● CryptoQuant CEOのKi Young Ju氏は、「ビットコインは今後もパラボリック(放物線状)の上昇相場を迎える可能性がある」との見解を示した。一方で、そのためには過去とは比較にならない規模の資本流入が必要になると指摘している。
● エックスウィンでは、CryptoQuantと連携しながら、日本国内にオンチェーン分析を普及させることを重要なミッションとしている。今回の投稿は、ビットコイン市場が「投機資産」から「マクロ資産」へと成熟していることを示す非常に重要なメッセージだと考えている。
● 前編では、CryptoQuantが公開した2つのチャートをもとに、「なぜビットコインは昔ほど急騰しなくなったのか」を市場構造の変化という視点から読み解いていく。
ビットコイン市場は新たなステージへ
エックスウィンでは、CryptoQuantと連携しながら、日本国内にオンチェーン分析を普及させることを重要なミッションの一つとして取り組んでいます。
暗号資産市場では、「価格」が最も注目されます。しかし、価格はあくまで市場参加者の売買によって形成された結果であり、その背景には「どれだけの資本が市場へ流入しているのか」「どのような投資家が買っているのか」「長期保有者は利益確定を進めているのか」といった市場構造があります。
オンチェーンデータは、その市場構造を可視化できる数少ない分析手法です。
そのような中、昨日、CryptoQuant CEOのKi Young Ju氏が非常に興味深い分析を公開しました。
テーマは、「ビットコインは再びパラボリック(放物線状)の上昇相場を迎えることができるのか」というものです。
一見すると価格予想のようにも見えますが、本質はそこではありません。Ki氏が伝えたかったのは、「ビットコイン市場は過去とはまったく異なる市場へ進化した」ということです。
市場規模の拡大が「資本効率」を変えた
今回の投稿で最も重要なキーワードが、「Capital Efficiency(資本効率)」です。
ビットコインが誕生した当初、市場規模は非常に小さく、数億ドルから数十億ドル規模の資金流入でも価格は数万%という驚異的な上昇を見せました。
しかし現在のビットコインは、世界でも有数の時価総額を持つ資産へと成長しています。市場規模が大きくなればなるほど、同じ価格上昇を実現するためには、それに比例してより多くの資本が必要になります。
この変化を最も分かりやすく示しているのが、CryptoQuantが公開した最初のチャートです。
【図1】BTC: How Much Capital Did Each Cycle Need?

2011〜2013年のサイクルでは、Realized Capの増加額は約28億ドルでした。その資本流入によって、ビットコイン価格は約55,000%という歴史的な上昇を記録しています。
一方、現在のサイクルでは、Realized Capは約6,970億ドル増加しています。
これは初期サイクルと比較すると約250倍もの資本流入です。
しかし、それだけ巨大な資本が流入しているにもかかわらず、価格上昇率は約689%に留まっています。
つまり、市場へ流入する資本は飛躍的に増えた一方、価格上昇率は大きく低下しているのです。
このデータだけを見ると、「ビットコインは昔ほど上昇しなくなった」と考える人もいるでしょう。しかし、エックスウィンではこの現象をネガティブには捉えていません。
むしろ、市場が成熟した結果だと考えています。
AppleやMicrosoftの株価が数億ドル程度の資金では何倍にも動かないのと同じように、ビットコインも世界中の投資家や機関投資家が参加する巨大市場へと成長しました。
つまり、「資本効率が悪くなった」のではなく、「巨大な資産クラスへ進化した」ことを意味しているのです。
価格を100%押し上げるだけでも約1,000億ドルが必要な時代へ
さらに興味深いのが、CryptoQuantが公開した二つ目のチャートです。
【図2】BTC: Realized Cap Required per 100% Price Return

このチャートは、「ビットコイン価格を100%上昇させるために、各サイクルでどれだけの新しい資本が必要だったか」を示しています。
2011〜2013年には、価格を2倍に押し上げるために必要だったRealized Capは約500万ドルでした。
その後、市場規模の拡大とともに必要資本は急増し、
2015〜2017年には約6.5億ドル、
2018〜2021年には約182億ドル、
そして現在のサイクルでは約1,011億ドルまで増加しています。
つまり、価格を100%上昇させるために必要な資本は、約2万倍へと拡大したことになります。
これは今回の分析で最も象徴的なデータと言えるでしょう。現在のビットコイン市場は、もはや個人投資家の資金だけで価格が大きく動く市場ではありません。
ETFを通じた機関投資家の資金、企業によるビットコイン保有、さらには今後期待される年金基金やソブリン・ウェルス・ファンドなど、世界規模の長期資本が市場を動かす時代へと変化しています。
Ki Young Ju氏が「Capital Efficiency」という言葉で表現したかったのは、まさにこの市場構造の変化なのでしょう。
前編まとめ
今回ご紹介した2つのチャートは、いずれも「ビットコインは以前より上がらなくなった」という単純な話ではありません。
むしろ、市場規模が飛躍的に拡大し、世界中の資本を受け入れるマクロ資産へと進化した結果、価格を動かすために必要な資本も飛躍的に増えたことを示しています。
では、ここで一つ疑問が残ります。
市場には過去最大規模の資本が流入しているにもかかわらず、なぜ2021年のような熱狂的な強気相場になっていないのでしょうか。
その答えを読み解く鍵となるのが、「Realized Cap(実現時価総額)」です。後編では、CryptoQuantのRealized Capチャートをもとに、「なぜ1兆ドルを超える資本が流入しても価格は爆発しないのか」、そしてエックスウィンが考える「次の強気相場の条件」について詳しく解説します。
■ショート動画
ビットコインは、もう何万%も上がらない? CryptoQuant CEOが語る市場構造の変化
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