米決済大手Stripe、共同創業者ジョン・コリソン氏が来日──ステーブルコインは「今年が変曲点」

グローバルに展開する米決済大手のStripe(ストライプ)は9月30日、都内で年次カンファレンス「Stripe Tour Tokyo 2026」を開催し、共同創業者のJohn Collison(ジョン・コリソン)氏が登壇した。

同氏は2010年にStripeを創業。2016年には、当時世界最年少で資産10億ドル超のビリオネアになったことで知られる。

この日、同社日本法人代表取締役のDaniel Heffernan(ダニエル・ヘフェルナン)氏と対談したコリソン氏は、ステーブルコインの利用が今年「変曲点」を迎えたとの認識を示した。日本では、国際送金などクロスボーダー取引から普及が進むと予測した。 

AIエージェントが買い手に

コリソン氏は、ステーブルコインの利用が今年大きな節目を迎えたと説明。Stripeの最高財務責任者(CFO)が予算編成のために取扱高を把握し始めたのは今年が初めてだったとし、米国からメキシコへの送金アプリの多くで、すでにステーブルコインが水面下で活用されている事例も紹介した。

Two men in business attire sit on stage with microphones during a Stripe tour panel, a large presentation screen behind them shows speaker profiles.
〈対談したコリソン氏(左)とストライプジャパン代表取締役のDaniel Heffernan(ダニエル・ヘフェルナン)氏〉

一方で、日本国内の企業間送金は元々スムーズなため、ステーブルコインが直接的な解決策になりにくいとも指摘。ただ、少額の国際送金では有用性が高いとする。例えば100〜200カ国にクリエイターを抱えるプラットフォームなら、国ごとの金融システムに個別に直面する必要がなくなるため、日本でも海外送金や為替取引といったクロスボーダー用途から普及が進むと予測した。

さらに、人に代わって商品購入や取引を行うAIエージェントの登場にも触れ、頻繁に行われる少額決済の基盤としてもステーブルコインが適した技術だと述べた。

ヘフェルナン氏は、同社が立ち上げ支援を行った決済特化型のレイヤー1ブロックチェーン「Tempo(テンポ)」に言及したほか、ステーブルコイン関連でBridge(ブリッジ)とPrivy(プリヴィ )、AI関連でMetronome(メトロノーム)とOpenRouter(オープンルーター)を買収してきたことに触れた。

8月に買収合意を発表したOpenRouterについて問われたコリソン氏は、企業のAI関連支出の増大に伴い、業務ごとに最適なモデルを使えているかを企業が確認したいニーズが高まっていると分析した。

Stripeはこの日、AIエージェントが新たな経済主体として活動する「エージェンティック・エコノミー」の展望を発表。従来のECが人間による画面操作とカード入力を前提に設計されてきたのに対し、画面を見ないAIエージェントには料金体系や対応決済手段をプログラム経由で直接認識する手段が必要となるとしている。

そこで同社は、今年3月に発表した決済プロトコル「Machine Payments Protocol(MPP)」と、自社の消費者向けデジタルウォレット「Link(リンク)」を活用し、人間を介さない取引を実現すると説明。Linkは2026年4月にAIエージェントへの対応を開始しており、人間の管理権限のもとでエージェントが決済を実行できる。利用者は3億人以上にのぼるとされる。 

決済総額は世界GDPの約1.6%

Stripeは年間で、世界のGDP(国内総生産)の約1.6%に相当する1.9兆ドル(約300兆円)以上の決済を処理している。2026年2月に公表した年次報告書では、2025年の決済総額が約1.9兆ドルに達し、前年比で34%伸びたと明らかにした。利用企業は世界で500万社を超える。同社は現在、AIとステーブルコインの事業拡大と研究開発に力を入れている。

同報告書では、2025年のステーブルコイン決済の世界全体の取扱高が2倍の約4000億ドル(約60兆円)に増え、その約6割がBtoB(企業間)の利用と推定されるとしている。買収したステーブルコイン決済基盤「Bridge」の取扱高は、4倍以上に増えた。

コリソン氏は、兄のPatrick Collison(パトリック・コリソン)氏とともに、ハーバード大学在学中にStripeを立ち上げた。現在はプレジデントとして事業全体を統括する。アイルランド出身。

同社は今年4月にも都内でメディア向けラウンドテーブルを開催しており、今年10周年を迎えたストライプジャパン代表取締役の平賀充氏とヘフェルナン氏が、ステーブルコインとオープン設計によるAI時代の決済インフラについて説明していた。

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|文・写真:橋本祐樹
|トップ画像:ストライプ共同創業者のJohn Collison(ジョン・コリソン)氏