・PUMPは、初の大規模なトークンロック解除を挟んだ5日間で一時30%以上上昇し、大きな売り圧力が生じるとの予想に反する値動きを見せた。
・オンチェーンデータによると、受取先ウォレットの約68%では割り当て分の全量が残っており、全量が外部へ移動したウォレットは17%未満だった。
・現在の価格はICO価格を約60%下回っており、0.004ドル付近で取得した投資家は多額の含み損を抱えている。
受取先ウォレットの約68%で全量移動なし、PUMPは大型ロック解除後に一時上昇
Pump.funのネイティブトークン「PUMP」は7月16日、一時0.0018ドル付近まで上昇し、日足では5日連続の上昇となった。7月12日から16日までの上昇率は一時30%を超えた。
7月12日には825億PUMP(当時1億2100万〜1億3500万ドル相当)のロック解除が予定されていた。一方、オンチェーンアナリストのEmberCNによると、7月15日には572億7900万PUMP(約8649万ドル相当)が121のチーム・投資家関連ウォレットへ分配された。
予定されていた825億PUMPは、当時の流通量の約20〜29%に相当するとされていたため、市場では大きな売り圧力が生じると予想されていた。しかし、実際にはその予想に反してPUMP価格が上昇した。

2024年1月に開始されたPump.funは、ソラナを代表するミームコイン・ローンチパッドへと成長した。誰でも許可なくトークンを作成できる仕組みを提供しており、数十万件に上る小規模なトークン発行に加えて、Fartcoin(FARTCOIN)、Peanut the Squirrel(PNUT)、Moo Deng(MOODENG)、Goatseus Maximus(GOAT)など、話題を集めたトークンの誕生を後押ししてきた。
Dune Analyticsのデータによると、7月15日の初回分配翌日の7月16日時点で、受取先ウォレットの大半に割り当てられたPUMPの全量が残っていた。

受取先ウォレットの約67.9%では、ロック解除後も割り当て分の全量が残っていた。一方、16.7%のウォレットでは受け取ったトークンの全量が外部へ移動していた。
また、9%のウォレットでは一部が移動し、2.6%では受け取り後にPUMPの残高が増加していた。
7月のロック解除は、Pump.funが設定していた1年間のクリフ期間を経て初めて実施されたトークン放出だった。対象となったのは、総供給量の20%を占めるプロジェクトチーム向けの割り当てと、13%を占める初期投資家向けの割り当てだ。
今後は36カ月間にわたり、毎月一定量ずつトークンをロック解除するリニアベスティングが実施され、2029年まで続く。
PUMPはICO価格を60%下回り、初期投資家は含み損を抱える
受取先ウォレットからの移動が限定的だったことは、流通量が徐々に増加するなかでも、多くの受取先が直ちに売却しなかった可能性を示唆している。
大型ロック解除後も多くの受取先ウォレットでトークンが移動しなかった背景には、初期投資家の含み損や買い戻し・バーン制度など、複数の要因が影響した可能性がある。
第一に、多くの初期投資家が、取得価格と比べて大幅な含み損を抱えていることが挙げられる。プライベートセール投資家はPUMPを約0.004ドルで取得したとされ、これは当時の市場価格の2倍を超える水準だった。
そのため、これらの投資家がロック解除直後に売却すれば、多額の損失が確定することになる。
こうした大きな含み損に加え、Pump.funのトークン設計も、保有者が売却する動機を弱めている。
トークンの買い戻しとバーンも長期保有を後押し
Pump.funは2026年4月28日、過去約9カ月に買い戻した約3億7000万ドル相当のPUMPをすべてバーンした。バーンされた数量は、当時の流通量の約36%に相当する。
Pump.funは、ソラナエコシステム内でも特に積極的なトークン買い戻しプログラムを通じて、流通量の増加による希薄化を相殺しようとしてきた。
PUMPのローンチ後から2026年4月までは、約9カ月にわたり、プラットフォーム収益の100%をPUMPの買い戻しに充てていた。その後、大規模なトークンバーンを経て、買い戻しに充てる割合を純収益の50%に引き下げた。Pump.funはICO以降、累計で流通量の41%超に相当するPUMPをバーンし、買い戻しに2億3000万ドル超を投じた。
これほど多額の資金を投じているにもかかわらず、投資家の姿勢は依然として慎重だ。
PUMPは当時約0.0016ドルで取引されており、一般投資家向けに1500億トークンが販売された際のICO価格0.004ドルを約60%下回っていた。また、2025年9月に記録した過去最高値約0.0088ドルからは約82%下落している。

こうした介入策は、これまで新たなPUMPの発行による影響を和らげてきた。しかし、この支援を持続できるかどうかは、プラットフォームの収益にますます左右されるようになっている。
Pump.funの日次収益は、2025年9月の約320万ドルから、2026年7月中旬には約92万ドルまで減少しており、今後の買い戻しペースを制限する可能性がある。
The Blockによると、Pump.funの日次収益は、2025年9月のピーク時に最大320万ドルに達した。2026年2月には230万ドルを記録したものの、その後は高値を切り下げ、2026年7月15日までに約92万ドルへと減少した。
手数料収入の減少は、暗号資産市場全体の投資家心理の低迷と同時に進んでおり、今後のトークン買い戻しのペースを制限する可能性がある。


