三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の4社は8月13日、Digital Asset Holdings(DA社)、Progmat(プログマ)と共同で、日本国債(JGB)レポ取引のオンチェーン化に向けた実証実験を開始すると発表した。
その後、実証にレンディング・プロトコルを提供するSecured Financeも独自にリリースを発表。MUFGの発表では「レポ取引のライフサイクル全般」とされていた実証内容について、取引条件の合意・記録から担保管理、決済まで、より具体的なプロセスを明らかにした。
日本国債レポのオンチェーン化で、実際に何が変わるのか。Secured Financeの発表から、今回の実証で検証されるポイントを整理する。
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約定から担保管理、決済まで
実証では、日本国債の法的性質(振替国債)を維持したまま、デジタルマネー(トークン化預金、ステーブルコインなど)とのオンチェーン同時決済(DvP)を検証するほか、Secured Financeのレンディング・プロトコルを活用し、レポ取引の一連のプロセスをスマートコントラクトで自動化する。
Secured Financeが提供するレンディング・プロトコルでは、取引条件の合意・記録から、スタート取引の決済(取引開始時の日本国債とデジタルマネーのDvP)、期中の時価評価・担保管理、さらにエンド取引の決済(取引終了時の資金返済と国債の受け戻し)まで、一連のプロセスをオンチェーンで扱うことを想定している。
従来のレポ取引では、取引開始時の資金と国債の受け渡しだけでなく、取引期間中の担保価値の変動に応じた管理や、取引終了時の決済などが必要になる。
今回の実証は、日本国債を単にブロックチェーン上で扱うだけではなく、こうしたレポ取引のライフサイクルそのものをスマートコントラクトで自動化することを目指す。
MUFGも実証で期待される効果として、「レポ取引のライフサイクル全般の自動化等による業務効率化」や、リアルタイムの日中レポ取引による資金・資本効率の向上を挙げている。
EVMで培った仕組みをCanton向けに再設計
Secured Financeはこれまで、イーサリアムをはじめとするEVM系ブロックチェーン上で、固定金利取引、満期管理、オーダーブック、担保管理などの市場機能を備えたレンディング・プロトコルを開発してきた。
今回の実証では、そこで培った設計や運用の知見をCanton Networkに持ち込む。
ただし、既存の仕組みをそのまま移植するわけではない。機関投資家による利用を想定し、取引当事者など必要な関係者だけが情報を参照できる「選択的開示」、参加者間の情報遮断、取引や参加資格に関する認可(パーミッション)といった仕組みを組み込み、Canton Network上のスマートコントラクトとして再設計するという。
Secured Financeは2026年5月から、Progmatが主催するデジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)の「トークン化国債・オンチェーンレポWG」にレンディング・プロトコル領域で参画している。
「概念」から「実運用の市場インフラ」へ
Secured Finance Founder & CEOの菊池マサカズ氏は、国債レポのオンチェーン化について、「本質的な価値は、担保管理・時価評価・決済をリアルタイムに接続できる点にある」と説明。EVM上のレンディング・プロトコルで培った知見を、機関投資家が求めるプライバシーや認可モデルとともにCanton Network上に実装し、オンチェーン金融を「概念」から「実運用の市場インフラ」へ進める考えを示した。
三菱UFJ信託銀行 執行役員 フロンティア事業開発部長の西澤明男氏も、信託銀行として培ってきた資産管理や市場インフラの知見と、新たな技術やプロトコルを組み合わせ、次世代の金融市場基盤の実現につなげたいとコメントしている。
日本国債とブロックチェーンを連携させるだけではなく、その上で行われるレポ取引の約定、担保管理、決済までを一体的にオンチェーン化する──。今回の実証では、既存金融とオンチェーン金融をつなぐ仕組みの実装が進められることになる。
日本国債(JGB)のオンチェーン化については、今年4月、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、日本証券クリアリング機構、Digital Asset Holdingsの4社が「Canton Network」を活用した、担保管理の高度化に関する実証実験を共同で開始すると発表している。担保管理や担保移転は、今回の実証が対象とするレポ取引のライフサイクルにおいても重要なプロセスとなる。
|文:増田隆幸
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