CLARITY法案の本当の意味──アメリカはビットコインではなく「オンチェーン金融」を制度化しようとしている【エックスウィン】

● エックスウィンの米国マーケットアナリストであるデリア・ロホ氏によると、CLARITY法案の議論は暗号資産規制ではなく、DeFiやオンチェーン金融を既存金融システムへ組み込むための制度設計へ移行している。
● 米国ではビットコインETF承認を経て、次のテーマとしてステーブルコイン、DeFi、RWA(実世界資産のトークン化)が制度化されようとしている。
● エックスウィンでは、今後のビットコイン市場は投資対象としての需要だけでなく、オンチェーン金融の担保資産や基軸資産としての需要拡大が重要になると考えている。

暗号資産市場では価格ばかりが注目されがちです。しかし現在アメリカで進んでいる議論を見ると、本当に重要なのはビットコイン価格ではありません。

それは、「次世代金融システムを誰が作るのか」というテーマです。

エックスウィンの米国マーケットアナリストであるデリア・ロホ氏が、最新のサンフランシスコレポートで取り上げたのがCLARITY Act(デジタル資産市場構造法案)です。

▶関連記事:CLARITY法案が変えるDeFiの未来とアメリカ金融市場の転換点【サンフランシスコ レポート】

現在ワシントンD.C.では、この法案を巡る議論が最終局面に入りつつあります。多くの市場参加者は、「成立するのか」に注目しています。しかしデリア氏が現地で感じているのは、「どのような形で成立するのか」という議論へ既に移行しているという点です。

そしてエックスウィンでは、この法案の本質は暗号資産規制ではなく、オンチェーン金融の制度化にあると考えています。

ビットコインETFは始まりに過ぎなかった

2024年に米国で現物ビットコインETFが承認されたことは、暗号資産業界にとって歴史的な出来事でした。BlackRockやFidelityをはじめとする世界最大級の金融機関がビットコイン市場へ参入し、多くの機関投資家が初めてビットコインへアクセスできる環境が整いました。しかし、米国の政策当局者が現在議論しているのはビットコインETFではありません。

彼らが見ているのは、その次の世界です。ステーブルコイン。DeFi。RWA(Real World Assets)。そしてオンチェーン金融です。

つまり、「ビットコインを認めるかどうか」という議論は既に終わりつつあり、「ブロックチェーン上で動く金融システムをどう制度化するのか」が次のテーマになっているのです。

アメリカはDeFiを禁止しようとしているのではない

デリア氏のレポートでも触れられているように、CLARITY法案はDeFiを規制するための法律ではありません。むしろ興味深いのは、「本当に分散化されたDeFiを保護する」という方向へ進んでいることです。

上院版では、

・ノード運営者
・バリデーター
・オラクル提供者
・ウォレット開発者
・プロトコル開発者

などを、従来型の金融仲介業者として扱わない方向性が示されています。

一方で、

・運営会社が停止権限を持つ
・少数の関係者がガバナンスを支配する
・資産管理権限が集中している

ようなプロジェクトについては規制対象となる可能性があります。

つまり米国政府は、「DeFiだから自由」ではなく、「本当に分散化されているか」を問う時代に入ろうとしているのです。

次の主戦場はオンチェーン金融

エックスウィンが特に注目しているのは、この法案がDeFi単体ではなく、オンチェーン金融全体への入り口になる可能性です。

現在の金融システムは、銀行・証券会社・決済会社・信託会社・清算機関・など、多数の仲介者によって成り立っています。

しかしオンチェーン金融では、それらの機能の一部をスマートコントラクトが代替できます。送金。決済。貸付。資産運用。資産管理。

これらがブロックチェーン上で実行される世界です。

これは単なる暗号資産市場の拡大ではありません。金融インフラそのものの変化を意味しています。インターネットが情報流通を変えたように、オンチェーン金融は金融サービスの提供方法を変える可能性があります。

ビットコインの次の需要源

ビットコイン市場にとっても、この変化は非常に重要です。これまでビットコインの需要は主に投資需要でした。ETF。機関投資家。企業の財務資産。個人投資家の長期保有。これらが価格上昇を支えてきました。

また、添付のチャートのように、ビットコインの供給量、そしてプレゼンスは高まってきている。今後、オンチェーン金融が制度化されれば、さらに、新たな需要が生まれる可能性があります。

例えば、

・DeFiにおける担保資産
・機関向けオンチェーン金融商品の裏付け資産
・ステーブルコインエコシステムの準備資産
・国際送金や決済ネットワークの基軸資産

としての役割です。つまり、「価格上昇を期待して買うビットコイン」から、「金融システムを支えるために保有するビットコイン」へ変化する可能性があります。これはETF需要とは全く異なる構造的需要です。

日本が見るべきポイント

日本では、どうしても価格や税制の議論に注目が集まりがちです。もちろんそれも重要です。しかしデリア氏の現地レポートが示しているように、米国では既にその先の議論が始まっています。暗号資産を規制するかどうかではなく、どのように制度へ組み込むのか。DeFiを禁止するかどうかではなく、どのようなDeFiを保護するのか。

そして、オンチェーン金融をどのように金融システムへ統合するのか。もしCLARITY法案が成立すれば、それは単なる暗号資産法案の成立ではありません。ビットコインETF承認に続く、次の歴史的転換点になる可能性があります。

エックスウィンでは、今後数年間の主戦場は価格ではなく制度だと考えています。そして、その制度の上で動く資金の規模こそが、ビットコイン、DeFi、そしてオンチェーン金融の未来を決定していくことになるでしょう。

■ショート動画

【本当の狙い】CLARITY法案はビットコイン法案ではない
https://youtube.com/shorts/vNB1E-2MZR4

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