ブロックチェーン推進議員連盟の第37回会合が10月27日、開催され、同議連が8月下旬に行った米国視察の成果が報告された。
視察の目的は、オンチェーン金融とAIをめぐる米国の政策や市場動向を調査し、日本の制度設計や市場形成に生かすことだったという。衆議院議員の平将明氏と神田潤一氏が、日本ブロックチェーン協会(JBA)幹部らとともに参加。この日の会合には金融庁、デジタル庁、経済産業省の担当者と自民党の議員らが出席した。
報告したのは、JBA代表理事で、暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyer代表取締役の加納裕三氏。加納氏は、8月23日から29日の行程でワシントンDCとニューヨークを訪れた内容を説明した。
ワシントンDCでは、商品先物取引委員会(CFTC)や証券取引委員会(SEC)、米財務省、世界銀行、国際通貨基金(IMF)などを訪問。ニューヨークでは、ドル建てステーブルコインUSDCを発行するCircleのほか、JPモルガンやブラックロック、予測市場のKalshiとPolymarket、ブロックチェーン分析企業のChainalysisなどと面談した。
イノベーションと法律、先に立つのは?
加納氏は、訪問先ごとの印象や意見交換を振り返った。
米財務省については「イノベーションは経済成長の大きな源泉」と捉え、その促進を大きな役割と認識していたと紹介。IMFは、先進国でのステーブルコイン需要は手数料よりも決済スピードとプログラム可能性にあると分析していたと振り返った。
JPモルガンは、ブロックチェーンを研究テーマではなく、すでに事業テーマと位置付けており、「他の投資銀行よりも少し抜けているような印象」を持ったとした。そのうえで、最大の課題は技術ではなくエコシステムの形成にあるとし、取引所や清算機関などの参加が不可欠との認識を示していたとした。
視察では、近年米国で急拡大が進む予測市場への注目から、KalshiとPolymarketも訪れた。両社からは、予測市場は賭博や胴元への賭けではなく、リスクヘッジの手段になるといった説明があったという。
米国では、CFTCが予測市場を賭博ではなくイベント契約のデリバティブ市場と位置付け、専属的に管轄するとの立場を示している。一方で加納氏は、日本で同様の市場をつくるには、賭博に関する刑法の改正が必要になるとの弁護士見解も紹介した。
SECのヘスター・ピアース(Hester M. Peirce)委員は、DeFi(分散型金融)を巡る議論の中で、「多様な金融商品にアクセスできることも投資者保護」との考えを示したという。加納氏が、イノベーションと法律のどちらを先に立てるべきかを尋ねたのに対する答えだったという。 ピアース氏は「クリプトマム(暗号資産の母)」の愛称で知られる人物だ。
ピアーズ氏のこの発言に対しては、9月のNADA NEWSの取材に平議員も印象に残ったと明かしている。
さらに、AIが暴走した場合の責任については、SECは「ツールを利用した人間が責任を負うべき」と明確にしていたと紹介した。
議連、提言は対応可能なものから段階的に
加納氏は視察を踏まえ、日本でもオンチェーン金融の社会実装を可能にする整備を進めるべきだと主張。JBAとして、DeFiの法的位置付けの明確化やAIエージェント時代に対応した法律整備、デジタル資産を法律上の財産権の対象とすることなど、8つの提言を示した。
自身も米国を視察した神田議員は、米当局が日本の暗号資産やステーブルコインの法制を高く評価し、参考にしていたと明かした。日本で議論が進むオンチェーン金融について説明すると、「まさにそういう世界に進む」との反応があったという。民間の取り組みに当局が邪魔をしない姿勢も印象的だったと述べた。

報告を受けた同議連会長の木原誠二氏は、全ての提言を一気に変えようとすると時間がかかるとの認識を示したうえで、自身が座長を務めるAI・オンチェーン金融PTとしても、金融庁やデジタル庁で対応できるものから進める考えを強調。トークン一般を対象に、権利の移転や対抗要件のルールを定める法整備は、時間軸を分けて検討するとした。
さらに、暗号資産やNFTなどが法律上の「物」にあたるのか、別の権利として位置付けるのかも、いずれ決める必要があるとの考えを示した。
|取材・文・写真:橋本祐樹
|トップ写真:米国視察の成果を語った日本ブロックチェーン協会代表理事の加納裕三氏
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