欧州刑事警察機構(Europol)は10月7日、量子コンピューターによる暗号資産(仮想通貨)の盗難リスクを警告した。報告書を公表し、暗号資産業界や政策担当者に、将来の脅威への対策を今から進めるよう求めた。
十分な性能を持つ量子コンピューターが登場すれば、外部に露出した公開鍵からウォレットの秘密鍵を割り出せる可能性がある。攻撃者が持ち主の許可なく資産を送金する恐れがあり、暗号資産保有者にも関わるリスクだ。
暗号資産の送金では、秘密鍵を使って取引に電子署名を付け、資産を動かす権限を証明する。公開鍵は、その署名が正しいかを確認するための情報である。現在の仕組みは、公開鍵から秘密鍵を割り出すことが極めて難しいという前提で成り立っている。
Europolの報告書は、この鍵の仕組みを量子攻撃に対する主な弱点として挙げた。一方、ブロックチェーンの記録の整合性を支えるハッシュ関数は、量子攻撃に比較的強いと説明している。
こうした攻撃がいつ実現するかは、まだ分かっていない。それでも、暗号方式の変更には時間がかかる。多数の参加者が運営する分散型ネットワークでは、更新に向けた合意や調整も必要になる。
Europolは、量子攻撃に耐えられるよう設計された「耐量子暗号」への段階的な移行を勧めている。ウォレットの安全性や鍵の管理の改善、利用者への更新・移行手順の周知も、対策として挙げた。
ビットコインでも、量子攻撃への対策を実際の取引で試す動きが出ている。ブロックチェーン開発企業StarkWare(スタークウェア)は8月26日、量子耐性を持つBTC取引が、本番のネットワーク上で初めて成立したと発表した。既存の取引ルールを変更せずに実現したという。
Ethereum Foundation(イーサリアム財団)も、耐量子対応の専用サイトを公開し、移行準備を進めている。同財団の専用サイトは、世界規模の分散型ネットワークの更新には長年の調整と検証が必要だと説明する。
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|文:平木 昌宏
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