暗号資産(仮想通貨)セキュリティ企業CertiK(サーティック)は7月23日、暗号資産(仮想通貨)保有者に暴力や脅迫を加え、秘密鍵の開示や資産の送金を迫る「レンチ攻撃」に関する2026年上半期のレポートを公表した。
世界で確認された事件は52件となり、上半期として過去最多を記録した。前年同期の39件から33.3%増加したほか、2024年の年間件数(41件)も半年間で上回った。
事件に関連する記録上の影響額は1億2418万ドル(約199億円、1ドル=160円換算)で、前年同期の約11.8倍に拡大した。
なお、この金額には盗難額だけでなく、身代金の要求額や被害者が送金した資金、凍結・回収された資金なども含まれる。

地域別では、全52件のうち39件が欧州で確認され、なかでもフランスが33件を占めた。
また、暗号資産保有者の自宅に侵入し、本人や家族に送金を迫る事件は前年同期の1件から20件へ急増し、誘拐も12件から16件に増えているという。

CertiKは、攻撃者が流出した個人情報やSNSへの投稿、公開されたウォレットの取引履歴などを組み合わせ、住所や家族構成、推定資産額を特定する「データ主導型」の手口が広がっていると指摘した。
さらに、保有者本人だけでなく、家族や従業員を脅して資産の移転を迫る事例も確認されたという。
従来、暗号資産のセキュリティ対策は、スマートコントラクトの脆弱性や秘密鍵のオンライン流出、フィッシングなど、デジタル上の脅威への対応が中心だった。
CertiKは、プロトコルやウォレットの防御が強化される一方、攻撃者が創業者やトレーダー、資産保有者本人とその家族を物理的に狙う方向へ移っていると指摘している。
こうした攻撃では、ハードウェアウォレットや秘密鍵のオフライン保管も、本人が操作を強要されれば資産を守れない。
そのためCertiKは、保有額やウォレットアドレス、自宅、旅行予定などを公開せず、日常的に使う資金と長期保有資産を分けて管理するよう推奨している。
|文:平木 昌宏
|画像:CertiKレポートより


