アフリカ最大の暗号資産取引所VALR、複数資産の無期限先物取引向けにHyperliquidを統合【価格分析】

・VALRはHyperliquidのレイヤー1ブロックチェーンを統合し、個別株、商品、外国為替、株価指数、暗号資産を対象とする200以上の無期限先物市場での取引を可能にする。
・今回のサービス開始は、大手の規制下取引所が、世界の複数資産を対象とする無期限先物取引に向け、オンチェーンのレイヤー1流動性プロトコルをネイティブ統合した初の事例となる。
・Hyperliquidは、記録的なETF(上場投資信託)への資金流入がトークンロック解除への懸念を相殺する形で7月を迎えた。一方、テクニカル指標は、再び売りが強まれば60ドル付近まで下落する可能性を示している。

規制下の取引所がオンチェーン・デリバティブの流動性を取り込むなか、VALRがHyperliquidを統合

取引高でアフリカ最大の暗号資産取引所であるVALRは、Hyperliquidとの戦略的な統合を通じて、デリバティブ取引基盤を拡大している。

今回の導入により、200以上の無期限先物市場が追加される。ユーザーは単一の取引画面から、世界の株式、株価指数、商品、貴金属、外国為替、デジタル資産を対象に、レバレッジを利用した取引が可能となる。

VALRは個別に流動性プールを運営するのではなく、Hyperliquidのパーミッションレス型ブロックチェーンにインフラを直接接続する。これにより、顧客はポジションを建てて管理しながら、分散型無期限先物市場のなかでも有数の厚い流動性にアクセスできる。

「無期限先物は、暗号資産トレーダーが価格見通しに基づいてポジションを取るための手段であり、その市場の日次取引高は現在、数千億ドルを超えている。将来的には、あらゆる市場を取引するための手段になると考えている。Hyperliquidとの統合により、当社のユーザーは世界でも最も厚い水準のオンチェーン流動性を利用できるようになる」─VALR最高執行責任者のジャンルカ・サッコ氏

HyperliquidにとってVALRは、中央集権型の規制下取引所が分散型インフラと直接競争するのではなく、それを取り込んでいく新たな流れを示す存在となる。

新たな無期限先物商品は2026年7月6日にVALRのウェブ版で提供を開始する予定で、その後まもなくモバイル版にも対応する予定だ。VALRはこれにより、世界の複数資産を対象とする無期限先物取引において、オンチェーンのレイヤー1プロトコルから流動性を直接調達する初の大手規制下取引所となる。

VALRは2018年に設立され、南アフリカのヨハネスブルグに本社を置く。Pantera Capital、Coinbase Ventures、Fidelity系のF-Prime Capitalから出資を受けている。

拡充された商品群では、EUR/USD、GBP/USD、USD/JPYなどの通貨ペアに加え、世界の主要企業の株価を参照する無期限先物も取引可能となる。

VALRのユーザーは、NVIDIA、Tesla、Apple、Samsung、SK hynix、Palantir、SpaceXなどを対象とするデリバティブを取引できる。また、主要な株価指数に加え、ブレント原油、WTI原油、天然ガス、金、銀、プラチナ、銅などの主要商品も取り扱う。

暗号資産投資商品全体の資金流出に逆行し、Hyperliquid ETFには6月に1億6000万ドル超が流入

VALRによる今回の発表は、デジタル資産投資商品全体が軟調に推移する一方、Hyperliquidに対する機関投資家の需要が引き続き強まるなかで行われた。

HYPE現物ETFには6月、約1億6400万ドルが純流入した。ビットコイン、イーサリアム、ソラナの投資商品から合計数十億ドル規模の資金が純流出するなか、Hyperliquidは機関投資家からの持続的な需要を確保した数少ない主要暗号資産の一つとなった。

Table of Hyperliquid ETF Flow (US$m) with dates and values for BHYP, THYP, HYPG, and a total column.
<Hyperliquid ETFの資金フロー|Farside Investors、2026年7月2日>

最も大きな資金流入を記録したのは6月25日で、HYPE ETFには単日として過去最高となる約1億800万ドルが純流入した。これにより、Farside Investorsによると、6月末までの設定来の累計純流入額は約3億ドルに達した。

需要の大きな部分はBitwise Hyperliquid ETFであるBHYPにも向かっており、同商品への累計流入額は約1億1700万ドルに上った。

機関投資家の需要は6月後半を通じて極めて安定していた。2週間続いた買い越しが途切れた6月30日には約300万ドルの純流出を記録したものの、7月最初の2取引日にはそれぞれ290万ドル、220万ドルが流入し、ETFの資金フローはすぐに純流入へと戻った。

プロトコルによる買い戻しの支えがあるものの、7月のトークンロック解除が引き続き重しに

機関投資家からの強い需要が続く一方、Hyperliquidは7月、新たな大規模トークンロック解除を控えており、トレーダーが動向を注視している。

市場では7月6日、主要貢献者向けのクリフベスティングにより、約990万から1000万HYPEが新たに流通を開始すると見込まれている。現在の価格では、4億ドルを超える新規供給が市場に加わる可能性がある。

市場がHYPEのロック解除に敏感に反応することは、6月上旬にも示された。6月6日に実施された前回のロック解除後には、約6億3000万ドルから7億ドル相当のHYPEが新たに流通を開始した。

これを受けてHYPEは6月上旬に大きく下落し、6月6日から9日にかけて一時50ドル台半ばまで値を下げた。

Hyperliquidは、トークンロック解除によるインフレ圧力を抑えるため、プロトコル収益を活用した買い戻しの仕組みを導入している。

同プラットフォームの累計収益は現在、10億2700万ドルを超えており、取引手数料の約99%が、Assistance Fundを通じたHYPEの買い戻しに充てられている。

継続的な買い戻しが、ロック解除に伴う売り圧力の多くを吸収した。これによりHYPEはロック解除後の安値から約20%回復し、7月を前に60ドル台半ばまで値を戻した。

ただし、長期的には希薄化が引き続き重要な検討材料となる。Hyperliquidの最大供給量10億HYPEのうち、現在流通しているのは22.24%にとどまる。

そのため、流通時価総額と、約660億ドルに迫る完全希薄化後評価額との間には大きな隔たりが残っている。

HYPE価格見通し──MACDが売り圧力の弱まりを示す一方、71ドルの抵抗線が上値を抑える

テクニカル面では、HYPE価格は63ドル付近の支持線を維持したことで、70ドル突破に向けた上昇モメンタムを再び構築しているように見える。

シャンデ・クロール・ストップは、目先の支持線が63.14ドル付近まで上昇していることを示している。一方、上値抵抗は71.10ドル付近に位置しており、現在のもみ合いの範囲を形成している。

Candlestick chart of HYPE/USD showing daily price action with volume bars, dashedMoving averages, and MACD indicator below (June–July).
<HyperliquidのHYPEテクニカル価格分析|7月3日>

モメンタム系の指標も改善している。MACDヒストグラムはマイナス0.22と、わずかにマイナス圏にあるものの、ゼロラインに近づくにつれてマイナス幅が縮小しており、弱気の勢いは引き続き鈍化している。

また、MACDラインはシグナルラインを下回ったまま上向きに転じており、売り圧力が弱まっていることを示すもう一つの兆候となっている。

強気派にとっては、71ドルを明確に上回って終値を付ければ、上昇モメンタムの再開を確認する材料となり、77ドル付近の過去最高値に向かう道が再び開かれる可能性が高い。

一方、権利確定によって新たにトークンを受け取った保有者が積極的に売却した場合、HYPEは6月のロック解除後の調整局面で反発の起点となった60ドル付近を再び試す可能性がある。

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