一般社団法人ブロックチェーン推進協会、会費決済に「JPYC」を導入──業界団体初の採用

一般社団法人ブロックチェーン推進協会(以下、BCCC)が、2026年7月より年会費の支払い方法の選択肢として日本円ステーブルコイン「JPYC」を追加したことが、8月19日までに判明した。

国内の業界団体が会費決済手段としてステーブルコインを採用するのは初の試み。

利用できるウォレットは「unWallet」および「HashPort Wallet」で、今後は協会自身の運営経費支払いや海外入金手続きの簡素化などへの活用も視野に入れている。

BCCCは、ブロックチェーン技術の普及啓発や適用領域の拡大を目的に設立された業界団体。2017年には日本初のステーブルコインとされる「Zen」の実証実験を行い、発行総額約8.5億円規模での技術・価格安定性の検証を実施した実績を持つ。

長年にわたり「ステーブルコイン普及推進部会」などを通じて知見を蓄積してきた同協会は、今回の決定により自ら運用の当事者となり、運用に伴う税務や会計処理のノウハウを蓄積・共有することで、ステーブルコインの社会実装を加速させる狙いがある。

今回の導入背景と狙いについて、BCCC代表理事の平野洋一郎氏(アステリア代表取締役社長/CEO)がNADA NEWSの取材に応じた。

平野氏は導入の趣旨について「当協会は技術開発にとどまらず、オンチェーンによる新しい価値交換の社会実装を進める立場にある。まずは自らが『使う側』に立つことが実践の第一歩となる」と語る。

導入に向けた理事会での議論については、会員企業の運用体制を考慮して従来の日本円決済との選択制を採用したと説明した上で、特定の私企業を優遇しない方針を強調した。

「JPYCは一私企業によるステーブルコインである。当協会はブロックチェーン経済全体を推進する立場であり、今後他の会員企業から新たなステーブルコインが登場した際にも同様に受け付けていく」と述べた。

また、2017年にBCCCが主導した「Zen」実験当時との比較について、平野氏は「当時はアルゴリズム型による価格安定を模索していたが、現在は2023年改正資金決済法の施行を経て法的な償還保証型が確立された」と解説した。

さらに当時の状況を振り返り、「2017年当時は業界内の一部でしか話題にならず、世の中は無関心であったが、現在は大手メディアで連日報じられるなど、社会的関心や認知度の高さには隔世の感がある」と社会的な受容性の変化を語った。

また、有事や災害時におけるステーブルコインの有用性についても言及がなされた。

熊本県宇城市出身である平野氏自身が、7月28日に起きた熊本地震の支援活動を行った際の実体験に触れ、「既存の銀行振込や集金手続きでは本人確認や送金に膨大な時間と手数料がかかる課題に直面した。信頼性の高いブロックチェーンアドレスを活用できれば、世界中から瞬時に低コストで資金移転が可能になる」と指摘した。

その上で、普及に向けた今後の発火点について「今回の会費支払いは小さな一歩だが、自ら始めることに意義がある。真の爆発的普及には、自治体や国レベルでのステーブルコインでの納税や日常店舗での決済利用といった広がりが鍵となる」との見解を示した。

なお、同協会はWeb3やステーブルコインに関する正確な情報を求める個人向けに、年会費1万円で参加可能な「個人会員制度」の新設を発表している。

|文:栃山直樹
|写真:「BCCC Collaborative Day」で登壇するBCCC代表理事の平野洋一郎氏(2026年4月撮影:平木昌宏)

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