警察庁は9月18日、北朝鮮IT労働者とみられる人物が、2025年5月に国内の暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyer(ビットフライヤー)のエンジニア職へ応募していたと公表した。
応募者は別人になりすました履歴書を採用フォームに添付し、仲介事業者を介さず直接応募していた。同社は応募者の不審な言動に気づいて対応し、採用や被害には至らなかった。
警察庁によると、応募者は採用フォームへのアクセスに複数のVPNサービスを使用し、連絡先にはGmailを記載していた。職務経歴書には、プログラミング言語やブロックチェーン、クラウドサービスに関する幅広い技能に加え、欧州の大学を卒業し、欧州やアジアの都市で働いた経歴が記されていた。
同社がオンライン面接を行うと、応募者はマレーシア出身でフィンランド在住と説明した。履歴書に記載された技能については、簡単な質問には答えたものの、回答が抽象的になる場面があったという。
日本への転居や出社を拒否するか、「半年先なら」と回答し、暗号資産での給与支払いに固執した。面接中には別のモニターを頻繁に確認し、背後から他人の声が聞こえることもあったという。
警察庁と米連邦捜査局(FBI)は、サイバー攻撃グループ「WaterPlum(ウォータープラム)」の活動と、北朝鮮IT労働者による一部の外貨獲得活動に、朝鮮労働党の313総局が中心的に関わっているとみている。警察庁によると、同グループの攻撃者、北朝鮮IT労働者、bitFlyerへの応募者が使用したIPアドレスは一致した。
これまでに政府は、2024年3月26日の注意喚起で、北朝鮮IT労働者が身分を偽って日本企業のオンラインサービスで仕事を受注している疑いを指摘していた。2026年7月31日には、関係国とともに企業向けの注意喚起を公表した。
今回の発表では、国内の暗号資産取引所に対する具体的な採用応募の経緯と、サイバー攻撃グループとの接点が示された。
警察庁は採用側に対し、応募者の職歴や技能を面接で具体的に確認し、アクセス元と申告した居住地、連絡先、報酬の受取方法に不自然な点がないか調べるよう呼びかけている。
【次に読む】
» 米財務省、北朝鮮のIT労働者詐欺の仲介者に制裁
» イーサリアム財団が支援するセキュリティプログラム、暗号資産企業に潜入した約100人の北朝鮮IT労働者を特定
» 【ST最前線】不動産STのその先へ──大和証券・澤氏が描くオンチェーン資本市場
|文:NADA NEWS編集部
|画像:Shutterstock