそのものです。通勤で毎日30分から1時間運転することも珍しくありません。そのためガソリン価格の上昇は、日本人が想像する以上に家計へ直接影響します。CPIでエネルギー価格上昇と言われると、多くのアメリカ人はまずガソリン代を思い浮かべるのです。

さらに興味深いのは、株式市場と実体経済のギャップです。

日本から見ると、「アメリカ株は高値圏なのだから景気も良いのではないか」と思われるかもしれません。しかし実際にはそう単純ではありません。S&P500やNASDAQは高値圏を維持していますが、その恩恵を受けているのは主に資産を保有している人たちです。一方で、株を持たない人たちは物価上昇だけを感じています。

つまり現在のアメリカでは、「株価は強いのに生活は苦しい」という、一見矛盾した状況が起きているのです。

こうした状況の中で、改めて注目されているのがビットコインです。

もちろん、ビットコインは短期的な価格変動が大きく、リスクの高い資産でもあります。しかし、多くの投資家が注目している理由は価格上昇だけではありません。最大の特徴は、供給量が2100万枚に固定されていることです。

ドルや円などの法定通貨は、中央銀行や政府の政策によって供給量を増やすことができます。しかしビットコインは発行上限が決まっており、誰も追加発行することはできません。

そのため、一部の投資家はビットコインを「デジタルゴールド」と呼びます。特にインフレへの懸念が高まる局面では、「価値が希薄化しない資産」として再び注目を集める傾向があります。

また近年は個人投資家だけでなく、企業や機関投資家の参加も進んでいます。現物ETFの登場によって、ビットコインは徐々に伝統金融システムの一部として認識されるようになってきました。

さらにアメリカでは、CLARITY法案やGENIUS Actなどの規制整備も進んでいます。

価格だけを見るとビットコイン市場は停滞しているように見えるかもしれません。しかし制度面では、これまでにないスピードで環境整備が進んでいるのです。

私は、ここにビットコインの本当の強さがあると感じています。

価格は上がったり下がったりします。しかしネットワークは止まりません。発行ルールも変わりません。そして世界中の誰でも利用することができます。

だからこそ、多くの投資家は短期的な値動きではなく、長期的な価値保存手段としてビットコインを見始めているのです。

今回のCPI上昇は、単なる経済指標ではありません。私たちに「お金の価値とは何か」「資産をどう守るのか」を改めて考えさせる出来事だったように思います。

だからこそ私自身も学び続けたいと思いますし、皆さんも一緒に金融やテクノロジーについて学んでいきましょう。

知識は誰にも奪われない資産です。そして、それこそがインフレ時代を生き抜く最大の武器になるのかもしれません。

■ショート動画

【サンフランシスコレポート】私がビットコインを持つ理由──CPI4 2%で見えた現実
https://youtube.com/shorts/CE8jXl1I-rI

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