G20は、デジタル資産を含むデジタル金融について、金融安定を守りながら、健全なイノベーションの発展に向けた明確な道筋を設ける方針を議長声明に明記した。デジタル金融が幅広い経済成長を支える変革的な役割を果たし得ると位置づけ、民間主導のイノベーションを支援する姿勢を示した。
会合は8月31日から9月1日まで米ノースカロライナ州アッシュビルで開かれ、米財務省が9月1日に議長声明を公表した。
G20はこれまで、暗号資産市場の拡大に伴う金融システムへのリスクや、規制の抜け穴への対応を重視してきた。金融安定理事会(FSB)が2024年に公表したG20ロードマップの進捗報告でも、暗号資産のリスクに対応する国際的な規制枠組みの導入を優先課題としていた。
今回の声明は、リスクへの対応に加え、デジタル資産がもたらす成長効果や民間企業の役割を明示した点で、従来よりもイノベーションを重視する内容となった。
具体的には、金融安定と経済成長を両立させ、健全なデジタル金融・デジタル資産のイノベーションに明確な道筋を示す「責任ある効果的な規制・監督の枠組み」を進めるとした。
国際基準設定主体に対しても、民間主導のイノベーションを支援するとともに、基準を適切に調整し、目的にかなった内容にするよう求めた。
ただし、全面的な規制緩和を打ち出したわけではない。金融安定を守り、通貨・決済システムへの信頼を維持する必要性も併記した。
複数の国・地域で広く使われる可能性があるグローバル・ステーブルコインについても言及した。G20は、国境を越えた影響や関連データの入手状況について、FSBがまとめる調査結果に期待を示した。
国境を越えた送金や決済を、より速く、安く、安全にする取り組みも継続する。G20は、クロスボーダー決済の改善に向けたロードマップへの支持を改めて確認した。
不正金融対策では、金融活動作業部会(FATF)の基準実施を引き続き支援する。暗号資産の利用が多い国・地域に対しては、マネーロンダリングなどを防ぐFATF基準を効果的に導入するよう求めた。
今後は、イノベーション支援と金融安定の両立を掲げた今回の方針が、各国の制度設計やFSBなどの国際基準にどう反映されるかが焦点となる。
|文:平木 昌宏
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