・ワールドコイン(WLD)は、暗号資産市場全体の時価総額が5,000億ドル規模で減少するなか、今週31%、過去1カ月で70%急騰した。
・OpenAIがAIスーパーアプリとエージェント経済に向けた取り組みを進めていることにより、AI関連テーマへの代替的な投資先としてのWorldcoinの位置づけが強まっている。
・戦略的提携、機関投資家によるトークン購入、本人認証インフラの採用が、WLD需要を引き続き支えている。
WLD、暗号資産市場の低迷に逆行──30日間の上昇率は70%超に
直近の暗号資産市場の調整局面で、BTCやETH、その他多くの主要デジタル資産が大きな損失を被るなか、World Network(旧Worldcoin)は、過去1カ月で最も好調な銘柄の一つとして浮上している。
6月8日月曜日、World NetworkのネイティブトークンであるWLDは0.47ドルで取引を開始し、時価総額は16億ドルだった。過去1週間で30%超、過去30日間で70%上昇しており、6月の大型暗号資産の中でも特に好調な銘柄の一つとなっている。
この上昇は、OpenAIがChatGPTを本格的なAIスーパーアプリへと進化させる計画に対し、投資家の関心が高まっているタイミングと重なっている。

6月7日日曜日のロイター報道によると、OpenAIはCodexのコーディングツール、AIエージェント、画像生成機能、さらにCanvaやBooking.comといった外部サービスを、一つの統合プラットフォームに組み込む準備を進めている。この取り組みは、単純なチャットボットとのやり取りから、AIを通じて個人や仕事上の複雑な作業を実行できるようにする方向への戦略的転換を示している。
「私たちが築こうとしているのは、私生活でも仕事でも、人生のあらゆる場面で助けてくれる自分専用のエージェントを持てる世界だ。モバイル、デスクトップ、Webから利用できる。車の中にいるときには、話しかけることもできる」─OpenAIのコアプロダクト責任者であるティボー・ソティオー氏
この拡張は、OpenAIが主要投資銀行と株式公開の可能性について協議していると報じられるなかで進んでいる。市場参加者の間では、今年後半にIPOが実現する可能性をめぐる観測が強まっている。正式な日程は確認されていないものの、Anthropicが非公開でIPO申請を行ったことによる競争圧力もあり、投資家のAIインフラ関連への注目は一段と高まっている。
World Networkがエージェント経済関連の提携を拡大するなか、本人確認の活用事例が広がる
米国株式指数が5月下旬に新高値を付ける一方で、暗号資産市場は急調整に入り、市場全体の時価総額からおよそ5,000億ドルが失われた。そうしたなかでもWLDは暗号資産市場全体の下落基調から大きく切り離され、OpenAI関連の強気なAIテーマを材料に取引された。

6月6日、World Networkは本人認証管理大手のOktaとの協業を発表した。AIエージェントがデジタルプラットフォーム全体でより広く使われるようになるにつれ、信頼性の高い本人確認の仕組みへの需要が高まっていることを強調したものだ。
「Lift Offで発表した今回の協業は、AIエージェントには、サービスを提供する相手である人間との信頼できるつながりが必要だというシンプルな考え方を土台にしている」─OktaのCEO トッド・マッキノン氏、6月5日
企業が、取引の実行、業務フローの管理、ユーザーに代わるオンラインサービスとのやり取りを担える自律型AIエージェントの活用を模索するなか、このテーマは支持を広げている。こうした環境では、人間であることを証明する仕組みが重要な要件になる可能性がある。
さらに5月28日には、俳優でミュージシャンのジャレッド・レト氏が、World ID認証をPRした。これは、ジャレッド・レト氏が兄のシャノン・レト氏と結成したロックバンド、Thirty Seconds to MarsとWorld Networkの提携の一環である。この提携では、認証済みの人間だけがチケットにアクセスできる仕組みを導入し、2027年に予定されている同バンドの欧州ツアーで、ボット活動の抑制とファンとのエンゲージメント向上を目指している。
WLDは過去1年、機関投資家からの直接需要も集めている。2025年5月、Worldcoin Foundationは、Andreessen Horowitz(a16z)およびBain Capital Cryptoに対し、1億3,500万ドル相当のWLDトークンを売却したと発表した。従来のベンチャー投資ラウンドとは異なり、この取引は割引やロックアップ契約なしに、その時点のスポット市場価格でトークンを購入する形で行われた。



