・SharpLink(シャープリンク)は、Lido(リド)を通じて2億ドル相当のイーサリアム(ETH)を運用し、wstETHを受け取る計画だ。カストディはAnchorage Digital(アンカレッジ・デジタル)が担う。
・今回の資産配分により、シャープリンクが保有する88万8938ETHのトレジャリーからリキッドステーキングによる利回りを得られるようになる。一方、CPI発表前後のETH 上場投資信託(ETF)の資金フローはまちまちとなった。
・ETHは1,880ドル付近のレンジ内で推移している。オプション市場ではプットのポジションが厚く、8月17日のマックスペイン価格は1,880ドルとなっている。
機関投資家によるステーキングが加速するなか、シャープリンクがリドを通じて2億ドル相当のETHを運用へ
上場企業として世界2位のETH保有量を持つシャープリンクは、リドを通じて2億ドル相当のETHをステーキングする計画だ。
8月13日に発表されたプレスリリースによると、今回運用するETHは、リドが発行するwrapped staked ETH(wstETH)として保有される。wstETHは、ステーキングされたETHと、そこから蓄積された報酬を表すトークンだ。
シャープリンクによると、アンカレッジ・デジタルがwstETHのカストディを担う。これにより、リキッドステーキングと機関投資家向けのカストディインフラを組み合わせる。
本稿向けに提供された同社の最新開示資料によると、シャープリンクは8月3日時点で88万8938ETHを保有していた。現在の価格では、今回運用する2億ドル相当のETHは、同社のETHトレジャリーの約12%に相当する。
シャープリンクのJoseph Chalom(ジョセフ・チャロム)CEOは、機関投資家水準のリスク管理基準を維持しながら、保有するETHの運用効率を高めたいとの考えを示した。
同社はまた、リドへの今回の資産配分をトレジャリー戦略の分散化の一環と位置づけている。シャープリンクは、多額に保有するETHから収益を得ることを目指しており、今回の取り組みによって既存のステーキングおよびリステーキング戦略をさらに拡大する。
シャープリンクの発表によると、現在リドでは約165億ドル相当のETHがステーキングされている。また、リドのwstETHは100以上のプロトコルに統合されており、約100億ドル相当が担保として利用されている。
シャープリンクは5月、リスク調整後リターンの獲得が見込めるオンチェーン上の投資機会を選別して運用する、1億2500万ドル規模のGalaxy SharpLink Onchain Yield Fund(ギャラクシー・シャープリンク・オンチェーン・イールド・ファンド)の設立計画を明らかにしていた。
シャープリンク自身の開示資料では、同社のトレジャリー戦略がETHの価格上昇と、プロトコルから得られる報酬の双方に依存していることが強調されている。
シャープリンクの第2四半期決算では、3億9430万ドルの純損失を計上した。主な要因は、ETHの価格変動に伴う3億2100万ドルの未実現損失と、LsETHおよびweETHに関する7610万ドルの減損だった。
CPI発表前後のETH ETFのまちまちな資金フローが、ETHトレジャリー需要への期待を相殺
シャープリンクによるステーキング計画の発表は、ETHに対する機関投資家需要を巡るセンチメントが入り混じるなかで行われた。
米国の現物ETH ETFでは、8月12日の7月消費者物価指数(CPI)発表を挟み、資金フローがまちまちとなった。

ファーサイド・インベスターズのデータによると、ETHファンドからは月曜日に1460万ドル、火曜日に170万ドルが流出した。その後、水曜日に740万ドル、木曜日に590万ドルが流入し、金曜日を迎える時点で累計では約300万ドルの純流出となった。
ETFへの需要がまちまちとなるなか、ETHを最も多く保有するトレジャリー企業Bitmine Immersion Technologies(ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ)も慎重な買い姿勢をみせた。
Tom Lee(トム・リー)氏率いるビットマインは8月10日、7391ETHを購入し、総保有量を580万ETHに増やしたと発表した。
しかし、これはビットマインにとって今年最小の週間購入量となった。同社が重点を自社株買いへ移したことが背景にある。
ETH価格予想:オプション市場は週末に1,880ドル付近でのもみ合いを示唆
ETHは週の大半を1,860〜1,890ドルのレンジ内でもみ合い、週末を前に1,876ドル付近で取引された。
週足のボリンジャーバンドの中心線は約1,982ドルに位置し、上限は約2,451ドル、下限は約1,512ドルとなっている。ETHが中心線を下回っているため、全体的な価格回復については慎重な見方が続いている。
ボリンジャーバンドは、移動平均線を基準に価格の変動幅を測る指標であり、1,982ドルの中心線はトレンドを判断するうえで重要な水準となる。

ETHが1,980〜2,000ドルを回復すれば、強気のシナリオがより強まり、まず2,100ドル、その後は2,200〜2,250ドルが上値目標として意識される。
イーサリアムのRealized Value-to-Transaction(RVT)比率は上昇を続け、67付近に近づいている。
RVT比率は、実現時価総額(Realized Cap)とオンチェーン上の取引価値を比較する指標だ。
RVTの上昇は、実現時価総額に対してオンチェーンの取引量が相対的に弱まっていることを示している。これは、最近のETHの値動きがネットワークの実利用よりも、投機的な売買の影響を強く受けていた可能性を示唆する。
こうした状況のなか、月曜日に満期を迎えるオプションの建玉は1万1600ETHで、金額にして約2177万ドルとなっている。
内訳はプットが9,527ETH、コールが2,073ETHで、プット/コール比率は4.60に達しており、プット側に建玉が大きく偏っていることを示している。これは、下落に備えたヘッジが厚いことを示している。
オプションの満期が近づくにつれ、原資産であるETHの現物価格はマックスペイン価格に引き寄せられる傾向があり、現在のマックスペイン価格は1,880ドルとなっている。
ただし、1,880ドルがサポートとして機能せず明確に下抜けた場合、現在のもみ合いの構造が崩れ、まず1,800ドル、その後はプットポジションが集中する1,700〜1,780ドルの領域が下値の目安として意識される。


