HYPEが過去最高値を更新、DeFi市場は800億ドルに──SECとS&Pの発表を受け、BitwiseのCIOが背景を解説【価格分析】

●米証券取引委員会(SEC)は、一部のトークン化株式について暫定的な取引の枠組みを整えている。これにより、分散型金融(DeFi)での活用が広がる可能性がある。
●オンチェーン基盤への機関投資家の関心が高まるなか、S&PグローバルはOpenZeppelinの買収に合意した。
●DeFi関連銘柄の時価総額は約70億ドル増え、800億ドルに達した。ユニスワップ(UNI)、ハイパーリキッド(HYPE)、アーベ(AAVE)などが大きく上昇した。

SECがトークン化株式の取引に道を開く。市場は常時取引に一歩近づく

米証券取引委員会(SEC)は、一部のトークン化された米国上場株式について、一定の条件下でオンチェーン取引を可能にする暫定・条件付きの免除措置を導入した。

マーク・T・ウエダ委員が署名した「イノベーション免除に関する声明」で示された要件によると、株式トークンの保有者には、従来の株式と同じ権利が保障されなければならない。また、第三者がトークン化した株式をTSVで取り扱う前に、原株の発行会社へ書面で通知し、異議を申し立てる機会を与える必要がある。

従来型の資産がオンチェーンで利用できるようになれば、DeFiにおけるトークン化株式の活用も広がる可能性がある。

用途は売買にとどまらない。トークン化株式は、トークンの発行、ステーキング、利回りの獲得、担保付き融資、オンチェーン投票など、さまざまなDeFiアプリケーションで使われる可能性がある。

投資家にとっても、ブロックチェーン基盤を通じて従来の株式を取引する新たな機会となり得る。金融プラットフォームが従来型資産のブロックチェーン版を導入し続けるなか、個人投資家や機関投資家の認知が高まることも、成長を後押ししそうだ。

トークン化株式の存在感が増せば、オンチェーンの金融エコシステムに参加する投資家が増える可能性がある。DeFiプロトコルが活用できる従来型金融資産の裾野も広がるだろう。

SECが一部のトークン化された米国上場株式のオンチェーン取引に暫定・条件付きの免除措置を設けるなか、S&PグローバルはOpenZeppelinの買収に合意したと発表した。OpenZeppelinは、スマートコントラクトのセキュリティ基盤を手がける大手企業だ。

S&Pグローバルによれば、OpenZeppelinの技術は、主要なステーブルコインやトークン化ファンドを含め、累計37兆ドル超の価値移転を支えてきた。同社は、この買収によって、資本市場がブロックチェーン基盤へ移行するなかで、オンチェーンのリスク評価、ベンチマーク、デジタル資産分析の能力を強化できるとしている。

二つの動きを踏まえ、Bitwiseの最高投資責任者(CIO)マット・ホーガンは、SECが既存の権限で可能な限り暗号資産の規制枠組みを整えようとしていると述べた。

「CLARITY法案の審議が上院で先に進まなかったわずか2日後、SECは現行の権限で許される限り、暗号資産業界の規制を整えようとしている」

ホーガンは、SECによるトークン化株式への対応、S&PグローバルによるOpenZeppelinの買収、DeFi関連銘柄の上昇を挙げ、トークン化を大きな潮流と評した。

「トークン化は巨大な潮流だ。今日だけでも、SECが米国内でトークン化株式を取引する道を開き、S&PがOpenZeppelinの買収に合意し、DeFi関連銘柄が急騰している」

こうした動きは、金融市場がオンチェーン基盤へ移行しつつあることを示すとホーガンはみる。また、この変化を人工知能(AI)への投資が始まった頃になぞらえた。

ChatGPTが公開された2022年11月、エヌビディアの株価は約16ドルだったという。1年後にはAIが大きな潮流として広く認識され、株価は176%上昇して46ドルになった。潮流に気づくのが後になった投資家にも、参加する機会はあったというのがホーガンの主張だ。

HYPEは過去最高値を更新。UNIとAAVEも上昇

ホーガンは発言の最後に、DeFiとトークン化には、投資家にとってなお大きな投資機会が残されている可能性があると強調した。

「価格がもっと低かった6月にDeFiやトークン化に投資しておけばよかったと思うかもしれない。だが、これは金融の仕組みを数年かけて変えていく動きだ。私の予想どおりに進めば、今後も上昇の余地は十分にある」

SECとS&Pグローバルの発表は、リスク資産に対する投資家心理の回復と重なった。米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)で金融引き締めに積極的な姿勢が長引く可能性が示され、市場は一時下落していた。

米国株が反発するなか、CoinGeckoのデータによると、金曜日の暗号資産市場全体の時価総額は4%増の2兆7000億ドルとなった。ビットコイン(BTC)は2.3%、イーサリアム(ETH)は2.8%上昇した。

DeFi関連銘柄の上昇率は、暗号資産市場全体を大きく上回った。

DeFi crypto ranking table showing price, 1h/24h/7d changes, 24h volume, market cap, with mini price trend charts in each row.
<DeFi関連銘柄の時価総額は8.8%増の800億ドルに到達。2026年9月18日|CoinGecko

金曜日、DeFi関連銘柄の時価総額は約70億ドル増え、8.8%高の798億ドルに達した。上昇率は暗号資産市場全体の2倍を超えた。主要なDeFi関連銘柄にも大幅な値上がりがみられた。

HYPEは過去最高値となる約90.46ドルで取引され、24時間で10.8%上昇した。時価総額は201億2000万ドルに達した。

分散型取引プロトコルとして2番目の規模を持つユニスワップのUNIも、特に大きく上昇した銘柄の一つだ。価格は約9.00ドルで、24時間で29.1%、7日間で49.2%上昇した。時価総額は55億9000万ドルだった。

アーベのAAVEも堅調で、価格は約135.28ドルとなった。24時間で9.5%、7日間で10.1%上昇し、時価総額は20億ドルを超えた。

分散型オラクルネットワークを通じてスマートコントラクトと外部データを接続するチェーンリンク(LINK)は、同日の取引で5.8%上昇した。LINKの価格は約11.89ドル、時価総額は約89億ドルだった。

ナスダックが12月6日から取引時間の拡大を計画。DeFiの常時取引市場との競争が強まる

SECがトークン化株式の取引に向けた道筋を示し、S&PグローバルがOpenZeppelinの買収を決めたことで、従来型の金融基盤と分散型市場の結びつきが一段と強まっている。

RWA.XYZによると、トークン化株式の流通総額は約29億ドルだ。一方、米国株式市場全体の時価総額は約75兆4000億ドルに上る。

Tokenized Stocks dashboard: Distributed Value
<トークン化株式の流通総額|RWA.XYZ>

金曜日にDeFiの主要銘柄の時価総額が約70億ドル増えたのは、今後の成長を見込んだ投機的な動きを反映している。

トークン化株式が普及すれば、将来的には新たな担保や流動性、利回りを生む金融商品が登場する可能性がある。また、今回の動きは、米国の大手金融機関や規制当局がオンチェーン基盤への関与を強めていることも示している。CLARITY法案が上院で前進できず、今後の扱いが不透明となるなか、業界がより広く正当なものとして認められる流れを後押しする可能性がある。

ハイパーリキッドのようなプラットフォームは、従来型市場と暗号資産市場の双方で、24時間取引への需要が高まっていることからも恩恵を受けている。Hyperliquid上では、米国・イスラエルによる対イラン攻撃が始まった後も、原油価格などに連動する永久先物を24時間取引できた。

HYPEの価格は2月24日に26ドル前後まで下落していたが、同月後半には戦争によってホルムズ海峡の通航に混乱が生じた。執筆時点の約90ドルは、2月の安値である26ドル前後から約240%上昇した水準に当たる。

従来型の証券取引所も、通常の取引時間外に行われている経済活動を取り込もうとしている。

ナスダックは、週5日、1日23時間の取引を始める計画を発表した。正式な開始目標日は2026年12月6日だ。大手取引所が長期的に目指しているのは、暗号資産や世界の市場に匹敵する、24時間365日途切れない取引だ。

「かつての立会場での取引から、リアルタイムで世界中がつながる今日の電子市場に至るまで、市場の近代化は投資家と業界関係者に大きな恩恵をもたらしてきた」(Nasdaq.com

「だからこそ、ナスダックはナスダック市場で24時間取引を可能にする。規制当局の承認と、重要な市場インフラ事業者との調整を前提に、2026年後半の実現を見込んでいる」

この動きは、すでに常時取引が行われている暗号資産市場と、従来型の取引所との競争が強まっていることを映している。ただし、システム保守、取引の清算、データ配信など運用上の課題があるため、規制当局と取引所は段階的に移行を進めている。

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