ブロックチェーン分析企業TRM Labsは4月23日、「Q1 2026 Global Crypto Adoption Index」を発表した。2026年第1四半期の世界全体における個人暗号資産(仮想通貨)取引高は9790億ドル(約156兆6400億円、1ドル=160円換算)となり、前年同期比で11%減少した。2四半期連続の縮小で、2022年の弱気相場以来最も大きな後退となった。
背景には、アメリカの関税政策をめぐる不透明感、ドル高、実質金利の上昇といったマクロ経済要因があり、リスク回避的な投資環境が個人の暗号資産取引を圧迫した。ビットコインも同四半期に22%下落し、約6万8000ドル付近で終えた。
国別では、アメリカが2133億ドル(約34兆1280億円)で首位を維持したものの前年比11%減。韓国が666億ドル(約10兆6560億円、同31%減)、ロシアが475億ドル(約7兆6000億円、同13%減)、インドが462億ドル(約7兆3920億円、同5%減)と続いた。
注目すべきは新興国の動向だ。トルコは前年比7%増の349億ドル(約5兆5840億円)と、主要市場で唯一プラス成長を達成し、順位を7位から5位に上げた。リラ安が続くなか、ドル建て暗号資産への構造的な需要が成長を支えている。 また、インドはP2P取引や国内取引所の成長が下支えとなり、前年比でわずかな減少にとどまった。
ステーブルコイン関連では2つのトレンドが際立つ。ベネズエラではBinance P2Pの注文の約90%がテザー(USDT)建てであり、ステーブルコインが事実上の決済・貯蓄手段として機能している。一方、ユーロ建てステーブルコインは2025年1月から2026年3月にかけて取引高が12倍に拡大し、月間7億7700万ドル(約1243億2000万円)に達した。全体に占める割合は0.3%未満ながら、EU(欧州連合)のMiCA(暗号資産市場規則)による明確なルール整備が採用を後押ししている。
先進国では投機需要の減退が取引縮小に直結する一方、通貨不安や資本規制のある新興国では暗号資産が生活インフラとして根付きつつあり、採用の二極化が鮮明になっている。
|文・編集:井上俊彦
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