中小企業専門の金融機関である商工組合中央金庫(商工中金)が、年内にもトークン化預金を使った貿易決済の実証実験を始める見通しだ。日本経済新聞が10月28日に報じた。
トークン化預金の基盤を手がけるDCP、貿易支援サービスを展開するSTANDAGE(スタンデージ)と共同でシステム開発を目指すという。
このシステムでは、商工中金が発行するトークン化預金「DCJPY」を決済に使う。電子船荷証券の権利移転と代金の支払いを同時に行うことを目指す。
トークン化預金は、銀行預金をブロックチェーン(分散型台帳)上で移転できるようにしたものだ。
実証では、海外の輸出企業が貿易書類をシステムに登録し、国内の輸入企業がトークン化預金で入金する流れを想定しているという。
DCPの試算では、船荷証券の発行・取得にかかる手続きの時間を最大5営業日ほど短縮できるという。同社は2028年度にも商用化を目指し、商工中金の主な取引先である中堅・中小企業の利用を見込んでいるとされる。
背景には、貨物を受け取る権利を示す「船荷証券」の電子化に向けた法整備がある。現在は紙の船荷証券をやり取りするため、貨物が到着しても書類が届かず、引き取りが遅れる場合がある。政府は10月23日、こうした書類の郵送に伴う遅れの解消に向け、船荷証券の電子化を可能にする商法などの改正案を国会に提出した。
書類の電子化に加え、その受け渡しと支払いを連動させることが、貿易手続きの効率化につながる。
デジタル通貨で貿易決済を効率化する取り組みは、ほかの金融機関でも進む。3メガバンクなども、ステーブルコインを使った貿易決済の実証に取り組んでいる。商工中金のトークン化預金と合わせ、貿易決済にデジタル通貨を活用する動きが広がっている。
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|文:平木 昌宏
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