暗号資産(仮想通貨)取引所Binance(バイナンス)で10月29日に起きた史上最大規模のハッキング事件が、11月3日のアメリカ中間選挙を前に党派対立へと発展している。北朝鮮の国家支援ハッカー集団の犯行との見方が広がるなか、共和・民主両党はほぼ即座にそれぞれの立場を打ち出した。
共和党のCynthia Lummis(シンシア・ルミス)上院議員は10月30日、Xで「昨日、ハッカーがバイナンスから4時間足らずで60億ドル(約9600億円、1ドル=160円換算)超を盗んだ」と投稿した。
同議員は、停滞する暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「CLARITY法案(クラリティ法案)」が成立していれば、法執行機関の連絡を受けた瞬間に不審な取引を凍結できる法的保護を企業に与えていたと主張した。
これに対し、監視団体Better Markets(ベター・マーケッツ)のAmanda Fischer(アマンダ・フィッシャー)政策ディレクターは、法案は凍結を義務付けていないとする条文を示して反論した。
ルミス氏は、その条文は既存法を維持する留保条項にすぎず、バイナンスも法案の対象事業者に含まれると応酬し、「あなたの党は反対票を投じた」と民主党を批判した。
一方、民主党のMaxine Waters(マキシン・ウォーターズ)下院議員は30日の声明で、事件は業界の説明責任の欠如への「警鐘だ」と述べ、共和党の規制緩和路線やトランプ一族とバイナンスの関係を批判した。
アメリカ商品先物取引委員会(CFTC)のMichael Selig(マイケル・セリグ)委員長は同日、CNBCで「問題は規制されていない海外取引所だ」と述べ、取引所のCFTC登録制度の必要性を訴えた。
業界団体The Digital Chamber(デジタル・チェンバー)も議会に書簡を送り、顧客資産の分別管理やCFTCの監督権限に絞った法案の早期成立を求めた。
クラリティ法案は9月15日に上院で審議入りに必要な60票に届かず、停滞したままだ。第119議会が終わる2027年1月までに成立しなければ廃案となり、新議会で一からやり直しとなる。中間選挙の結果は、暗号資産規制の行方も左右する。
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|文・編集:井上 俊彦
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