● 前回は、市場全体のサイクルや投資家心理を把握する4つの指標を紹介した。今回は、実際に市場で「誰が売り、誰が買っているのか」を分析するための4つの指標を解説する。
● 「SOPR」「Exchange Netflow」「Exchange Reserve」「Exchange Whale Ratio」は、利益確定の動きや売却準備、取引所の需給、さらには大口投資家(クジラ)の行動まで把握できる代表的なオンチェーン指標である。
● エックスウィンでは、現在のビットコイン市場は大規模な利益確定やパニック売りは確認されていない一方で、大口投資家の動向には引き続き注意が必要な局面にあると考えている。
前回は、MVRV RatioやNUPLなどを用いて、「市場全体は今どのような状態にあるのか」を分析しました。
しかし、市場全体の状況が分かっても、それだけでは十分ではありません。
重要なのは、「実際に誰が売っているのか」「売却準備は進んでいるのか」「クジラはどのように動いているのか」を把握することです。
今回は、オンチェーンデータから市場参加者の行動を読み解く4つの代表的な指標をご紹介します。
投資家は利益確定しているのか、それとも損切りしているのか

SOPR(Spent Output Profit Ratio)は、実際に移動したビットコインが利益で売却されたのか、それとも損失で売却されたのかを示す指標です。
MVRVやNUPLは「含み益」を見る指標でしたが、SOPRは「実際にどのような売買が行われたか」を分析します。
SOPRが1を上回れば、多くの投資家は利益を確定しながら売却しています。
一方で1を下回る場合は、損失を受け入れて売却する投資家が増えていることを意味します。
現在はSOPRがおおむね1付近で推移しており、利益確定と損切りのバランスが取れた状態です。
2025年のように利益確定が相次ぐ過熱局面でもなく、2022年のような投げ売り相場でもありません。
市場全体が次の方向性を見極めようとしていることがうかがえます。
売却準備は進んでいるのか

Exchange Netflowは、ビットコインが取引所へ流入しているのか、それとも流出しているのかを示す指標です。
一般的に、ビットコインを売却するためには、まず取引所へ送金する必要があります。
そのため、
・取引所への流入が増える
→売却準備が進んでいる可能性
・取引所から流出する
→長期保有や自己保管が増えている可能性
と考えられます。
チャートを見ると、一時的に大きな流入・流出は発生しているものの、現在は極端な資金流入は確認されていません。
つまり、市場全体としては積極的な売却姿勢ではなく、方向感を探る展開が続いていると考えられます。
取引所には、あと何枚のビットコインが残っているのか

Exchange Reserveは、世界中の取引所に保管されているビットコインの総量を示す指標です。
これは長期的な需給を分析するうえで非常に重要な指標です。
取引所に保管されるビットコインが増えれば、将来的に売却される供給量も増える可能性があります。
一方で取引所残高が減少すれば、それだけ市場で売却できるビットコインも減少することになります。
現在のチャートでは、取引所残高はここ数年を通じて大きく減少しています。
ETFや機関投資家による長期保有、自社保管の増加なども背景にあり、市場全体では「売りに出されるビットコイン」が少なくなっていることを示しています。
これは中長期的には需給面でプラス材料として注目されるポイントです。
クジラは売っているのか

最後に紹介するのがExchange Whale Ratioです。
これは取引所へ送金されるビットコインのうち、大口投資家(クジラ)が占める割合を示す指標です。
市場では、多くの場合、価格を大きく動かすのは個人投資家ではなく、機関投資家や大口保有者です。
そのため、この指標は「クジラが売却準備を進めているのか」を知る重要なヒントになります。
現在のチャートでは、この比率は依然として高い水準にあります。
必ずしも売却を意味するわけではありませんが、大口投資家の資金移動が続いていることから、市場は引き続きクジラの動向に影響を受けやすい環境にあると言えるでしょう。
短期的な価格変動を見るうえでは、今後も注目したい指標の一つです。
まとめ
今回ご紹介した4つの指標は、それぞれ異なる角度から市場参加者の行動を分析しています。
SOPRは、投資家が利益を確定しているのか、それとも損失を受け入れて売却しているのかという「実際の売買行動」を示します。Exchange Netflowは、ビットコインが取引所へ流入しているのか流出しているのかを通じて、「売却準備」が進んでいるかを把握することができます。Exchange Reserveは、取引所全体に保管されているビットコインの総量を確認し、中長期的な需給バランスを分析するための指標です。そしてExchange Whale Ratioは、大口投資家(クジラ)が市場でどの程度影響力を持っているのかを確認し、価格変動の背景を読み解く手掛かりとなります。
重要なのは、これら4つの指標を単独で判断するのではなく、組み合わせて市場全体を分析することです。
例えば、
・SOPRが1を大きく上回り、利益確定売りが増えている
・Exchange Netflowもプラスとなり、取引所への流入が増加している
・Exchange Reserveも増加し、市場で売却できるビットコインが増えている
・さらにExchange Whale Ratioも高く、大口投資家が積極的に資金を動かしている
このような状況であれば、市場全体では利益確定売りが強まり、価格の上値が重くなる可能性が高まります。
反対に、
・SOPRが1付近で落ち着き、利益確定が限定的である
・Exchange Netflowは大きな流入が見られない
・Exchange Reserveは長期的な減少傾向が続いている
・Exchange Whale Ratioも極端な変化が見られない
このような局面では、市場全体で大規模な売り圧力は発生しておらず、需給は比較的安定していると考えられます。
現在の4つの指標を総合すると、ビットコイン市場では大規模な利益確定やパニック的な売却は確認されず、取引所に保有されるビットコインも長期的には減少を続けています。一方で、大口投資家の資金移動は依然として活発であり、短期的な値動きはクジラの行動に左右されやすい状況です。
つまり現在の市場は、「売りが市場全体を支配している局面」ではなく、限られた供給の中で、大口投資家の動向が価格形成に大きな影響を与える構造にあると考えられます。
エックスウィンでは、まず今回紹介した4つの指標で市場参加者の資金フローを確認し、そのうえでETFへの資金流入やマクロ経済、さらには次回紹介する先物市場のレバレッジ動向を組み合わせることで、市場全体を立体的に分析しています。
■ショート動画
【ビットコインオンチェーン分析②】誰が売り、誰が買っている?資金の流れが分かる4つの重要指標
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