・米国の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、上場投資信託(ETF)への資金流入も再開したものの、ホルムズ海峡を巡る地政学的緊張が投資家のリスク選好を抑え、ビットコイン(BTC)は6万4000ドルを下回って推移した。
・ビットコイン・ドミナンスは1カ月ぶりの高水準となる59.1%まで上昇した。BTCがアルトコインに対して相対的に強い値動きを続けていることを示している。
・CoinGlassの清算データによると、6万2000ドル付近には20億4000万ドル規模の潜在的なロング清算が集中し、6万5600ドル付近には大規模な潜在的ショート清算帯が形成されている。トレーダーがこの価格帯でのもみ合いを予想している可能性がある。
中東情勢が米インフレ鈍化の追い風を打ち消し、ビットコイン・ドミナンスは30日ぶり高水準
CoinMarketCapによると、BTC価格は金曜日の午前0時(中央欧州時間)時点で6万4000ドルをわずかに下回り、週中につけた高値6万5300ドルを2%下回った。
7月14日(火)に発表された米CPIが市場予想を下回った後の3営業日で、米国の現物ビットコインETFには約3億6790万ドルの純流入があった。それにもかかわらず、BTCは一定の価格帯で推移した。
インフレ鈍化を示すデータは当初、リスク資産を下支えした。しかし、BitfinexのアナリストはNadaNewsに対し、ホルムズ海峡を巡る緊張が再び高まり、世界の原油供給ルートが脅かされたことで、市場心理はすぐに地政学的リスクへ傾いたと説明した。

「ビットコインの価格連動は、紛争が金利へ波及する経路を通じて表れる。関連報道が価格を動かすのは、それが金利見通しを変える場合に限られる。緊張の激化によって、原油価格の上昇がインフレにつながる懸念が強まれば、BTCは株式とともに下落する。一方、インフレ指標が弱い内容となった後は、同じ関連報道も価格を動かす力を失った」─Bitfinexの分析
Bitfinexは、軍事的緊張の激化によって原油価格が上昇し、インフレが長期化するとの見方が強まると、BTCは株式とともに下落する傾向があると指摘した。
さらに、ETFへの需要は引き続き大手発行体に集中していた。ブラックロックの「IBIT」とフィデリティの「FBTC」への流入額は合計約3億2100万ドルとなり、3日連続の資金流入で記録された総流入額の87%を占めた。
一方、TradingViewが集計する主要暗号資産の合計時価総額に占めるBTCの割合を示すビットコイン・ドミナンス(BTC.D)は、3週連続で上昇した。TradingViewのデータによると、BTC.Dは金曜日に59.1%へ達し、6月中旬以来の高水準を記録した。
ビットコイン・ドミナンスは、投資家のリスク選好を測る指標として広く利用されている。ドミナンスの上昇は通常、マクロ経済を巡る不透明感が高まるなかで投資家が流動性を重視し、規模が小さく投機性の高い暗号資産からBTCへ資金を移していることを示す。
BTC.Dが上昇を続けていることから、投資家は依然として守りの姿勢を維持しているとみられる。米国のインフレ鈍化や、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを先送りするとの強い見方よりも、米国とイランの緊張激化が重く受け止められているためだ。
20億ドル規模のロング清算集中帯、週末の値動きを左右する可能性
記事執筆時点でBTCは6万3900ドルで取引されている。CoinMarketCapによると、週初は6万4000ドル付近で始まっており、週間ではほぼ横ばいで終える見通しだ。
レバレッジポジションが強制清算される可能性の高い価格帯を示すCoinGlassの7日間清算ヒートマップでは、価格変動時に大規模な強制清算が発生する可能性のある水準を確認できる。

ヒートマップ上の推定累積ロング清算額は約34億ドルとなり、推定累積ショート清算額の約28億ドルを上回っている。
CoinGlassの推計では、BTC価格が6万1600ドル付近まで下落した場合、約20億4000万ドル規模のロングポジションが清算対象となる可能性が示されている。このクラスターは、7日間のヒートマップに示された推定累積ロング清算額の約60%を占める。
一方、ショート側では、6万5600ドル付近に最大規模の潜在的な清算集中帯が示されている。この水準は、今週の高値6万5300ドルをわずかに上回る。
上下の清算集中帯が比較的近いことから、新たな材料がなければ6万1600~6万5600ドル付近が短期的に意識される可能性がある。
BTC価格予測:中期的な上値の重さが続く一方、6万2700ドル付近が目先の焦点に
BTCは、5週移動平均線の約6万2700ドルを上回る一方、8週移動平均線の約7万ドルと13週移動平均線の約6万4500ドルを下回っている。短期的には6万2700ドル付近がサポート候補となる一方、中期的には上値の重さが残っている。
BTCは7月初めから10%回復したものの、この移動平均線の並びは、依然として下落方向の勢いが優勢であることを示している。
ただし、弱気の勢いが徐々に弱まっていることを示す指標も複数ある。
取引量は3週連続で減少している一方、BTCの週足終値は同期間を通じて切り上がっている。価格が上昇するなかで取引量が減少する動きは、売り圧力が弱まっている可能性を示すことが多い。ただし、持続的な上抜けを確認できるほど強い買いは、まだ市場に戻っていない。

下値では、週足の5期間移動平均線が6万2700ドル付近で目先のサポートとなっている。この水準は、CoinGlassで最大規模の潜在的なロング清算が集中する6万1600ドル付近とも近い。
テクニカル指標と清算ポジションが同じ価格帯に集中していることから、この価格帯では5週移動平均線と潜在的なロング清算集中帯が近接しており、価格が接近した場合には値動きが大きくなる可能性がある。
一方、BTCの実現価値対取引額比率(RVT)は、161に向けて上昇を続けている。
RVTは、ネットワークの実現時価総額と、オンチェーンで移転されたコインの価値を比較する指標だ。
RVTの上昇は、オンチェーン取引活動に対してBTCの実現時価総額が拡大していることを示す。RVTが高水準にあることは、BTCの評価額がオンチェーン取引活動を上回るペースで拡大していることを示す。ただし、過熱相場と一般に結び付けられる水準にはまだ達しておらず、投機的な取引で参入する余地が残っている。


