Standard Chartered(スタンダードチャータード)は7月2日、機関投資家がUSDコイン(USDC)の発行と償還に統合的にアクセスできる機能を立ち上げたと発表した。
同行は、こうしたサービスを提供する初のグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)になったとしている。USDCは、Circle(サークル)が発行する米ドル連動型ステーブルコインだ。
顧客はCircleに直接口座を持たなくても、単一の手続きで同行のプラットフォーム上からUSDCを発行・償還できる。同行は、銀行業務・カストディ・デジタル資産サービスを一つに束ね、従来の銀行業務と同じリスク管理・コンプライアンス・ガバナンスの枠組みのもとで提供するとしている。
同行の法人・投資銀行部門CEOを務めるRoberto Hoornweg(ロベルト・フーンウェグ)氏は声明で、「これは、世界の金融市場への信頼を長く支えてきた枠組みや管理体制、規制監督を通じて、機関投資家のデジタル資産市場への参加を広げるものだ」と述べた。
サービスは当初、同行のドバイ国際金融センター(DIFC)の拠点を通じて提供され、規制当局の承認と市場の準備状況に応じて他の市場へ拡大する方針だ。同行はこれを、より広範なステーブルコイン戦略の第一段階と位置づけている。
今回の発表は、CircleのJeremy Allaire(ジェレミー・アレール)CEOが、新規参入のステーブルコインOpen USD(OUSD)に対するUSDCのネットワーク効果の強さを強調した直後に行われた。140社超が支持するOUSDの発表を受けてCircle株は約17%下落しており、大手銀行を取り込む今回の提携は、機関需要を軸にUSDCの優位を守る動きといえるだろう。
もっとも、Standard Chartered自身もそのOUSD陣営に名を連ねている。OUSDを運営するOpen Standard(オープン・スタンダード)の創設パートナーには、Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)、BlackRock(ブラックロック)、Coinbase(コインベース)、BNY(BNYメロン)などと並び、同行も含まれている。
BlackRockやBNYはCircleの既存パートナーであり、大手金融機関にはカストディや決済の収益を確保する狙いがあるとみられる。なお、ステーブルコイン大手のCircleとTether(テザー)、PayPal(ペイパル)はOUSDに参加していない。
USDCは2025年3月、SBI VCトレードを通じて日本で初めて認可された海外発行のドル連動ステーブルコインとなり、今年6月にはCircleと野村ホールディングスが2027年をめどに法人向けのUSDC建て為替決済サービスを計画すると発表した。
一方でOUSDの創設パートナーには、みずほ銀行をはじめとする金融機関も名を連ねており、ドル連動ステーブルコインの主導権争いは、日本の大手金融機関を巻き込む形で広がりつつある。
|文・編集:井上 俊彦
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