ANAP、サムソン・モウ率いる宇宙ゲームとの提携検討──ビットコイン普及へ見せる次の一手

東証スタンダード上場のANAPホールディングスが、宇宙をテーマにしたオンラインゲームとの提携検討に乗り出した。 同社は女性・子ども向けのカジュアルファッションブランド「ANAP(アナップ)」を運営。財務戦略の一環として、ビットコイン(BTC)の取得や活用も進めており、現在は約1432BTCを保有。世界の上場企業でも上位に位置している。 

同社は7月1日、宇宙を舞台にしたSFゲーム「Infinite Fleet(インフィニット・フリート)」を運営するExordium Limited(エクソーディアム)と、戦略的投資パートナーシップの構築に向けた検討を開始したと発表。両社は6月25日付で意向表明書(LOI)を締結している。

インフィニット・フリートは、人類がエイリアンの侵攻に立ち向かうストーリーを軸とするオンラインゲーム。大規模多人数同時参加型(MMO)で、数百人から数千人が同じサーバーに接続して同時にプレイできることが特徴だ。

Hero banner for Infinite Fleet: a massive space fleet near Earth, conveying it's a sci-fi MMO strategy game
〈艦隊を操作して戦うオンラインゲーム「Infinite Fleet」:HPよりキャプチャ〉

ブロックチェーン技術が取り入れられ、プレーヤーはビットコインのサイドチェーン「Liquid Network」上でゲーム内通貨を利用できるようになる。従来のゲーム内通貨と異なり、ゲーム外の個人ウォレットへ自由に移動・保管できる仕組みとなる予定だという。PCだけでなく、スマホへの展開も想定しており、グローバルでの普及が期待される。

ANAPホールディングスは、正式契約には至っていないものの、同ゲームの事業資金として16億円相当の投資を検討しているという。

NADA NEWSは、同社代表取締役社長の川合林太郎氏と、エクソーディアムの開発を率いるサムソン・モウ(Samson Mow)氏に独占取材。モウ氏は国家レベルのビットコイン導入を進めるJAN3のCEOも務める人物で、昨年にはANAPのBTC戦略を指揮するアドバイザリーボードの第一号に就任している。

アパレルとビットコイン、ゲームが交差する未来について、両者の考えを聞いた。

非クリプト層にビットコインをどう届けるか

──今回の戦略的パートナーシップと大規模投資を検討する背景は。

川合氏:まず前提として、今回の意向表明書は検討開始の段階であり、正式なパートナーシップ締結はこれからだ。投資を検討する背景にはいくつか理由がある。当然、サムソンがANAPのビットコインアドバイザリーボードの第1号メンバーとして関わってくれている信頼関係は大きい。

〈ANAPホールディングス代表取締役社長の川合林太郎氏:NADA NEWSが4月撮影〉

そして何より、「インフィニットフリート」には、すでに世界の名だたるビットコイン企業やアダム・バックなど著名な投資家たちが初期から参画している。これは「このゲームが将来、ビットコインの社会実装の架け橋になる」という強力なメッセージだと受け止めた。だからこそ、我々もそのビジョンに乗りたいと確信した。

当社としては、MMOゲームの広がりに注目している。

プレーヤーの戦略や戦術が試されるストラテジーゲームの市場は、2024年時点で約180億ドル規模だが、2033年までに350億ドル規模へと約2倍に拡大する見通しだ。インフィニットフリートはオンラインで、ターゲットユーザが全世界であり、テーマが宇宙で艦隊を指揮しながら戦うという、他にあまり例のないジャンルでポジションを確立している。ビットコインエコシステムと連動した新たな収益モデルの可能性も含め、事業として成長余地を感じている。

Market opportunity page in Japanese showing three growth cards: B, B, B with a space-themed image on the right.
〈ANAPは、ゲーム市場の広がりに期待しているという:同社提供〉

モウ氏:私から見てもANAPは、日本においてもっとも「ビットコインを理解した財務戦略」を推進する、ユニークな上場企業の一つだ。非常に「ピュア」なビットコイン企業で、私のようなビットコイン・マキシマリスト(至上主義者)にとって極めて魅力的なパートナーと言える。

単にBTCを保有するだけでなく、これまで「Common Block」というビットコインを生かしたアパレルブランドを展開するなど、革新的なプロダクトを作ってきた実績がある。

A display of white and black graphic T-shirts laid flat on a table, featuring bold prints like a cartoon figure and a wave motif alongside orange text.
〈ANAPが昨年に発表した、ビットコインをモチーフにしたファッションブランド「Common Block」〉

アパレルとビットコインの組み合わせは、世界的に見ても未開拓で、過小評価されている巨大なマーケットだ。ファッションに関心のある若い世代や女性など、これまでビットコインに触れてこなかった「非クリプト層」へ裾野を広げるという私のミッションにおいて、ANAPはこれ以上ない最高のパートナーだと信じている。

「貯めるだけでは意味がない」

──16億円相当の拠出方法として「ビットコインあるいは現金」という書き方がされている。なぜビットコインでの支払いを検討しているのか。

川合氏:現在、国内では規制や税制の厳しさから、ビットコイン関連企業はむしろ減っている傾向にある。一方で米マイクロストラテジーやメタプラネットなどの動きは「ビットコインを金融資産として位置づけ、そのサイドで事業を進める」という財務戦略を表している。

ただ、我々は会社の財務資産としてビットコインを保有する「トレジャリー企業」に留まるつもりはない。

ビットコインをただ買って、貯めるだけでは一切の流動性を生まない。「流動性を生まないお金とは、そもそも何なのか」と思う。

ビットコインが次のステップへ進むためには、実経済の「決済」や「投資」で実際に使われる必要がある。せっかく我々がビットコインを保有しているのなら、それを次の産業への投資に直接使い、「本当にビットコインだけで経済が回る」というユースケースを証明したい。個人的には、投資もリターンも、すべてビットコインで完結させるのが理想だと考えている。今回、その投資先としてゲーム領域を検討しているということだ。

モウ氏:川合社長はまさにビットコイン・マキシマリストだ(笑)。

ビットコインの定義を巡っては、今も世界中で熱い議論がある。ある人は「ビットコインはお金(決済手段)だ」と言い、ある人は「デジタル資産だ」と言う。

どれも正しい。ビットコインの真の美しさは、「ソフトウェア」であり「自己主権的に保有できる資産」であるため、これら全ての側面を同時に持てるという点にある。何者にも邪魔されずに世界中にテレポートできる情報資産だからこそ強力なのだ。我々はゲーム内の経済システム(Liquid Network)を通じて、この思想を実用化しようとしている。

ゲームを入り口にビットコイン思想を普及

──インフィニットフリートのゲームとしての魅力は。

モウ氏:インフィニットフリートは現在クローズドベータ版だが、今後2〜3カ月以内に大型リリースを行い、クローズドベータ版を抜ける予定だ。

Asian man wearing glasses and a black shirt with a Bitcoin logo speaks at a table with wooden blinds behind him.
〈国家のビットコイン導入を支援するJAN3のCEOも務めるサムソン・モウ(Samson Mow)氏:NADA NEWSが昨年4月撮影〉

ゲームは5隻の宇宙船からなる自軍の艦隊を操作して戦うオープンワールドMMO。非常に革新的なジャンルだ。このゲーム内経済には、「Liquid Network」が統合されており、ゲーム、ビットコイン、そしてアパレルの3つが美しく交わる。

──先日、インフィニットフリートの宇宙空間にANAPの服を着たキャラクターが立つコラボビジュアルがANAPの公式Xに公開されていた。

モウ氏:これはまさに、ゲームとアパレルとビットコインの3つが交差するアプローチを示している。私たちのゲームキャラクターにANAPの衣装を着せたビジュアルを公開しているが、非常にクールに仕上がった。

何より、インフィニットフリートのストーリーや世界観の根底には、ビットコインの持つ「サイファーパンク思想」が組み込まれている。

ゲーム内に登場する「シタデル(Citadel/砦)」は、各々が独立し自己主権を持つという、ビットコインの核となる概念からインスピレーションを得ている。

説教臭くビットコインについて教育するのではなく、プレイヤーがゲームのストーリーや体験を通して、自然と「自由」「自己所有」「自己主権」の価値を理解できるようにしている。これは、小説『肩をすくめるアトラス(Atlas Shrugged)』のように、自由市場や自由の思想をそっと物語を通して伝えるようなアプローチだ。

川合氏:ゲームのプレーヤー全員がビットコイナーである必要はない。アパレル企業として本業の強みを活かして、ビットコインからアパレルへ、アパレルからビットコインへという相互の流れを作っていきたい。

「神が作ったライトニングの島」

──具体的に、ゲームの中でビットコインをどう登場させ、どのように活用していくのか。

川合氏:実は今、私が最も関心と情熱を注いでいるのが、新潟県の「佐渡島」だ。

地図を広げて佐渡島の形を見てみると、ビットコインの決済規格である「ライトニング(Lightning Network)」のロゴ(稲妻)の形をしている。私はこれを勝手に「神が作ったビットコインの島」と呼んでいる(笑)。

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この佐渡島というリアルな島でビットコイン決済やローカル経済の実装を進めつつ、将来的にはインフィニットフリートのゲーム内にも、「佐渡島」を登場させたい。

バーチャルな宇宙ゲームと、実際に存在する日本のローカルアイランドが、ビットコインとアパレルを通じて結びつく。世界中のビットコイナーたちが観光として「リアルなライトニングの島」に巡礼に訪れ、ビットコインで決済を行うようなサイクルを作りたい。

〈新潟県北部の佐渡島は、上空からの地形が稲妻に似ている:川合氏提供〉

実際に先日も、日本のビットコイナーたちを連れて佐渡島を回ってきた。ビットコインは電気エネルギーを消費することで価値を生み出す、現実世界とリンクした唯一の資産だ。だからこそ、こうしたローカルでのリアルな実装が極めて重要だと考えている。

モウ氏:日本の「ライトニングの形をしたビットコイン島」の計画は、私にとっても非常にエキサイティングだ。ぜひとも進めてほしいプロジェクトだ。

Make Japan Great Bitcoin Nation Again

──最後に、最近のビットコイン相場に対する見解と、今後の展望について聞かせてほしい。

モウ氏:足元で市場は下落しているが、私は「常にブル(強気)」だ。この下落にはベアマーケットに対する人々の「恐怖」以外に合理的な理由は一切ない。

今回は以前と市場の構造自体が大きく変わっている。スポットETFの登場に加え、現物を安易に売らないANAPやメタプラネット、マイクロストラテジーのような企業の存在が「3方向の衝撃吸収材」として機能しているからだ。

既に最悪の局面(底)は過ぎ去っており、本質的な価値は何一つ失われていない。間もなく市場は回復し、再び強気相場(ブルマーケット)へ向かうと確信している。

川合氏:価格が下がったからといって方針転換したり、ビットコイン事業を諦めたりするようなことは、我々が経営陣にいる限り絶対にない。

Four-panel video call: top-left yellow 'n. avenue' slide; top-right man in a conference room with a laptop; bottom-left smiling man wearing a cap and headset; bottom-right man with glasses in a bright living area.
〈オンラインで行われた、川合氏(上段右)とモウ氏(下段左)の対談〉

我々は単にビットコインを抱え込んでHODLするだけの存在ではない。必要があれば投資や事業のために柔軟に活用する。価格変動に怯えるのではなく、実事業や投資を通じてエコシステムに流動性を生み出していくことで、「本当にビットコインで経済が回る」という証明を積み重ね、次の強気相場へ向けてさらに足場を固めていくつもりだ。

モウ氏:ゲームやファッションといったマス向けのチャネルを通じ、ビットコインのエートス(精神)を広げること。そして「Aqua Wallet」をはじめとするインフラが日本企業と統合していくことで、社会実装は間違いなく加速する。

目標はただ一つ、「日本を再び、偉大なビットコイン国家にする(Make Japan Great Bitcoin Nation Again)」ことだ。我々は密に協力し、ともに進んでいく。

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|インタビュー・文:NADA NEWS広告制作チーム
|トップ画像:ANAPの公式Xに投稿された「Infinite Fleet」とのコラボ画像