オンチェーン分析企業Glassnode(グラスノード)は9月16日、上場企業によるビットコイン(BTC)の純購入量が、直近3カ月で約5900BTC(約695億円)にとどまったと報告した。2025年7月の約8万9000BTC(約1兆480億円)と単純比較すると、約15分の1の水準である。(1BTC=約7万6000ドル、1ドル=155円で算出)
グラスノードのレポートによると、上場企業の平均取得価格は約8万500ドルで、調査時点の市場価格を約6%上回る。企業全体では含み損を抱えており、2025年に相場を支えた企業需要が後退しているとみられる。

購入が鈍った背景には、ビットコイン価格の下落と金融環境の引き締まりがある。
ビットコインはレポート作成時に約7万6000ドルで取引され、活発な投資家の平均取得価格を示す「トゥルー・マーケット・ミーン」の7万6700ドルを下回った。企業の平均取得価格である8万500ドルも割り込み、追加購入に慎重になりやすい状況となった。
また、米国では物価上昇率の低下に対して政策金利が高止まりし、実質金利が上昇している。グラスノードによると、米国のコアインフレ率は2.4%まで低下した一方、政策金利は3.75%で推移していた。金利収入を得られないビットコインにとって、実質金利の上昇は投資資金を呼び込みにくくする要因となる。
企業以外の新規需要も弱まっている。米国の現物ビットコイン上場投資信託(ETF)は9月8日から14日までに約3億3400万ドルの純流出となった。月初には約10億ドルが流入していたが、資金の流れは短期間でマイナスに転じた。
さらに、暗号資産(仮想通貨)市場の待機資金とされるステーブルコインの供給量も、約3010億ドルで前週から横ばいだった。2026年4月のピークを約4%下回り、5カ月にわたって最高値を更新していない。オンチェーン上の資金流入も、9月14日まで27日間続いた増加が途切れた。
上場企業は2025年、株式や社債の発行で資金を調達し、ビットコインを購入する主要な買い手となった。しかし、価格下落によって平均取得価格を割り込むと、新たな資金調達や購入が株主価値の向上につながりにくくなる。企業にとっては保有量の拡大より、流動性や資本コストの管理を優先する必要性が高まる。
実際、世界最大級のビットコイン保有企業Strategy(ストラテジー)は、購入一辺倒の方針から資本効率を重視する運営へ軸足を移している。市場環境に応じてビットコインの売却や自社株買いも選択肢に加えるなど、企業の財務戦略は転換点を迎えている。
グラスノードは、企業の平均取得価格である8万500ドルが当面の上値抵抗になり得ると指摘した。価格が同水準を回復すれば、企業全体の含み損が解消され、購入再開への環境が整う可能性がある。一方、企業需要やETFへの資金流入が戻らなければ、ビットコイン相場を支える買い手が不足する状態が続きそうだ。
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|文:平木 昌宏
|画像:Adobe Stock